http://www.asyura2.com/24/kokusai35/msg/309.html
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◆日米会談は対中路線の約束◆
石破・トランプの日米首脳会談(日本時間8日未明)は、1兆ドルの対米投資約束を手土産に、対日関税引き上げが回避され一先ず事なきを得たようだ。トランプは安倍元首相の名を出し、石破から対中強硬路線の言質を引き出した。
トランプは会談中、石破の目を見ての笑顔を見せる事はほぼなく、また共同記者会見では握手する事もなく壇上から去った。要するにこれは「対中強硬路線にきちんとシフトするなら許すが、まだ信用はしていない」というメッセージだ。石破政権がそのメッセージを正確に受け止めればよいが、能天気に単なるリップサービスと捉え実行が伴わなければ政権はともかく日本に対する報復は苛烈なものとなる。その場しのぎで定見の無い石破は真逆の媚中路線を続ける可能性が高く、有志は一丸となってこれを強く牽制する必要があるだろう。
https://x.com/omasa1111/status/1888194757253632443
トランプは、北朝鮮の金正恩との会談を行う事も強調した。これは従来の、金正恩と事実上その後見人となったロシアのプーチンを引き込み「拡大中国包囲網」を形成し、戦わずして習近平に白旗を揚げさせる大戦略の一環である。トランプ政権は、北にロシア、東に日本・韓国・北朝鮮、南に台湾・東南アジア諸国、西にインド・スタン諸国で取り囲み、少なくとも強い親中路線を辞めさせ最後の一刺しをすれば、中国は詰むと見ている。さもなくば、拡大BRICS+グローバル・サウスで逆に西側は詰むだろう。
https://agora-web.jp/archives/2050656.html
トランプにとって、関税引き上げ合戦で第二次貿易戦争に突入した対中戦略は、目下最大の課題である。しかし、その道のりは険しいがゴールと最終形は前述のように見えている。
◆米国のガザ所有発言◆
さて、前置きが非常に長くなってしまったが、対中戦略に比べ道のりとゴールが見えないのが、中東問題である。
トランプは、「米国のガザ所有」のビックリ発言を行い、世界を動揺させた。トランプにこの発言をさせた諸力学を読み解く鍵として、筆者は次の3つの事項を挙げたい。
@シオニスト・福音派連合に支えられるトランプ政権
Aイスラエル寄りの2国家共存とアブラハム合意の延伸
Bイスラエル vs イラン戦争の回避
@について、先の大統領選でトランプが快勝出来たのは、民意に加えて義理の娘ララ・トランプの不正投票阻止運動等が奏功したのは間違いないが、背景に多様な形での国際金融資本筋の民主党支援が十分に発動しなかった感がある。国際金融資本筋には、ユダヤ系が多いと言われているが、そのユダヤには一方にイスラエルのナショナリズムに根差した所謂「シオニスト」が存在する。なおキリスト教福音派は、日本人からしたらアクロバティックな理由でシオニストと連合を組んでいる。共和党の国政・地方候補者は福音派の応援なしでは当選が難しい(日本で言えば創価学会の支援が無ければ多くの自民党候補者は現状では選挙にならないのと似ている)。
https://agora-web.jp/archives/2044127.html
先の大統領選で、トランプはシ・福連合に大きく借りを作ったし、2年後の中間選挙でも大きく頼る事になるだろう。そのためにイスラエル寄りのスタンスを取る事は既定路線となっており、今回のガザ発言もその一環と言えるだろう。首脳会談でトランプが着席時にネタニヤフに椅子を差し出している動画がその構図を象徴している感もある。
https://x.com/BRICSinfo/status/1886924779770249281
なお、第二次世界大戦の結果、イスラエルを建国して大挙して押し寄せ領土や入植地を拡大して行ったシオニストはこれまでも国際的に非難されて来たが、ホロコーストへの同情に隠れて許されてきた。だが現下のガザ紛争で旗色逆転となって来ている。
Aについては、トランプはイスラエル寄りながら、イスラエル・パレスチナ2国家共存自体は捨てておらず、第1次トランプ政権時のアブラハム合意(イスラエルと周辺アラブ諸国の融和策)の延伸と共に、2国家共存の落とし所を探っている。今回の爆弾発言はその為の瀬踏みの面もあるだろう。
Bについては、中東専門家の高橋和夫氏が、Yahooニュースのコメントで、『「トランプとネタニヤフ会談の焦点はイラン攻撃だったはずだ。トランプは明らかに、イランとの戦争には賛成しなかった。会談はネタニヤフにとって失敗だ。という見出しは困る。そこでガザをアメリカが所有するという「とんでも」発言が出てきた。これは、またガザの停戦交渉の第2段階にネタニヤフを進ませる援護射撃にもなる。ネタニヤフ連立内閣の超過激派に、ゆくゆくはガザのパレスチナ人を追放するのだから、ここはトランプに花を持たせて停戦交渉を進めようという議論が、ネタニヤフはできるだろう。これでイラン問題での合意はなかったとの見出しにはならない。トランプの発言に合理性を探すと、こういう解釈になるのだろうか。探しすぎかもしれないが。』と書いている。ユニークかつ着目すべき視点だ。
https://news.yahoo.co.jp/profile/commentator/takahashikazuo/comments/ae39b3cd-ab95-4873-8a59-0052f9641a70
ところで、イスラエルの入植は歴史上初ではなく古代に次いで2回目である。モーゼがカナンの地を目指し後継者ヨシュアが入植した際も殲滅戦、民族浄化、拉致略奪は行われていた。それが旧約聖書に肯定と称賛を以て記述されており、問題視される事もある学者達の議論集タルムードだけでなくユダヤ教(それを基盤としたキリスト教、イスラム教も含め)それ自身がかなり凶暴性も含む宗教と言えるのかも知れない。ただ、こういった事は、砂漠の掟あるあるだったとも考えられ、なんなら比較的穏健な神道ですら、ヤマトタケルの遠征は騙し討ちも多かった事を踏まえれば、古代あるあるであったとも言える。だが、その記述についてはストレートに解釈し時代背景を基に批判的に位置付けるべきで、現代に亡霊のように再現する事は許されないだろう。
https://x.com/Kozen_Sato/status/1888433204866195931
https://agora-web.jp/archives/231217104145.html
話を元に戻すと、ガザ所有発言には上掲の3つの事項に加え、トランプの不動産開発業者として意欲が疼いたのではとか、ガザ沖の油田開発が視野に入っているのではとも言われている。恐らく様々な要素がミックスされた上での爆弾発言だろう。
何れにしてもトランプは、前半に書いたアジア太平洋平定を成功させても、中東平定に失敗しグチャグチにしてしまえば、生涯スコアはゼロに近いものとなるだろう。日本は受け入れる義理と謂れは微塵もないが、イスラエルとの根深い関係の米国としては、場合によってはガザ難民の米国本土移住受け入れのウルトラCも含めたトランプの剛腕と大技が期待される。
- (加筆修正稿)トランプ「米国のガザ所有」爆弾発言の諸背景とは?(アゴラ) 佐藤鴻全 2025/2/11 15:14:00
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