<■1429行くらい→右の▽クリックで次のコメントにジャンプ可> <主張>国連の決議 侵略者への配慮は無用だ 社説 2025/2/28 5:00 https://www.sankei.com/article/20250228-2AXZSOM53JNKRDRZ4PXAOSVYFQ/ 国連総会で、ロシアによる侵略を巡り、ウクライナと欧州諸国が主導した決議案が採択された。 これに対し、ロシアと北朝鮮、ベラルーシなどとともに米国が反対票を投じた。 決議はロシアの侵攻が3年も続くことを憂慮し、露軍の即時撤退を求めた。 ウクライナの領土保全と主権を尊重した和平の実現や、ウクライナ領でのロシアの重大犯罪への調査と訴追を訴えた。 侵略者ロシアに抗戦するウクライナへの最大支援国の米国が今回の決議に反対したことは極めて残念だ。 米国が国際法違反であるロシアの侵略を指弾せず、ウクライナの領土保全と主権を軽視したと受け取られかねない。 主権国家の領土不可侵は国際秩序の根幹だ。 それを破ったロシアを非難しないのは、国際社会において米国の信用と威信を損なうことに気付くべきだ。 米国は、ウクライナを交えずにロシアと停戦交渉を進めている。 ロシア非難の決議に賛成することで、プーチン露大統領の反感を買うことを避けたとみられている。 だが、侵略者にこうした配慮は無用だ。 ウクライナ侵略をめぐる総会決議は、侵略直後の2022年3月、2023年2月にも採択されたが、この時は米国を含む141カ国が賛成した。 今回の総会決議の賛成は93カ国だった一方、棄権した国が過去の倍近くの65カ国になった。 米国との関係悪化を恐れる国が棄権したと指摘されている。 一方、国連安全保障理事会では、米国が提出した 「紛争の早期終結」 を求める決議案が採択された。 この安保理決議には 「侵略」 などロシアへの批判的な文言はなく、 「ウクライナ領土の保全」 への言及もなかった。 拒否権を持つ英国、フランスをはじめ、非常任理事国のデンマークなど計5カ国が棄権しての成立だった。 米露協調の安保理決議を 「弱肉強食の法則が勝ってはならない」 とドリビエール仏国連大使が批判したのは当然だろう。 石破茂首相は、先進7カ国(G7)首脳のテレビ会議で 「ウクライナに公正かつ永続的な平和がもたらされるには米国の関与が必要だ」 と述べた。 ならば米国に 「正しい介入」 を働き掛けてもらいたい。林芳正官房長官、戦闘停止の国連決議を歓迎 ウクライナとEU加盟国が主導 2025/2/25 10:55 https://www.sankei.com/article/20250225-D2ZDNANMYBMYXHIUTNISX2X27E/ 林芳正官房長官は2025年2月25日の記者会見で、国連総会がウクライナと欧州連合(EU)加盟国主導の 「ウクライナ領土の保全」 「戦闘停止」 を求める決議を採択したことに関し、 「歓迎する。日本は賛成票を投じた」 と述べた。 賛成の理由を 「各国の外交努力が戦闘行為の終結と、1日も早い公正かつ永続的な平和の実現に繋がることが重要だとの立場を明らかにするため」 と説明した。 国連安保理、ウクライナの「紛争終結」求める初決議 「侵攻」表記避け…ロシアも賛成 2025/2/25 10:48 https://www.sankei.com/article/20250225-S3A7L5V4SNN4FI75HXVJNJYB4A/ 国連安全保障理事会(15カ国)は2025年2月24日、ロシアによるウクライナ全面侵攻から3年となったことを受けて会合を開催し、米国が提出した 「紛争の早期終結」 を求める決議案を採択した。 2022年2月の全面侵攻開始以降、安保理がウクライナの戦闘終結を求める決議を採択するのは初めて。 米国やロシア、中国など10カ国が賛成した。 決議案はロシアに融和的なトランプ米政権の意向が反映され、 「侵攻」 などといったロシアへの批判的文言を避けた。 欧州連合(EU)加盟国などが求めていた 「ウクライナ領土の保全」 も言及されなかった。 英仏など欧州5カ国は棄権。 ウクライナの頭越しにロシアとの協議を開始したトランプ米政権への不信感は根強く、米国と欧州の分裂が鮮明となった。 安保理の決議には法的拘束力が発生する。 ただ、これまでは常任理事国であるロシアが拒否権の発動を示唆。 議論が手詰まりになっていた。 一方、安保理に先立ち開催された国連総会では、EU加盟国とウクライナが主導した 「ウクライナ領土の保全」 などを求める決議を賛成多数で採択。 総会の決議に法的拘束力はないものの、国際社会の総意としての重みを持つ。 日本など93カ国が賛成し、米国やロシアなど18カ国が反対。 中国など65カ国が棄権した。 米が独自にウクライナ侵攻3年決議案、国連総会に提出 欧州と溝深まる 2025/2/22 12:53 https://www.sankei.com/article/20250222-T376GDCXLJIANAJXMHN4TOZMPE/ ロシアによるウクライナ侵攻開始から2025年2月24日で3年となるのに合わせ、米国が 「紛争終結」 を求める独自の決議案を国連総会(193カ国)に提出したことが2025年2月21日、分かった。 外交筋が明らかにした。 ウクライナと欧州を中心とする支援国は、戦闘停止とウクライナ領土の保全を求める決議案を提出済みで、米国にも賛同を呼び掛けていた。 双方の溝が深刻化した。 外交筋によると、ロシアも米国の決議案に、紛争の 「根本原因に対処する」 などの文言を追加した修正案を総会に提出した。 2025年2月24日の総会で、3案ともに採択される可能性がある。(共同) <主張>ロシアの侵略3年 ウクライナの立場を守れ トランプ氏は言動を改めよ 社説 2025/2/24 5:00 https://www.sankei.com/article/20250224-JE6JJ3FHNRIDLEF6CVQG4NEKWQ/ ロシアのプーチン大統領が主権国家ウクライナへの侵略を始めて3年が経った。 「ロシアとウクライナは一体だ」 というプーチン氏の帝国主義的な妄執が侵略戦争を開始させた。 力による現状変更を図る暴挙で明白な国連憲章違反である。 改めて強く非難する。 ロシアの非道な攻撃で、祖国防衛に立ち上がったウクライナ軍は6万5千人が戦死し、延べ37万人が負傷した。 無辜のウクライナ国民は4万人余りが殺傷されてきた。 戦争前に約4100万人だった人口のうち、今も約700万人が国外避難し、日本には約2千人が滞在中だ。 同情を禁じ得ない。 ■停戦交渉は公平公正に ロシアは、2014年にウクライナ南部のクリミア半島を併合した。 この3年間で東部と南部の4州の大半を占領し、併合を宣言した。 これらはウクライナの領土の約2割にも及ぶ。 このような無法は許されない。 露軍は無条件で直ちに撤退すべきである。 ウクライナの領土主権が守られなければ、国際秩序自体も動揺する。 トランプ米政権の発足で米政府の方針が大きく転換した。 トランプ大統領は停戦実現に強い意欲を示し、米露間で交渉が始まった。 侵略戦争は終わらせるべきだが、当の被害者であるウクライナが交渉から外されているのはおかしい。 米国と並んでウクライナを支援してきた欧州も蚊帳の外だ。 今は軍事強国だけで物事を決する帝国主義的な時代ではない。 公平公正な交渉を求めたい。 トランプ氏が、今回の戦争で悪いのはウクライナのゼレンスキー大統領だと言わんばかりの言動を取るのは目に余る。 プーチン氏の身勝手な主張を受け入れているのか。 トランプ氏はラジオ番組で、ウクライナと欧州の頭越しの交渉に不快感を示すゼレンスキー氏について 「彼(ゼレンスキー氏)が出席しないことは重要ではない」 と語った。 自身のSNSでも 「(ゼレンスキー氏は)選挙を経ていない独裁者だ」 「大した成功もしていないコメディアンが、勝てる見込みもなく、始める必要もなかった戦争に突入した」 「米国を説き伏せて3500億ドルもの費用を出させた」 と言い放った。 更に記者会見で 「ウクライナは戦争を始めるべきではなかった」 「彼の支持率は4%に下がっている」 と批判した。 ゼレンスキー氏が 「私の支持率は57%だ」 「トランプ氏はロシアの偽情報に取り込まれている」 と反駁したのは当然だ。 ロシアは3年前、ウクライナの首都キーウの占領を目指し機甲部隊や空挺部隊で侵攻した。 ウクライナが抗戦しなければ亡国の憂き目に遭ったろう。 トランプ氏の認識は逆さまだ。 ■石破首相の姿が見えぬ ロシア軍は街頭でウクライナ国民を虐殺した。 病院や幼稚園まで攻撃した。 プーチン氏に対しては、約2万人ものウクライナの子供の露国内への連れ去りを指示した戦争犯罪の容疑で、国際刑事裁判所(ICC)から逮捕状が出ている。 トランプ氏はプーチン氏の非道を直視し、暴言を撤回し、冷静な言動をしてほしい。 欧州各国からは、ゼレンスキー氏ではなくプーチン氏こそが独裁者だとし、ロシアは平和を望んでいないとの指摘が出ている。 プーチン氏はウクライナの 「国家消滅」 を諦めていないのではないか。 先のミュンヘン安保会議で岩屋毅外相は 「侵攻をロシアが勝者になる形で終わらせてはならない」 「正しく終わらせないと中国のみならず世界に誤ったメッセージを与える」 と語った。 この発言は妥当だが、石破茂首相のウクライナ問題への関心が高いように見えないのは問題である。 欧州に位置するウクライナでの戦争は、日本を含むインド太平洋の安全保障と直結している。 日本はウクライナと同様にロシアに北方領土を不法占拠されてもいる。 石破首相はもっと停戦問題に関わるべきだ。 今後、一定の停戦が成立したとしても、プーチン氏のウクライナ再侵攻準備への時間稼ぎに利用されかねない。 ロシアの再侵略を許さない態勢を整えなければ真の停戦とは言えない。 欧州やカナダはトランプ政権と調整の上で、ロシアの再侵略を許さない停戦維持の部隊を編成する必要があろう。 日本の対応も問われている。 侵略3年でポーランド大使が和平交渉について言及「ウクライナ抜きの合意すべきでない」 2025/2/24 12:00 https://www.sankei.com/article/20250224-CB4ZYPJZBBORJD4KL4TWYRCBBM/ 2025年2月24日でロシアによるウクライナ侵略の開始から3年となるのを前に、ポーランドのパヴェウ・ミレフスキ駐日大使が産経新聞などの取材に応じ、停戦や和平の交渉について、 「如何なる合意や声明もウクライナ抜きですべきではない」 と強調した。 認定NPO法人 「インド太平洋問題研究所」(理事長、簑原俊洋神戸大大学院教授) が主催する講演会後、神戸市内で2025年2月22日、取材に答えた。 2025年1月に就任したトランプ米大統領がウクライナのゼレンスキー大統領を 「独裁者」 と非難したり 「ウクライナは(戦争を)始めるべきではなかった」 と発言したりするなど、当事国抜きでの米露主導の停戦交渉が進むことが懸念されている。 ウクライナの隣国で避難民の受け入れなど、人道、軍事、財政支援を続けているポーランドのミレフスキ氏は 「ウクライナは同じテーブルで議論する必要がある」 「ゼレンスキー氏は国民を代表している」 と強調。 「ウクライナは戦争を始めていない」 とした上で、 「西側の指導者がウクライナを無視、軽視、過小評価しないことを心から望む」 と述べた。 ウクライナを含めた交渉にするよう米国を説得するためには、 「(欧州各国の)防衛費を増やす取り組みが必要」 と指摘。 北大西洋条約機構(NATO)の加盟国は、国内総生産(GDP)比2%の防衛費が目標だが、 「約1%の国もある」 「ポーランドは4%を支出していて、更に増やす予定だ」 「我々が犠牲を払う意欲があることをトランプ政権に示さなければ」 と強調した。 また、今年2025年4月に開幕する2025年大阪・関西万博については、 「ポーランドのパビリオンは、最も美しいものの1つになる」 「ほぼ完成していて、開幕には間に合うだろう」 と話した。 パビリオンは木材を基調にデザインで、出身の作曲家・ショパンの演奏会なども予定されている。 「会期の半年間、多くの素晴らしいイベントが用意されているので、是非、日本の方々に訪れてほしい」 とアピールした。 米露交渉プーチン氏のペース やった者勝ち£国も勢い 兵頭慎治・防衛研究所研究幹事 2025/2/24 9:00 https://www.sankei.com/article/20250224-DVN5ZEOZDFMLVFWS3GCOBTSSYY/ 3年前にロシアがウクライナに侵略した当初は、露軍の兵力、火力が圧倒的に大きかったので、3年間の消耗戦になるとは思っていなかった。 ロシア軍も問題を抱えており、短期間でウクライナの首都キーウを攻略する作戦も失敗に終わった。 プーチン露大統領にとっては誤算だったと思う。 ウクライナ軍は善戦している。 ただ、欧米諸国の軍事支援は、ウクライナにとって十分ではなかった。 戦況は膠着状態に陥り、両者による持久戦の様相を呈している。 予想通りだったのは、プーチン氏が核兵器の使用を示唆しながら侵攻を続けたことだ。 これにより、欧米諸国によるウクライナへの軍事支援がある程度抑止された。 同じ核保有国である中国がこれをどう受け止めているのか、気になるところだ。 ウクライナ侵略の本質は、力による現状変更だ。 法の支配に基づく国際秩序が崩れかねないという話だが、トランプ米大統領はこの点に関し、拘りがないようだ。 トランプ氏の力点は目先の停戦にあるが、将来的なウクライナの安全保証に大きな関心があるようには見えない。 2014年のロシアによる(ウクライナ南部の)クリミア併合以降、(ウクライナ東部の)ドンバス地域で発生した紛争では2度に渡り停戦合意が結ばれたが、いずれも破られた。 停戦交渉を行う際には、2014年、2022年に続き、ロシアが3度目の侵攻を行うリスクがないのか、慎重に見極めなければならない。 プーチン氏が米国との交渉でまず狙っているのは、ロシアが国際社会に復帰し、米国と対等に交渉できる大国であることを国内外にアピールすることだ。 交渉が妥結しなくても、トランプ氏と世界情勢について話し合う姿を国内に見せるだけでも政治的な成果となる。 プーチン氏は米国との交渉で、対露制裁の緩和やウクライナ支援の縮小を狙うだろうが、ウクライナ問題だけを交渉しようと思っていない。 今月2025年2月12日に電話会談した両首脳は、中東やイランの核開発、エネルギー問題などについても議論した。 プーチン氏は広範な土俵でトランプ氏とディール(取引)をしようとしている。 ウクライナ問題はその一部に過ぎない。 これはロシアがよくやる外交戦術で、ウクライナ問題を相対化する試みだ。 米国がウクライナへの関与を止めれば、ロシアはイランに接近しないというディールも、クレムリンは想定しているだろう。 この電話会談の後、トランプ氏はロシアのG8(主要8カ国)復帰やウクライナ大統領選の必要性、ロシアや中国との核軍縮交渉に言及した。 プーチン氏が電話会談でトランプ氏に振り付けた可能性がある。 今後の首脳交渉がロシアのペースで進展する危うさを感じる。 ウクライナのゼレンスキー大統領は、米国抜きのウクライナの安全保証はあり得ないと主張してきた。 だが、トランプ氏はウクライナの北大西洋条約機構(NATO)加盟には否定的であり、ウクライナでの平和維持活動に米軍を派遣しないとも言っている。 対面交渉が始まる前に、米国自身がロシアとの交渉の余地を狭めてしまっている。 ゼレンスキー氏が2025年2月15日の演説で、ウクライナ軍と共に 「欧州軍」 を組織すべきだと発言したのは、米国抜きの状況では欧州に頼らざるを得ないからだ。 ただ、欧州諸国の間には温度差がある。 フランスや英国が平和維持軍を派遣することに前向きだが、ドイツやポーランドは慎重だ。 プーチン氏からすると、米国抜きの欧州、足並みが揃わない欧州こそが有難い。 日本は、力による現状変更は認められないという立場で、ロシアへの制裁とウクライナへの支援を行ってきた。 欧州で法支配に基づく国際秩序が崩れれば、日本周辺でも同じことが繰り返されかねない。 国際秩序を維持するため、欧州と協調しながら米国に働きかける必要がある。 トランプ政権が対中国に専念したいのは理解できる。 だが、ウクライナで停戦が成立したとしても、ロシアの動きは本当に収まるのか。 果たして、中国とロシアを切り離すことができるのか。 やった者勝ち≠フ弱肉強食の国際社会になれば、ロシアも中国も更に勢いづくだろう。 力による現状変更を認めない原則が失われた形で、米国が東アジアに集中することが望ましいのか。 冷静な議論が必要であろう。 ヒト、モノ、カネを総動員 露・ウクライナの死傷者100万人突破か 侵略3年 2025/2/24 9:00 https://www.sankei.com/article/20250224-EOMUD7D7HFJEJGZSV3QHOQ7AQI/ ロシアによるウクライナ侵略は2025年2月24日、開始から3年を迎えた。 戦闘は長期化し、両国の消耗戦と化している。 両政府や英国政府の発表を総合すると、昨年2024年末時点で両国の死傷者数は100万人を大きく超えた。 戦況に決定的な変化はないが、ウクライナの支配域はじりじりと縮小しているのが現状だ。 米シンクタンク「戦争研究所」によると、ロシアはウクライナ東部で優勢な地域を拡大している。 昨年2024年1年間で4168平方キロ増やした。 昨年2024年5月には北東部ハリコフ近郊で新たな戦端を開いた。 一方、ウクライナは昨年2024年8月、電撃的にロシア西部クルスク州の越境攻撃を開始。 一時は占領地域を1300平方キロにまで広げたが、ロシア軍の反攻を受けて後退を余儀なくされた。 今月2025年2月13日の時点で、同州のウクライナ占領地域は500平方キロに縮小している。 公開情報から装備の被害を推計する軍事情報サイト「オリックス」(Oryx)によると、両国の損害は戦車だけで計4千台を超えた。 無人偵察機などのドローンも両国で計1千機超が損耗しており、継戦には大量の物資投入が必要となっている。 英シンクタンク「国際戦略研究所」(IISS)によれば、ロシア軍の総兵力は113万4千人でウクライナ軍は73万人。 ロシアの軍事関連支出は侵略開始前の2021年は500億ドル(約7兆5千億円)程度だったのが、予算案ベースで25年は1700億ドルを超えるとみられる。 欧米や日本からウクライナへの支援も総額が膨らんでいる。 独シンクタンク「キール世界経済研究所」のデータでは、戦車などの軍事援助の他、資金援助、人道援助を合わせた各国・地域の支援総額は2670億ユーロ(約42兆1千億円)となった。 国別で最大は米国で1140億ユーロ。 日本は軍事援助はゼロだが、他の援助を積み上げ、国別でドイツ、英国に次ぐ4位の110億ユーロ。 欧州全体では1320億ユーロと米国を上回った。 同研究所によると、物資面の援助は当初、在庫の兵器が多かった。 だが、戦争の長期化で両軍の損耗が激しくなり、最近は新規調達による兵器の援助が拡大し、半数近くが新規調達となっている。 ■ウクライナ国民8割超「ストレスと緊張」 ウクライナでは、戦争の長期化とともに、メンタルヘルスの問題を抱える国民が急増している。 調査では国民の8割超が「ストレスや緊張」を感じていると回答しており、対策が急務だ。 ウクライナのメンタルヘルスの専門家が2025年2月中旬に来日し、現状を語った。 ウクライナ政府の 「メンタルヘルス調整センター」 のオクサナ・ズビトネワ氏によると、今年2025年実施された調査に対し、国民の83%がストレスや緊張を感じていると明らかにした。 また、ウクライナ国内では、心的外傷後ストレス障害(PTSD)の新規患者数が急増。 2021年に3167人だった患者数は、2022年に7051人、2023年には1万2494人となったという。 国民が高いストレス下にある状況にズビトネワ氏は、 「多くの人が戦争は長く続かないと思っていた」 「先の見えない状況は人間にとって耐えがたい」 と指摘。 国民の精神面でのケアは戦争が終結したとしても 「数十年に渡って取り組まねばならない」 と述べた。 北朝鮮兵が「無謀な犠牲者」に ドローンの標的、ウクライナ戦争で4千人死傷か 手榴弾による自死も 2025/2/24 7:00 https://www.sankei.com/article/20250224-BYVEGCIVKNPEHETSZU2DFOIOYE/ ロシアによるウクライナ侵略から2025年2月24日で3年を迎えたが、2024年にロシア西部クルスク州に露軍側の応援部隊として投入されたのは、6千キロ以上離れた朝鮮半島から派遣された北朝鮮兵だった。 金正恩指導部はロシアからの外交・軍事上の見返りに期待しているとみられるが、北朝鮮兵は無人機(ドローン)などを駆使した現代戦に対応できず、犠牲者の報告が相次いでいる。 「ロシアはまともに(ウクライナ軍に対抗する)砲射撃をしてくれなかった」 「我々は無謀な犠牲者になりました」。 ウクライナ軍の捕虜となった20代の北朝鮮兵は、2025年2月19日付の韓国紙・朝鮮日報でのインタビューで、北朝鮮兵が突撃部隊として最前線に配置された状況を証言した。 北朝鮮兵は約1万2千人が派遣されたとみられ、昨年2024年11月以降、露極東地域などでの訓練を経てクルスクに動員されたことが確認された。 米情報機関は、北朝鮮側がロシア派兵を発案したとみている。 当初こそ歩兵部隊は 「最後の瞬間まで退却せず、激しく素早い」(ウクライナ軍関係者) と評価されたが、露軍との連携が十分ではなく、ドローン攻撃などの餌食になっている。 英国防省の推計によると、2025年1月中旬までに約4千人が死傷し死者は約千人に上った。 捕虜になったり、遺体の身元が特定されるのを回避したりするため、手榴弾を顔付近で爆発させ自殺を図るケースも相次いでいるという。 北朝鮮兵捕虜は 「(朝鮮)人民軍では、捕虜になるのは変節(裏切り)のようなものだ」 と証言。 自殺を強いられる実情を明らかにしている。 韓国の情報機関、国家情報院によると、2025年1月中旬以降、北朝鮮兵は対ウクライナ戦に参加していない。 一時的な撤退とみられるが、米韓国防当局などは北朝鮮が追加派兵の準備を加速させているとの見方を示している。 ゼレンスキー氏、平和実現なら「大統領辞任」も トランプ氏の「独裁者」発言に腹立ち否定 2025/2/24 6:45 https://www.sankei.com/article/20250224-ZCIXBBHDQFNDRFWTMBD3QBZJ5E/ ウクライナのゼレンスキー大統領は2025年2月23日、首都キーウ(キエフ)で記者会見を開き、 「ウクライナの平和のために私の大統領職の辞任が必要であれば、私はそうする用意がある」 と述べた。 同時に、辞任に先立ってはウクライナの北大西洋条約機構(NATO)加盟などロシアの再侵略を防げるめどが立つ必要があるとの認識も示した。 現地メディアが伝えた。 これに先立ち、2025年2月24日で開始から3年を迎えたウクライナ戦争の終結を訴えるトランプ米大統領は、対露強硬姿勢を維持するゼレンスキー氏が和平を困難にしているとの認識を表明。 ゼレンスキー氏を選挙なしで大統領にとどまっている 「独裁者」 とも呼んでいた。 ゼレンスキー氏は、トランプ米政権がウクライナの頭越しにロシアと和平プロセスの協議を開始したことについて、仮に米露が何らかの合意を作り上げた場合でも 「ウクライナにとって不利なものなら署名しない」 と強調。 トランプ氏に 「独裁者」 と呼ばれたことについては 「何に腹を立てるのか」 「(本物の)独裁者ならそう呼ばれれば腹を立てるだろう」 「だが、我々は米国と生きていく」 と受け流した。 将来的な大統領選の実施に関しては、戒厳令の解除後になるとの従来の方針を改めて説明した。 ゼレンスキー氏は、トランプ米政権が支援の対価としてウクライナにレアアース(希土類)など資源権益の譲渡を求めている問題にも言及。 法外な要求には応じられないとの立場を改めて述べた一方、 「交渉は順調だ」 とし、ウクライナ側の意向が聞き入れられつつあるとする認識を示した。 ゼレンスキー大統領「ウクライナの平和得られるなら辞任も」 記者会見で発言 2025/2/24 0:34 https://www.sankei.com/article/20250224-26YR2FOUUJJTLKTH52PQNG666A/?738196 ウクライナのゼレンスキー大統領は2025年2月23日、 「ウクライナの平和につながるならば、私は辞任する用意がある」 と述べた。 ロシアの全面侵攻から2025年2月24日で3年となるのを前に、首都キーウ(キエフ)で開いた記者会見で発言した。 これに先立ち、トランプ米大統領は、対露強硬姿勢を維持するゼレンスキー大統領が和平プロセスを困難にしているとの認識を表明。 ゼレンスキー氏を選挙なしで大統領にとどまっている 「独裁者」 とも呼んでいた。 ゼレンスキー氏はまた、トランプ米政権が支援の対価としてウクライナにレアアース(希土類)権益などの譲渡を求めていることに関し、 「交渉は前進している」 とし、ウクライナ側の意向が聞き入れられつつあるとの認識を示した。 国連のグテレス事務総長、改めてウクライナ侵攻批判 戦闘停止と領土保全要請 2025/2/24 1:23 https://www.sankei.com/article/20250224-EGZ2NA25XNNF5IXQ6WLJTUQZXA/ 国連のグテレス事務総長は2025年2月23日、24日で3年となるロシアのウクライナ侵攻は 「国連憲章と国際法の明確な違反だ」 と改めて批判し、ウクライナの主権や領土の保全、戦闘の即時終了を呼びかける声明を発表した。 ウクライナでの戦闘は欧州の平和と安全に対してだけでなく、国連憲章や国際法など国連が掲げる秩序への脅威だと訴えた。(共同) 欧州、トランプ氏に反発と危機感 英仏「公正な和平」で米説得へ NATO脱退現実味 2025/2/23 18:44 https://www.sankei.com/article/20250223-ADURQGY4ZNKU5DYARAZUSAJFXU/ ロシアに侵略されたウクライナを過去3年間に渡って支援してきた米欧の連携態勢は、ウクライナ戦争の強引な幕引きを図るトランプ米政権によって瓦解の危機に直面している。 欧州の北大西洋条約機構(NATO)加盟国や欧州連合(EU)が米政権による欧州軽視の態度に反発と危機感を強める中、英仏首脳は今週、ワシントンでトランプ大統領に対し、米欧の関係修復と対露連携の立て直しに向けて説得を図る考えだ。 スターマー英首相は2025年2月22日、ロシアによるウクライナ侵略開始から2025年2月24日で3年になるのに合わせてゼレンスキー大統領と電話会談し、 「公正かつ恒久的な和平」 の実現に向けたウクライナへの 「揺るぎない支持」 を表明した。 スターマー氏はまた、今後の和平交渉は 「ウクライナが中心にいるべきだ」 と指摘し、ウクライナの頭越しに和平を進めようとする米露を牽制した。 スターマー氏は2025年2月27日にトランプ氏と会談する。 フランスのマクロン大統領も2025年2月24日にトランプ氏との会談を予定している。 マクロン氏は、和平交渉でロシアのプーチン大統領に融和的な姿勢を取れば中国やロシアに弱腰と受け取られ、将来に禍根を残すと訴える方針だ。 欧州諸国は、トランプ氏がプーチン政権の意向に沿う内容で和平合意の締結を図っていると危惧すると共に、こうした米政権の態度がロシアに東欧の旧ソ連勢力圏に対する領土的野心を掻き立てることに強い警戒感を抱く。 更に、ウクライナ戦争を終結させて米国の欧州への関与を減らそうとしているトランプ氏がNATO脱退に踏み切る事態も現実的だとする見方が強まりつつある。 欧州は、独自の防衛力強化の取り組みを積極化させることで、米国の 「欧州は米国に防衛をただ乗りしている」 との批判を封じ、米欧の連携が欧州の平和と安定に不可欠だと訴える構えだ。 NATOは昨年2024年末までに加盟各国の国防費を国内総生産(GDP)比で最低2%とする目標に関し、32カ国中23カ国が達成した。 NATOのルッテ事務総長は2025年6月の首脳会議までに3%を上回る水準まで目標を引き上る意向を示す。 ただ、加盟各国がトランプ氏が要求する 「GDP比5%」 を実現させるのは極めて困難とみられ、トランプ氏がこれを口実に米国をNATOから脱退させる恐れは否定できない。 「ロシアの戦争犯罪忘れるな」 ウクライナ侵略3年 都内で拉致された子供の物語を紹介するイベント 2025/2/23 18:34 https://www.sankei.com/article/20250223-NQYUW6AFSRNYNEQF4KEXKCDQ64/ ロシアのウクライナ侵略開始から2025年2月24日で3年となるのに合わせ、露軍に連れ去られたウクライナの子供たちの物語を紹介するイベントが2025年2月23日、東京都新宿区のレンタルスタジオ「シアターウイング」で開かれた。 トランプ米政権がロシアと和平交渉を進める中、主催者らは 「ロシアの戦争犯罪を忘れるな」 と訴えた。 米国の支援団体「バード・オブ・ライト・ウクライナ」が主催し、昨年2024年秋にニューヨークで開かれた写真展「Empty Beds(空っぽのベッド)」の写真を紹介。 拉致された子供が使っていたベッドやぬいぐるみの写真十数枚がモニターに映し出された。 団体によると、ロシアに拉致されたウクライナの子供は1万9546人以上に上り、帰還できたのは1割に満たないという。 「空っぽのベッド」 を撮影した米国人写真家、フィル・ビューラーさんは 「再会の兆しもない家族は多い」 「ロシアの戦争犯罪を見て見ぬふりはできない」 と語った。 17歳でロシアに連れ去られ、ウクライナに帰還したロスティスラフさん(19)もオンラインで参加し体験談を語った。 ロシアでは 「ウクライナは将来なくなる」 などと洗脳されたといい、 「もっと小さい子供も拉致された」 「ロシアの洗脳を信じてしまうかもしれない」 と不安を語った。 和平交渉を進めるトランプ米大統領がロシア寄りの発言を繰り返していることについては、 「ウクライナの利益に配慮し、持続可能な平和を実現しないといけない」 「そうでなければロシアの戦争犯罪を受けた私のような被害者に不公平だ」 と述べた。 イベントに参加した40代男性は 「自分にも子供が3人いるが、(拉致された子供や親を思うと)言葉にできない」 「同じ地球上で起きているこの現実をもっと大勢が知る必要がある」 と話した。 ウクライナ、欧州の支援強化に期待 和平では「独立維持」「安全の保証」が絶対条件 2025/2/23 18:16 https://www.sankei.com/article/20250223-HKQGT56HYJKDLFDSEB6PQ23BHM/ ウクライナのゼレンスキー政権は、侵略戦争を巡ってトランプ米大統領が想定以上にロシア寄りの姿勢をとっていることに困惑を深めている。 トランプ氏に翻意を促すべく対米関係で巻き返しを図るとともに、欧州諸国に支援強化を訴えていく構えだ。 和平協議については、戦線の凍結には同意できるものの、独立の維持とウクライナに対する「安全の保証」が絶対条件だと考えている。 トランプ氏は2025年2月12日にプーチン露大統領と電話会談し、和平協議を即時開始することで合意。 2025年2月18日にはサウジアラビアで米露の高官協議が行われた。 これと相前後して、トランプ氏や米政権高官からウクライナに対する事実誤認を含む厳しい発言が相次いだ。 ゼレンスキー氏は、ウクライナと欧州諸国を抜きにしての和平協議は 「あり得ない」 と強く反発。 トランプ政権がこれまでの支援の代償として、鉱物資源権益の50%を譲渡するよう求めた文書には署名を拒否した。 ゼレンスキー氏の説明では、ウクライナのこれまでの武器費は3200億ドル(約47兆7千億円)。 うちウクライナの支出が1200億ドルで、米国と欧州連合(EU)諸国の支援が計2千億ドルだという。 米国とEUの支出割合はほぼ同じとされ、米支出が減る場合にEUが埋め合わせることを期待する。 ゼレンスキー氏は欧州各国の首脳と精力的に電話会談を重ねており、戦争の帰趨は欧州の安全保障に直結すると訴えて理解を求めている。 対米関係では、今後の支援について確約を得られるのであれば、レアアース(希土類)開発などを巡る経済協力の文書を米国と交わしたい考えだ。 トランプ氏はウクライナ大統領選の実施を求めているが、戒厳令下では国政選挙が禁じられている。 ウクライナ政界では、安定的な停戦に至った場合、数カ月間の準備期間を得て実施すべきだとの考え方が優勢だ。 最近の世論調査でゼレンスキー氏の支持率は57%となっている。 軍事面では、防衛を通じて露軍を損耗させる 「積極防衛」 を継続する方針だ。 ウクライナ国立戦略研究所のベレスコフ氏は、ロシアを勝利させないことと、交渉に有利な戦況を作ることの2点は軍事的に十分可能だと話す。 ロシア、余力低下も強気姿勢で「完勝」追求 プーチン氏、冷戦後に敗者と見下され反発 2025/2/23 17:42 https://www.sankei.com/article/20250223-DFD3U2CGB5L43J5YPQKB46GUDY/ 3年間に渡ってウクライナ侵略に伴う欧米の経済制裁下にあるロシアは経済的にも軍事的にも余力が低下している。 それでも 「停戦が実現しなくてもロシアは困らない」 との強気の姿勢を貫くことで、和平を急ぐトランプ米大統領の焦りを誘い、ウクライナに抗戦断念を働きかけさせようとするとみられる。 「完勝」 を狙うロシアが停戦のために安易な譲歩に応じる可能性は低い。 「チキンレースで先にブレーキを踏むのは恥だと考えている」。 ある露専門家はロシアの現状をこう分析する。 ロシアでは制裁などを背景にインフレが加速。 露中銀は昨年2024年秋、インフレ抑止のため政策金利を21%という異例の高水準に設定したが、反動で銀行からの資金調達に抵抗感が広がり、投資や企業活動が鈍化している。 レシェトニコフ経済発展相は今月2025年2月、 「経済冷却の兆候が見え始めている」 と危機感を表明。 複数の露メディアも最近、企業倒産が2025年年内にも相次ぐ恐れがあると警告している。 軍事面でもロシアは戦場で数十万人規模の死傷者を出している他、戦車や装甲車も枯渇しつつあると分析されている。 それでもプーチン大統領は 「制裁で欧米はロシア以上の痛みを受けている」 「戦場で露軍は勝利する勢いだ」 と強調。 今月2025年2月のトランプ氏との電話会談でも 「停戦には紛争の根本原因の除去が必要だ」 と伝え、ロシアの要求が満たされない限り停戦に応じないという意思を明確にした。 プーチン氏が今回の軍事作戦を始めた最大の動機は、欧米諸国にロシアの力を思い知らせることだった。 プーチン氏の論理を要約すれば、東西冷戦の終結後、欧米はロシアを敗者として見下し、ロシアの 「勢力圏」 であるべきウクライナすら北大西洋条約機構(NATO)に引き込もうとした。こうしたロシア弱体化政策を看過すればロシアは没落し、2度と浮上できないという。 プーチン氏はこうした考えに基づき、停戦条件として、 ▽ウクライナのNATO非加盟の確約 ▽反露政策の放棄 ▽南部クリミア半島と東・南部4州のロシアへの割譲 などを掲げている。 プーチン氏が如何なる対価を払ってでも自身の主張を突き通す構えである以上、ディール(取引)を通じて停戦実現を狙うトランプ米政権の手法が効果を発揮するかは疑問が残る。 米、政権交代で一変 「頭越し」交渉進めるトランプ氏 レアアース確保狙う 2025/2/23 17:08 https://www.sankei.com/article/20250223-54X4UK5XLVIZZDEQYRMDYAAHRM/ ロシアによるウクライナ侵略を巡る米国の対応は、2025年1月にバイデン前大統領からトランプ大統領に政権が代わったのを境に一変した。 トランプ氏はウクライナや欧州の頭越しに対露交渉を進める姿勢を強め、支援の対価としてウクライナからレアアース(希土類)権益の確保を狙っている。 「彼ら(ウクライナ)はカードも持っていないのに自分たちを強く見せようとしている」。 トランプ氏は2025年2月21日、ホワイトハウスでの会合で、ウクライナとの関係をポーカーになぞらえた。 トランプ氏は 「プーチン露大統領と良い話し合いができた」 と2025年2月12日の電話での米露首脳会談を振り返り、 「ウクライナとはそれほど良い話はできていない」 とも語った。 トランプ氏のゼレンスキー氏に対する冷淡な態度の背景には、5千億ドル(約76兆円)相当とされるレアアース権益の譲渡に同氏が応じないことへの苛立ちがある。 トランプ氏は度々、米国は2022年2月のロシアによる全面侵攻以降、ウクライナに 「3500億ドル」 の支援を供与したと主張し、その見返りを求める考えを示してきた。 だが、対外支援を巡る米監査によれば、2022年以降に議会承認されるなどした支援は、周辺の北大西洋条約機構(NATO)加盟国向けなどを含め約1830億ドルで、トランプ氏の主張とは大きな開きがある。 軍事支援の多くは米国製の武器や弾薬で、国内経済への貢献も大きい。 バイデン前政権は、NATOや先進7カ国(G7)などの枠組みも活用し、 「必要な限り支援を続ける」 との方針を堅持。 一方で航空機や長距離兵器の供与・使用に慎重な姿勢を見せた。 侵攻を阻止しつつ、戦争の拡大を防ぐとの目標を両立させるためだ。 これに対し、トランプ氏は、 「支援疲れ」 が強まる米世論も意識し、プーチン氏とのディール(取引)による早期の戦争終結と米国の利益確保を目指している。 「だが、そのために友好国を強請ってどうするのか」。 第1次トランプ政権で大統領補佐官(国家安全保障問題担当)を務めたジョン・ボルトン氏は2025年2月21日、米テレビで疑問を投げかけた。 ウクライナからの避難民3年で2700人 いまも2000人が日本国内に 2025/2/23 16:04 https://www.sankei.com/article/20250223-D3XIO4TXC5IV5GZJBFQYDW67ZM/ 法務省によると、ロシアのウクライナ侵略開始以降、今年2025年1月31日までの約3年間で、日本への避難民は計2747人(男性803人、女性1944人、速報値)に及び、今も約2千人が日本国内に暮らす。 2747人の内訳は年齢別で18歳未満410人、18歳以上61歳未満1957人、61歳以上380人。侵略開始直後の2022(令和4)年前半には月に300〜400人、今でも月に10人程度が日本に避難している。 来日した避難民の人道支援を続けてきた日本財団は、生活費や日本語を学ぶための奨学金など財政面の他、民間団体を通じた相談事業など計約52億9千万円を支援に投じた。 約2千人の避難民に1人当たり年間100万円の生活費を支援してきたが、期限は3年。 開始時期に応じ順次終了する。 就業や日本語教育の支援は継続するとしており、支援の段階は自立へと移りつつある。 日本財団が昨年2024年10〜12月に18歳以上の避難民約900人を対象に行ったアンケートでは、 「できるだけ長く日本に滞在したい」(44・4%) 「状況が落ち着くまではしばらく日本に滞在したい」(27・1%) といった回答が目立ち、 「なるべく早く帰国したい」は1・4% にとどまった。 また一緒に避難してきた子供の今後の進学先は 「日本の学校に進学する」(65・6%) 「母国の学校に進学する」(14・3%) となり、日本国内に生活基盤を移そうとする傾向がみられる。 ただ自立へのハードルは高い。生活費支援の終期が見えている中、日本で仕事を得た避難民は半数を超えるが、うち7割以上はパートタイムの雇用という。個別回答では 「より良い未来を築いていきたいが、サポートなしではとても難しい」(20代女性) 「現在はパート。正社員になれる仕事を支援して頂けると嬉しい」(40代男性) など、将来への不安を打ち明ける内容も目立った。 疲弊するウクライナ東部前線、最大の脅威はドローン 緊迫の避難「早く戦争終わって」 平和は来るのか ウクライナ侵略3年(1) 2025/2/23 15:00 https://www.sankei.com/article/20250223-AG4VPQTGJVONHPHUKETZQK3OKM/ 雪深い平原が続く氷点下のウクライナ東部ドネツク州。 ロシア軍と対峙する最前線から約11キロの村落にウクライナ軍歩兵部隊の休息拠点が設けられていた。 部隊はドネツク州の激戦地ポクロフスク方面の戦闘に従事している。 3日間を前線の陣地で過ごし、3日間を空き民家で休息するのが部隊の勤務サイクルだ。 近くには歩兵の輸送や戦闘援護に使われるカナダ供与の耐地雷装甲車が、厳重なカムフラージュを施して止められていた。 「敵(ロシア軍)のFPV(一人称視点)ドローンに見つかれば、すぐに攻撃されてしまう」。兵士らは慎重に一部だけカムフラージュを外し、写真撮影に応じてくれた。 「昨年春にハリコフ州の前線から転戦してきたが、ここでの戦闘は遥かに激しい」 「FPVドローンが最大の脅威だ」。 装甲車の運転を担当するドミトリー(39)は語った。 1年前には露軍の航空機から発射される滑空爆弾がウクライナ軍を悩ませていた。 ここにきて爆発物を搭載した 「カミカゼ・ドローン」 がそれに取って代わったという。 ドローンに対しては電波妨害で無力化を図るのが定石で、今や電子戦装置なしで前線に出ることはできない。 露軍はしかし、電波妨害の影響を受けないよう光ファイバーケーブルで操縦者と通信する新型のドローンも投入し始めている。 「最近は露軍の勢いがなぜか鈍化し、戦線は安定している」 「我々が久々に村落を奪還し、士気も少し回復した」。 少佐のヤロスラフ(41)は直近の戦況をこう説明しつつ、 「もちろん現場の士気は(抗戦1年目の)2022年とはだいぶ違う」 と打ち明けた。 「防衛をある程度続けることはできるが、欧州と米国の支援なしに状況を転換させることはできない」 「皆、現実的な見方をしている」 ヤロスラフによると、耐地雷装甲車の約9割は既に失われ、訓練の不十分な新兵が増えている。 最も危険が多い兵種である歩兵部隊では、前線に出ることを拒否するといった命令不服従も珍しくない。 トランプ米大統領とプーチン露大統領による交渉については 「皆、塹壕から頭だけ出して様子を伺うような心境だ」 という。 「でも、我々が外交交渉に影響を与えることはできないからね」 「良い結果を期待するだけだよ」 とヤロスラフは語った。 ■「ウクライナに住み続けたい」涙を見せた女性 別の日の午前、ポクロフスク戦線から10キロ余りの小都市ベリツコエ。 遠方から 「ボーン、ボーン」 と絶え間なく砲撃の音が聞こえる中、地元警察の装甲車両が前線地区の村落から避難させた男女2人を運んできた。 「(村では)爆撃が酷く、ほとんど寝られない状況だった」 「着替えとパスポート(身分証)しか持ってきていない」。 車両を降りたった電気技師の女性、ナタリヤ(55)が話した。 彼女はボランティア団体のバスで隣接州の一時避難所に移された。 「これからの生活のことは全く分からない」 「早く戦争が終わって良い明日が来てほしい」 という。 もう1人の高齢男性は心臓を患っており、すぐに病院に搬送された。 前線地域からは既に大半の住民が避難を終えているが、高齢者を中心に残留している人がまだいる。 「他地域で新たな生活を始める資金がない」 「住み慣れた土地を離れたくない」 といった理由からだ。 地元警察は今、本人や親族などの通報に基づいて残留住民を避難させている。 「昨年2024年12月にポクロフスク方面の避難を始めたが、当時はまだ集合場所や日時を決め、住民をまとめて連れてくる余裕があった」 「今はFPVドローンの攻撃に晒される日々で、とてもそんな悠長なことを言っていられない」。 警官の1人は緊迫する避難作業の現場をこう説明した。 ベリツコエで商店を営む女性、オクサーナ(50)は 「この町は炭鉱などがあってとても発展していたのだが、戦争で若い人たちが出ていってしまい、今は伽藍洞だ」 と嘆く。 「兵士も住民も疲れている」 「(ロシアに奪われた)領土を武力で奪還することは出来ず、是非停戦交渉で合意してほしい」 「どんな戦争も交渉で終わるのだ」 「これ以上、州が破壊されるのは忍びない」 彼女は時折目に涙を浮かべながら話し、こうも付け加えた。 「私はソ連時代の生まれだが、故郷はウクライナだ」 「(ロシアでなく)ウクライナに住み続けたい」 #NAME? ◇ ロシアによる侵略開始から3年。 ウクライナでは兵士や市民の間で疲労の色が濃くなっている。 戦闘が長期化する中、いつ平和は来るのか。 ウクライナの現状をルポする。 FPVドローン FPVは「First Person View」の略で、「一人称視点」と訳される。 ドローン(無人機)に内蔵されたビデオカメラから送られる映像を通じ、操縦者が戦場をリアルタイムで把握しながら攻撃、偵察などを行う。 ロシアとウクライナ、交渉見据え立場強化狙う 24日で侵略3年、民間人1万2千人超犠牲 2025/2/23 14:12 https://www.sankei.com/article/20250223-LYMUARLISBJLVIOGN6SCE5L56Q/ ロシアによるウクライナ侵略は2025年2月24日、開始から3年を迎える。 ウクライナ軍は昨年2024年8月、劣勢を打開しようと露西部クルスク州への越境攻撃に着手。 ロシアは北朝鮮兵も同州に投入して反撃する一方、ウクライナ東部で徐々に前進している。トランプ米大統領が和平プロセスを本格始動させた中、ロシアとウクライナは将来的な停戦交渉を優位に運ぶためにも戦場で成果を示したい構えだ。 ウクライナ領の20%超を支配下に置く露軍は現在、全域の制圧を狙うウクライナ東部ドネツク州で攻勢を継続。 ウクライナ軍の防衛線を突破し、主要都市クラマトルスクなどへの進軍ルートを確保しようとしている。 一方、ウクライナ軍は守備を固めつつ、露国内の弾薬庫などへの攻撃を続け、攻勢が維持できなくなる水準まで露軍を損耗させたい思惑だ。 クルスク州でも、占領地域の維持を図るウクライナ軍と、同州奪還を狙う露軍の戦闘が続いている。 全体的な戦況は国力で劣るウクライナが不利に立たされている。 両国軍の損害に関しては確証のあるデータが存在しないが、欧米当局や研究機関などの推計を総合すると、双方とも数十万人規模の死傷者を出している可能性が高い。 国連は今年2025年1月、これまでにウクライナで子供650人を含む少なくとも計1万2300人超の民間人の死者が確認されていると発表した。 トランプ米政権は双方から譲歩を引き出し、停戦に導く構想を示唆している。 ただ、プーチン露大統領はロシアの要求が満たされない限り停戦には応じない姿勢を堅持。 ウクライナのゼレンスキー大統領も停戦には欧米によるウクライナの安全の保証が必要だとしている。 和平プロセスは既に難航が予想されている。 ロシアは2022年2月24日、ウクライナの「中立化」や「非ナチス化」、「非軍事化」などを掲げて全面侵攻を開始した。 <産経抄>ウクライナを忘れない、侵略戦争から3年 2025/2/23 5:00 https://www.sankei.com/article/20250223-32OXWZWLHNPJDP62T7D5RLNQNM/?881329 人は忘れやすい生き物である。 ドイツの心理学者エビングハウスによれば、覚えた事柄の42%は20分後に忘れるという。 1時間後には56%、1日後には74%を忘却する。 人はそれゆえ繰り返し学び、思い出し、記憶に定着させる。 ▼ロシアがウクライナへの侵略を始めてから3年になる。 露軍の暴虐、苦難に耐えて戦い続けるウクライナ国民の強さを、メディアは繰り返し伝えてきた。 罪を負うべきはプーチン露大統領であり、どれほど時間が経とうと、その事実は変わらない。 ▼避難した先のロンドンで働く通訳の男性は、英首相官邸近くで毎週デモに加わり、ウクライナを忘れるなと訴え続ける。 「これはウクライナだけの戦争じゃない…全体主義に対する民主主義の戦いなんだ」 (『ウクライナ わたしのことも思いだして』ジョージ・バトラー著)。 ▼トランプ米大統領はしかし、侵略戦争を 「ウクライナが始めた」 と難じ、ゼレンスキー大統領を 「独裁者」 と痛罵する。 米露の停戦交渉はウクライナや欧州の頭越しに進みつつある。 トランプ氏の記憶力を疑うわけではないが、非難の矛先を誤ったまま決着を急ぐ構図は危うい。 ▼帝政ロシア期のウクライナの詩人、タラス・シェフチェンコに『遺言』という詩がある。 <さあ、わたしを地に埋めて、立ちあがれ。重い鎖を断ち切り、手に入れた自由を圧政者たちの血で洗え>。 かの国にとり、解放は血に刷り込まれた願いだ。 ▼詩には続きがある。 <そして、すばらしい新たな家族とともに、自由の民とともに、やさしい言葉でそっと、わたしのことも思いだしてくれ>。 祖国を守るため、今も前線や銃後で戦う人々を見放してはなるまい。 小欄もまた、繰り返し書き続けていく。 プーチン氏望めば「ウクライナ全土を手に入れられる」 トランプ氏、ロシア側の優位性示唆 2025/2/22 7:53 https://www.sankei.com/article/20250222-44FSXET22JNODHHHBTFLTYTTAU/ トランプ米大統領は2025年2月21日放送の米FOXニュースラジオのインタビューで、ロシアのプーチン大統領が 「望むのならウクライナ全土を手に入れることができる」 と述べた。 ロシアには 「攻撃すべき理由はなかった」 とプーチン氏を擁護。 ウクライナのゼレンスキー大統領が停戦交渉を 「困難にしている」 と話した。 トランプ氏は、自分が開戦当時に大統領だったなら、戦争は起きなかったとの持論を繰り返し、 「ロシアを容易に説得できたはずだ」 とした。 トランプ氏はウクライナが戦争を始めたかのように発言し、ゼレンスキー氏と舌戦になった。 番組では 「ロシアが侵攻した」 と述べたものの、プーチン氏の責任は認めなかった。 また 「ロシアは合意を望んでいる」 と述べる一方、停戦協議を巡ってロシア側が優位な立場にあると示唆し、 「なぜなら(プーチン氏が)望むのならウクライナ全土を手に入れることができるからだ」 と話した。 一方、ゼレンスキー氏が交渉カードを持たないまま開戦後の3年を過ごしたと指摘し、同氏の交渉参加は 「さほど重要ではない」 と語った。 米政権はウクライナが保有するレアアース(希土類)を供与するよう求めている。 ベセント財務長官をウクライナに派遣したものの合意を拒否されたことについて、トランプ氏は 「時間の無駄だった」 と失望を露わにした。 米が新たな鉱物供与案を提示 ウクライナに厳しい内容か、安全保障確約も含まれず 2025/2/23 11:52 https://www.sankei.com/article/20250223-XZQCDKHJLJNC7GSPQDKYH523X4/ ウクライナメディアは2025年2月22日、希少な鉱物資源を供与するよう同国に迫るトランプ米政権が、2025年2月21日にウクライナの天然資源採掘に関する新たな協定案を提示したと報じた。 ウクライナ側にとって 「当初より厳しい内容だ」 としている。 鉱物に加えてガスや石油も対象で、ウクライナ側が求める安全保障の確約は含まれていないという。 報道によると、トランプ政権はウクライナ資源で得られる収益を使った5千億ドル(約75兆円)規模の基金設立を提案。 新たな協定案は基金の全所有権を米国が持つとしている。 ウクライナ側は、基金の資金を同国への投資のみに用いるよう提案している。 トランプ大統領はワシントン近郊で2025年2月22日に開かれた会合での演説で、ウクライナが希少鉱物に関する合意に応じていないことへの不満を示した。 「合意にかなり近い」 とも述べた。 米国がウクライナ支援に使ってきた多大な資金を取り戻すため 「レアアース(希土類)であれ、石油であれ、得られるものは何でも求める」 と話した。(共同) トランプ米政権、ウクライナで「スターリンク」を遮断すると警告 希少鉱物資源の供与迫る 2025/2/22 15:25 https://www.sankei.com/article/20250222-GIMSLZKCBRM5PK7MGRT2L5F3WA/ トランプ米大統領は2025年2月21日放送のラジオ番組で、ウクライナのゼレンスキー大統領について、ロシアとの和平交渉の 「カードを持っていない」 と侮蔑し、希少な鉱物資源を供与するよう迫った。 ロイター通信は2025年2月21日、供与に応じなければ、米政権が米衛星インターネット接続サービス 「スターリンク」 をウクライナで遮断すると警告したと報じた。 実業家マスク氏率いる宇宙企業スペースXが開発したスターリンクはウクライナ軍が情報通信に利用しており、遮断されれば戦局に大きな影響を与える可能性がある。 ロイターによると、ウクライナ・ロシア担当のケロッグ米特使が2025年2月20日、首都キーウ(キエフ)でゼレンスキー氏と会談した際、米軍事支援の見返りとして鉱物資源供与の合意に達しなければスターリンクを直ちに遮断すると伝達。 ウォールストリート・ジャーナル紙は2025年2月22日にも合意する可能性があると報じた。 トランプ氏はゼレンスキー氏が和平交渉を 「難しくしている」 と不満を示し、同氏の参加は 「重要ではない」 とも主張した。(共同) ロシア外務次官「次回の米露協議、2週間以内にも」 第三国で開催、次官・局長級の見通し 2025/2/22 18:52 https://www.sankei.com/article/20250222-MSQNOCQMOBLOPOKMMEM4RCLI7Q/ 2025年2月24日でロシアの全面侵攻から3年となるウクライナ情勢を巡り、リャプコフ露外務次官は、米露間の協議が 「今後2週間以内」 に再び行われる可能性があると述べた。 国営ロシア通信が2025年2月22日、インタビューでの同氏の発言として伝えた。 米露はこれに先立つ2025年2月18日、サウジアラビアで外相級協議を開き、ウクライナ情勢や米露関係の修復などについて協議していた。 リャプコフ氏は次回協議も第三国で開催される予定で、場所を調整中だと説明。 次回は各省の次官級や局長級の協議になるとの見通しも示した。 米露協議の継続などで一致した2025年2月18日の外相級協議を巡っては、トランプ米大統領、プーチン露大統領とも結果に満足感を表明した。 一方、ウクライナのゼレンスキー大統領は 「ウクライナ抜きだ」 と批判した。 米露両国は将来的に両首脳の直接会談を行う方針。 ただ、プーチン氏は 「会うだけでは不十分で、ウクライナ情勢を含む重要問題を解決する必要がある」 と会談開催は成果の保証が前提になるとの立場を示している。 スターマー英首相、トランプ氏から「独裁者」呼ばわりされたゼレンスキー氏を擁護 2025/2/20 8:28 https://www.sankei.com/article/20250220-HBR6BPNAPZJTFI2GRJZC5WDIC4/ スターマー英首相は2025年2月19日、ロシアに侵略されたウクライナのゼレンスキー大統領と電話で会談し、トランプ米大統領がゼレンスキー氏を 「独裁者」 呼ばわりしたことを念頭に 「ゼレンスキー氏は民主的に選出された指導者だ」 と述べ、同氏への支持を表明した。英首相府が同日発表した。 トランプ氏は2025年2月19日、の交流サイト(SNS)上で 「ゼレンスキー氏は大統領選の実施を拒否している」 などと決めつける主張を展開した。 英首相府の声明によるとスターマー氏は、ウクライナでは戦時下の戒厳令で2024年3月に予定された大統領選が先送りされているのを踏まえ 「第二次世界大戦下の英国でも総選挙が先延ばしされた」 と指摘し、ウクライナでの選挙延期は 「完璧に理にかなっている」 と擁護した。 スターマー氏はまた 「全員が一緒に(和平に)取り組む必要がある」 と強調し、トランプ氏とゼレンスキー氏に関係修復を呼び掛ける一方、 「ロシアの更なる侵略を抑止する、ウクライナの永続的な平和に向けた米国主導の取り組みを支持する」 と強調した。 「ロシアの偽情報に取り込まれている」 ゼレンスキー大統領、トランプ米政権を痛烈批判 2025/2/19 22:30 https://www.sankei.com/article/20250219-VQD54I7ABZIYVITFUCTGSTPEUE/ ウクライナのゼレンスキー大統領は2025年2月19日、ウクライナ戦争の早期終結を訴えるトランプ米大統領について 「ロシアの偽情報に取り込まれている」 などと批判した。 トランプ氏がウクライナ支援の対価として5000億ドル(約76兆円)相当のレアアース(希土類)権益の譲渡を求めていることに関しても 「国を売ることはできない」 とし、容認できないとの立場を示した。 首都キーウ(キエフ)で開いた記者会見の発言をロイター通信などが伝えた。 過去にない厳しい発言で、ロシア寄りの姿勢を示すトランプ米政権への不満を鮮明にした。 ゼレンスキー氏はトランプ氏が2025年2月18日に 「ゼレンスキー氏の支持率は4%だ」 と発言したことについて 「事実と異なる」 とし、トランプ氏はロシア発の情報を鵜呑みにすべきではないと指摘した。 直近の世論調査でゼレンスキー氏の支持率は57%とする結果が出ていた。 ゼレンスキー氏はまた、開戦後の米国からの支援額は計1000億ドル弱だとし、レアアースを巡るトランプ氏の要求は法外だとする認識を示した。 ゼレンスキー氏はトランプ政権を 「ロシアを孤立から救おうとしている」 とも批判。 トランプ政権がウクライナでの大統領選実施に言及していることについて 「誰かが私を交代させようとしたとしても、今すぐは無理だ」 と述べた。 ゼレンスキー氏は2025年2月18日にも、ウクライナ抜きでロシアとの外相級協議を開いたとしてトランプ政権を非難していた。 2025年2月19日にはケロッグ米特使(ウクライナ・ロシア担当)がキーウを訪問した。 3日間の滞在中にゼレンスキー氏と会談する予定で、両国の見解相違の緩和に繋がるかが焦点となる。 <産経抄>ロシアに勝利を与えるな、トランプ氏の停戦交渉 2025/2/17 5:00 https://www.sankei.com/article/20250217-PGYBHDF3XVKXPMQZPZJT62PAVY/ 先の大戦後、ソ連がシベリアなどに連行した日本人は約57万5千人にも上る。 かつてソ連を構成したウクライナは、抑留地の1つである。 同国第2の都市ハリコフには大規模な収容所があり、多くの日本人が強制労働を課された。 ▼小紙『正論』執筆者でノンフィクション作家の早坂隆氏によれば、ハリコフの人々は日本人に同情的で、差し入れも多かった。 抑留者の死亡率は他の場所より低かったと言われる。 同市はしかし、ロシアが一方的に始めた侵略戦争の戦場となった。 ▼ロシア軍がミサイル攻撃などで破壊した建物や道路の一部は、日本人抑留者が築いたものだ。 国境線を腕ずくで書き換えようとする愚かな振る舞いは、北方領土の不法占拠と重なる。 同じ相手に国土を踏みにじられた痛みは、日本とウクライナを繋ぐ共通言語と言えるだろう。 ▼間もなく3年になる侵略の終結に向け、トランプ米大統領が停戦交渉に乗り出した。 何とも危ういのは、ウクライナが望むクリミア半島併合前の領土回復も北大西洋条約機構(NATO)への加盟も、 「現実的ではない」 とする米側の見解である。 ▼ウクライナに多大な譲歩を迫る恐れが拭えない。 力による現状変更を認めるような幕引きは、災いの種を将来に残すだけだろう。 解決への第一歩はロシア軍の撤退しかない。 トランプ氏が為すべき事は妥協ではなく、勝利は与えないとプーチン大統領に決然と語ることである。 ▼台湾併吞を狙う中国にも、誤ったメッセージを発信してはなるまい。 事は、日本の安全保障にも関わる。 同じ痛みを知る国として、今一度、声を大きくして主張する必要がある。 ロシアとの間に引かれた国境線を、書き換えるべき事実はどこにもない、と。 欧州、ウクライナ「頭越し」のトランプ交渉に衝撃 焦るゼレンスキー氏も便乗して叱咤 2025/2/17 12:04 https://www.sankei.com/article/20250217-24ZLHL4ATVOGRHDHI6DHXL6E5E/ ドイツで2025年2月14〜16日に行われたミュンヘン安全保障会議では、トランプ米政権がウクライナ停戦交渉を 「欧州抜き」 で進める方針であることが明らかになった。 欧州に対する強い不信感も露わにし、会場を埋めた欧州の閣僚や要人たちは衝撃を隠せなかった。 米国ショックは2025年2月14日、バンス米副大統領が欧州の移民対策やSNS規制を例に挙げ、 「欧州について懸念されるのはロシアや中国よりも、『内なる脅威』だ」 と痛烈に批判したのが第一撃だった。 追い打ちをかけたのは、ウクライナ・ロシア担当のケロッグ米特使。 2025年2月15日の昼食会で停戦交渉の構想を話した時だ。 司会者に 「欧州は参加するのか」 と尋ねられると、 「答えはノーです」 と明言した。 問題の核心を話すには米露、ウクライナの3者に絞るべきだと主張。 「協議ばかりではだめだ」 と話した。 「ウクライナ支持」 「対露制裁の強化を」 と言いながら、欧州諸国が延々と会議を重ねることへの痛烈な皮肉だった。 司会者が 「欧州のウクライナ支援額は米国を上回った」 と反論すると、ケロッグ氏は 「正直に言う」 「あなたたちは実効力がなく、無残に失敗した」 「我々は同じ道は辿らない」 と言った。 2014年と15年、独仏が主導してウクライナ東部紛争解決を目指した 「ミンスク合意」 に触れ、欧州の失敗と位置付けた。 その後、ケロッグ氏は欧州やウクライナの閣僚との討論会に臨み、北大西洋条約機構(NATO)加盟の欧州諸国が過去10年、防衛費増額の努力を怠ったとなじった。 バルト海はロシアの主要な石油輸送ルートなのに、沿岸のNATO諸国が実効性のある封じ込め策をとっていないと不満を表明。 更に、2014年のロシアによるウクライナ領クリミア占領について 「我々に(責任を)押し付けるな」 「これはあなた方、欧州で起きたことでしょう」 と述べると、会場は静まり返った。 ウクライナのゼレンスキー大統領は、米露接近への焦りを露わにした。 「米国の支援なしにウクライナは生き残れない」 と訴え、つなぎ止めに懸命になった。 2025年2月15日の演説では、苛立ちの矛先を欧州に向けた。 バンス氏の欧州批判に乗る形で、 「欧州は変わらねばならない」 と訴えた。 ウクライナ軍と共に、 「欧州軍」 を組織すべきだという新構想まで披露した。 欧州側からは 「厳しい決断が必要」(バロ仏外相) など自省の言葉が出る一方、現状打開に向けた具体的な提案は皆無だった。 欧州軍構想には、応じる声すらない。 ポーランドのシコルスキ外相は 「欧州各国軍を統一するなど、あり得ない」 と一蹴した。 トランプ政権が「4月20日までに停戦」伝達か 露と近く協議開始、根強い頭越し懸念 2025/2/17 9:57 https://www.sankei.com/article/20250217-KGNJIW2CSVNWTAE2R64AWAPGYE/ 米ブルームバーグ通信は2025年2月16日、消息筋の話として、トランプ政権が欧州側に2025年4月20日のイースター(復活祭)までにロシアとウクライナの停戦を実現したいとの考えを伝達したと報じた。 米メディアは、ルビオ国務長官やウォルツ大統領補佐官(国家安全保障問題担当)がサウジアラビアで近く露側との協議を開始する意向だと伝えているが、ウクライナは米欧との合意形成を優先すべきだとしており、協議が前進するかは見通せない。 ブルームバーグによると、複数の関係筋は、露側との交渉で早期停戦を実現するとのトランプ政権の目標設定は 「非現実的」 だとしている。 トランプ大統領は2025年2月12日、プーチン露大統領と電話会談し、ウクライナでの戦争終結に向けた交渉を開始することで合意。 ウクライナや欧州諸国では、米露が関係国の頭越しにディール(取引)を結ぶことへの懸念が強まっている。 米国の対露交渉チームの一員であるウィットコフ中東担当特使は2025年2月16日、米FOXニュースで、協議を開始するために同日夜にウォルツ氏と共にサウジへ発つと表明。 ただ、ウクライナのポドリャク大統領府長官顧問は2025年2月15日時点でサウジでの協議に参加する予定はないとしており、米側の性急な動きが混乱を生む恐れもある。 ゼレンスキー氏、米露会談「危険だ」と警戒 バンス氏と会談でレアアース合意は見送り 2025/2/15 20:48 https://www.sankei.com/article/20250215-54QACF5SRFPEBKS35LS2KQSBFM/ ウクライナのゼレンスキー大統領は2025年2月15日、ドイツで開幕中のミュンヘン安全保障会議で、トランプ米大統領が進めるロシアとの停戦案を巡って演説した。 トランプ氏がプーチン露大統領との会談意欲を示したことについて 「危険だ」 と警戒感を示した。 米国はまず、ウクライナと共通の立場を固めるべきだと訴えた。 ゼレンスキー氏はまた、トランプ政権がウクライナ支援の見返りに同国産レアアース(希土類)の供給を求める考えを示していることにも言及し、 「話し合いを続けている」 と認めた。 ゼレンスキー氏は会議にあわせて2025年2月14日、バンス米副大統領が率いる米代表団と会談した。 会談では、レアアース問題が取り上げられたとみられる。 米紙ワシントン・ポストの記者は2025年2月14日、X(旧ツイッター)への投稿で、複数の米代表団関係者の話として 「米国は、将来的なウクライナの鉱物資源権益の50%を米国に与えるとする文書への署名を求めたが、ゼレンスキー氏は丁重に拒否した」 と伝えた。 <主張>米露停戦交渉 ウクライナの立場尊重を 社説 2025/2/15 5:00 https://www.sankei.com/article/20250215-NK6COJEWMFMK7I34A4VFJ3TKKI/ 今月2025年2月24日で3年を迎えるロシアのウクライナ侵略を巡り、トランプ米大統領とプーチン露大統領が停戦交渉の開始で合意した。 両首脳は遠からずサウジアラビアでの直接会談に臨むという。 第二次大戦以来最大規模の欧州での戦争終結に向けて外交が動き出したが、トランプ氏の仲介には危うさがある。 ウクライナの頭越しにロシアと協議を進め、多大な譲歩を強いる恐れがあることだ。 国連憲章に反し、自らの野望と力によって隣国の領土を蹂躙しているのは、プーチン氏である。 まずは占領地からの露軍撤退を強く迫ることが、交渉の出発点でなければならない。 だがトランプ氏は、ロシアが一方的に併合した南部クリミア半島を含む2014年以前の領土をウクライナが回復する可能性は低いとの認識を示した。 侵略の起点は 「2014年」 だという意識でウクライナ国民は祖国防衛に結束してきた。 その立場を軽んじる発言だ。 トランプ氏は、ウクライナの北大西洋条約機構(NATO)加盟は非現実的とも語った。 プーチン氏の罪は問わず、その利を汲む宥和的な態度が露骨だ。 プーチン氏はトランプ氏に、戦争の根本的な 「原因の除去」 が不可欠ともクギを刺した。 ウクライナに民主主義陣営の一員として平和と繁栄を希求する意思を放棄させ、露の属国とすることが、真意だ。 事実上の降伏を狙うプーチン氏との拙速な停戦合意は、次の侵略のゴーサインになりかねない。 トランプ氏が駆使すべきディール(取引)とは、ウクライナに軍事支援停止をちらつかせ、領土割譲を呑ませることではない。 プーチン氏の不当な要求をかわし、ウクライナの主権と領土の一体性を尊重することにある。 露軍が占領を続ける一部領土の主権まで放棄させるような妥協は許されない。 プーチン氏の再侵略を抑止する意味でも、ウクライナへの安全の保証は最重要の課題だ。 カギとなる平和維持部隊を派遣するのは欧州の責任である。 ロシアを支える中国や北朝鮮も交渉の帰趨を注視する。 力による現状変更を追認すれば、法の支配に基づく国際秩序は崩れ、中国は台湾併吞の野心を募らせるだろう。 日本は自国の安全保障と直結する課題として、停戦問題に関わるべきだ。 ウクライナ和平でトランプ政権の振り付け不発、バンス氏はゼレンスキー氏と会談 安保会議 2025/2/15 9:18 https://www.sankei.com/article/20250215-QBMX5WGNC5JY3KAXFJFFD3HWPY/ 米国のバンス副大統領は14日、ドイツで開かれたミュンヘン安全保障会議にあわせ、ウクライナのゼレンスキー大統領と会場近くで会談した。 トランプ米大統領は米露首脳会談に続き、今回の会議をウクライナ終戦への足がかりにしようとしたが、振り付け通りに事は進まなかった。欧州との溝の深さも露呈した。 ■「3者協議」実現せず ゼレンスキー氏との会談には米国からバンス氏のほか、ルビオ国務長官、ウクライナ・ロシア担当特使のケロッグ氏も参加。ゼレンスキー氏は会談後、 「よい会合だった」 と述べた。 「これが最後ではない」 として、協議継続の意欲を示した。 トランプ氏は安保会議を前に2025年2月13日、ミュンヘンで米国とロシアの代表団が2025年2月14日に会談し、ウクライナを招いて3者協議を行う構想を記者団に語っていた。だが、ロシア、ウクライナ双方が難色を示し、不発に終わった。 ロシアは、米露2国間の話し合いに持ち込みたい構え。 外務省報道官は、会議にロシアが招待されていないことを理由に、ミュンヘン行きの予定はないとした。 ゼレンスキー氏は2025年2月14日の安保会議で 「まず米国や欧州と共通の計画を固めるべきだ」 「ロシアと話すのは、それからだ」 と発言した。 「私はロシア側ではプーチン露大統領としか会わない」 とも述べた。 ■平和部隊も欧州沈黙 ウクライナの停戦後、同国の安全を保証する平和維持部隊構想についても、論議は不発だった。 平和維持部隊について、ヘグセス米国防長官は2025年2月12日、ブリュッセルでの会合で欧州を中心に組織すべきだと主張していた。 構想はマクロン仏大統領が昨年2024年提唱したものだが、フランスは反応しなかった。 マクロン氏は会議に合わせて英紙フィナンシャル・タイムズのインタビューに応じ、部隊派遣は 「適切で現実的な計画を交渉すべきだ」 と発言するにとどめた。 欧州では停戦後のウクライナの安全確保、部隊派遣やロシア占領地の扱いを、交渉のカギと位置付けている。 トランプ政権が、交渉開始前にロシア寄りの立場を示したことに不満は強い。 ピストリウス独国防相は会議で、ヘグセス氏がウクライナの北大西洋条約機構(NATO)加盟を排除したことに対し、 「本来は和平交渉で話し合うべきだ」 と怒りを示した。 ■異なるシグナル 米国側の発言も一貫性を欠く。 ヘグセス氏は2025年2月12日、ウクライナへの米軍派遣を正面から否定した。 だが、バンス氏はロシアが和平に応じない場合、軍事的圧力を加える可能性を示した。 米紙ウォールストリート・ジャーナルで、ウクライナへの米軍派遣という選択肢を 「検討中」 とし、 「経済面だけでなく、軍事的な手段もある」 と強調した。 こうした動きを睨み、リトアニアのナウセーダ大統領は、欧州は長期戦で臨むべきだとの構えを示した。 最初のトランプ政権時代にもNATOで米欧は対立したと振り返り、 「結局、我々は共に重要な決断をするに至った」 「反応は焦るべきでない」 と述べた。 バンス米副大統領、欧州に防衛負担増求める ゼレンスキー氏と会談へ ミュンヘン安保会議 2025/2/15 0:08 https://www.sankei.com/article/20250215-5SXY3L5YA5IMNHGNHJDZQFHMAY/ 米欧や日中韓など各国の首脳や閣僚が集うミュンヘン安全保障会議が2025年2月14日、ドイツで開幕した。 2025年2月14日に登壇した米国のバンス副大統領は北大西洋条約機構(NATO)の欧州諸国に向け、 「米国によらずに防衛を担うことが大事だ」 と訴えた。 バンス氏はミュンヘンで、ウクライナのゼレンスキー大統領と会談する予定。 ゼレンスキー氏は2025年2月14日、バンス氏との会談を前に記者会見を開き、交渉は欧州と連携して取り組む構えを示した。 トランプ氏はロシアを交えた3者協議構想を示していたが、 「まず米国や同盟国と話し、共通の立場を固めるべきだ」 「ロシアと話すのはそれからだ」 と発言。 米露による頭越しの妥結を牽制した。 ウクライナや欧州では、トランプ政権が停戦交渉前からロシアに歩み寄ったことに対して動揺が広がる。 ヘグセス米国防長官が2025年2月12日、 @ウクライナはNATOに加盟させない Aロシアが併合したウクライナ領クリミア返還は求めない などの米国の立場を明示したためだ。 ゼレンスキー氏は記者会見で、ウクライナが越境攻撃を続けるロシア西部クルスク州の情勢にも言及。 最大3000人の北朝鮮兵がロシア側に追加投入される可能性があるとの見方を示した。 会議は3日間の日程で、日本から岩屋毅外相が出席する。 会議にあわせて2025年2月15日、先進7カ国(G7)外相会合が行われる。 日米韓3国の外相会合も予定されている。 トランプ大統領がロシア寄りの発言を連発 「G8」復活主張、ウクライナは交渉の「一部」 2025/2/14 11:35 https://www.sankei.com/article/20250214-PWCPDI4IQ5JAHJHPABGPLSP3WY/ トランプ米大統領が、自身が仲介に乗り出したロシアとウクライナの停戦交渉を巡り、ロシア側に肩入れしているとも受け取れる発言を連発している。 2025年2月13日には先進7カ国(G7)にロシアを加えた主要8カ国(G8)の枠組みを復活させるべきだと主張。 侵略した側のプーチン露大統領を 「平和を求めていると信じている」 とも称賛してみせた。 今後の交渉では、米露がウクライナのゼレンスキー政権の頭越しにディール(取引)を結ぶとの懸念が取り沙汰される。 この点についてトランプ氏は同日、ホワイトハウスで記者団に、ウクライナは交渉の 「一部」 だとし、一応は同国の関与を認める姿勢を強調した。 ■NATO加盟は初めから否定的 その一方で、有力な交渉材料ともなり得るウクライナの北大西洋条約機構(NATO)加盟の可能性については初めから否定的だ。 「ロシアの立場にある国が(ウクライナの)NATO入りを容認できるはずがない」 と指摘。 ヘグセス国防長官が2025年2月12〜13日、ウクライナのNATO加盟や、ロシアがウクライナ南部クリミア半島の併合を一方的に宣言した2014年以前の領土を同国が回復するのは 「非現実的だ」 などと述べたのは 「とても正確だった」 とした。 またトランプ氏は 「G8(の枠組み)が残っていればウクライナの問題は起きなかっただろう」 「ロシアに(G8に)戻ってきてほしい」 とも主張した。 ■ロシアの政治宣伝に利用される恐れ だが、実際にはロシアが2014年3月にG8から除外されたのは、現在に続く同国によるウクライナの主権と領土への侵害の起点となったクリミア併合が理由だ。 西側諸国の盟主である米国の大統領がこうした経緯を無視することは、ロシアのプロパガンダ(政治宣伝)に利用されるなどの隙≠ニなる恐れがある。 更にトランプ氏は、2022年2月のロシアによる全面侵攻は 「バイデン(前大統領)がウクライナはNATOに加盟できると言ったからだ」 として前政権を批判した。 しかし、バイデン政権は2021年の発足当初からNATOの門戸開放政策を維持する一方、加盟を熱望するウクライナには言質を与えない方針を貫いた。 トランプ氏の主張は根拠がなく、侵略の正当化にも繋がりかねない。 ■ゼレンスキー氏よりプーチン氏優先 他にもトランプ氏は2025年2月12日のプーチン氏との電話会談について、周囲から 「プーチン氏の前にゼレンスキー大統領と話すべきだと助言された」 とした上で、 「私はそうは思わない」 とプーチン氏を優先したことを明らかにした。 2025年2月12日の交流サイト(SNS)への投稿でも 「ロシアとウクライナの人々に神の祝福を!」 と、ロシアを上位に置く配慮が際立つ。 交渉では、トランプ氏が掲げる 「力による平和」 が試されることになる。 ウクライナ、ミュンヘン安全保障会議で「ロシアと交渉しない」 米欧と合意形成を優先 2025/2/14 11:05 https://www.sankei.com/article/20250214-OTV4IN7PVZLT5PLRZ74F42Z5PM/ ウクライナのリトビン大統領広報顧問は2025年2月13日、ドイツ南部で2025年2月14日開幕するミュンヘン安全保障会議に合わせてウクライナとロシアの代表がウクライナ戦争の停戦に向けた協議を行う可能性を否定した。 地元メディアが伝えた。ロイター通信によると、これに先立ちトランプ米大統領は2025年2月13日、 「米露代表が2025年2月14日にミュンヘンで会談する」 「ウクライナも会談に招待されている」 と述べていた。 リトビン氏はウクライナの立場として 「まず米国や欧州各国と協議し、共通の合意を形成してからでなければロシアとの交渉には臨めない」 と説明。 現在はそうした合意がなく、 「ミュンヘンでロシアと交渉する見通しはない」 と述べた。 報道によると、トランプ氏は2025年2月13日、 「来週にはサウジアラビアでも米露が高官協議を開き、ウクライナも参加する」 と発言した。 ただ、実現するかは不透明だ。 米シンクタンク「プーチン氏に妥協の意思なし」 米露首脳会談巡り分析・評価相次ぐ 2025/2/14 9:32 https://www.sankei.com/article/20250214-R6PHRL2VJNOF5FFWVIIEEFXAWA/ 2025年2月12日に行われたトランプ米大統領とロシアのプーチン大統領の電話会談について、欧米諸国のシンクタンクやメディアは、ウクライナ戦争を巡ってプーチン氏に譲歩や妥協の意思がないことが改めて示されたと評価した。 トランプ氏が提唱する早期停戦の実現可能性を疑問視したり、欧米の結束の乱れを危惧したりする声も上がった。 一方、露国内では、会談は米国がロシアの立場を尊重し始めた証だとして歓迎された。 ■ロシア「自国の意思と利益を強要」 米シンクタンク「戦争研究所」は2025年2月12日、プーチン氏が会談で、和平には 「紛争の根本原因」 の除去が不可欠だと述べたことに着目。 これは北大西洋条約機構(NATO)へのウクライナの加盟問題などを指すとした上で、プーチン氏の発言は 「ロシアが米国と欧州に自国の意思と安全保障上の利益(の尊重)を強要しようとしており、そのために妥協する気がないことを示している」 と指摘した。 戦争研究所はまた、ウクライナのゼレンスキー大統領が最近、将来的な停戦交渉でウクライナ軍が占領している露西部クルスク州の一部とウクライナ国内の露占領地域を交換する構想に言及したことに対し、複数の露高官が占領地の交換を完全否定したと説明。 この事実も 「プーチン氏は如何なる妥協にも関心がなく、ロシアの全ての要求が満たされる和平合意にのみ応じる」 とする観測の正しさを裏付けているとした。 ■ロシアは高評価「高尚で礼儀正しい」 ウクライナメディアによると、英紙タイムズは2025年2月13日、プーチン氏はウクライナに和平の条件として南部クリミア半島と東・南部4州のロシアへの割譲やNATO加盟断念による 「中立化」 を求めていると指摘。 ロシアの要求は高く、 「トランプ氏がロシアの要求に完全に屈服することを避けつつ停戦を実現できるかは疑わしい」 と論じた。 他の欧米主要メディアも 「トランプ氏はプーチン氏に降伏した」 「米国はロシア孤立政策を放棄した」 「米露主導の交渉はウクライナや欧州にとって悪夢になる」 との見方を伝えた。 一方、ロシア側は会談を評価した。 タス通信によると、ラブロフ外相は会談が 「高尚で礼儀正しい2人」 により行われたと主張。 欧州の指導者らは見習うべきだとの考えを示した。 露下院外交問題委員会のニコノフ第1副委員長も 「会談は米国が現代世界でのロシアの重要性を理解していることを物語った」 と述べた。 トランプ政権のウクライナ和平交渉に「対露融和」「譲歩」と批判噴出 NATO国防相会合 2025/2/14 9:06 https://www.sankei.com/article/20250214-4GZL54HEPZLSTPAEST66C2SQRU/ ブリュッセルで13日開かれた北大西洋条約機構(NATO)国防相会合は、米露首脳がウクライナ戦争の和平交渉の早期実施で合意したことに関し、欧州の加盟国からトランプ米政権の取り組みが拙速な和平に堕することを懸念する意見が相次いだ。 対ウクライナ軍事支援で積極的な役割を果たしてきた欧州の頭越しに交渉の流れが作られたことへの不満も強く、今後も禍根を残しそうだ。 ロシアに欲しいものを全て与えている 会合に出席した欧州連合(EU)のカラス外交安全保障上級代表はNATO本部で記者団に 「交渉開始の前から(米国が)ロシアに欲しいものを全て与えているのはなぜか」 と疑問を呈し、トランプ米政権の取り組みは 「(対露)宥和政策だ」と 強い調子で批判した。 「その場しのぎの行動は不正な取引に繋がる」 とも指摘した。 ドイツのピストリウス国防相は、ヘグセス米国防長官がウクライナの領土を2014年の状態に回復することを和平合意に盛り込むのは 「非現実的だ」 と述べたことに対し、 「今の段階で米国がロシアに譲歩する必要はなかった」 と批判し、 「和平合意ではプーチン露政権の挑発行動を止められない」 と懸念を示した。 ウクライナや欧州が交渉当事者から外されることへの懸念も強い。 欧州とカナダは昨年、対ウクライナ軍事支援の約60%を負担しており、スウェーデンのヨンソン国防相は 「欧州が交渉に関与するのは当然だ」 と指摘した。 ■NATO加盟「約束していない」 NATOのルッテ事務総長は閉幕後の記者会見で 「ウクライナは必ず和平交渉に参加する」 と強調しつつ、ウクライナが停戦後の安全を保証する策として切望するNATO加盟について 「和平合意の中にNATO加盟が盛り込まれるとは約束していない」 と述べ、同国のNATO加盟を否定したヘグセス氏に同調する立場を示した。 NATO高官は 「ヘグセス氏の発言は和平合意の内容に盛り込むかどうかを述べたもので、NATO加盟自体を否定するものではない」 との解釈を示した。 ■ヘグセス氏「NATOを再び偉大に」 一方、ヘグセス氏は国際舞台で初の記者会見となる閉幕後会見で、ウクライナが領土を2014年以前の状態に回復できないのは 「戦況からも明らかな現実だ」 などと反論。 「トランプ大統領は地球上で最高の交渉者だ」 と主張して交渉の行方に自信を示した。 ヘグセス氏はまた、トランプ氏のスローガン 「米国を再び偉大に」 になぞらえて 「NATOを再び偉大にしなくてはならない」 と語り、欧州の加盟国が国防費を最大で国内総生産(GDP)比5%まで引き上げるなど、欧州の防衛強化に向けて応分の負担を担うことを改めて要求した。 ヘグセス米国防長官、ウクライナNATO加盟「非現実的」 平和維持へ米軍を派遣しない 2025/2/13 21:42 https://www.sankei.com/article/20250213-7ACPHSDGF5LWBL6VDIXLBEQZAM/ 北大西洋条約機構(NATO)は2025年2月13日、ブリュッセルで国防相会合を開いた。 今回が初参加のヘグセス米国防長官は、ロシアに侵略されたウクライナのNATO加盟を否定する一方、ウクライナ支援でNATOの負担増を要求。 米国の戦略的資源を対中国に全面投入したい思惑からウクライナ戦争の幕引きと欧州安保からの離脱を急ぐトランプ米政権の下で、NATOの結束は早くも揺さぶられた。 NATOのルッテ事務総長は2025年2月13日、米露首脳がウクライナ戦争の終結交渉の早期開始で合意したことに関し 「交渉は恒久的な和平を実現させるものでなければならない」 とした上で、ウクライナがより 「強い立場」 で交渉に臨めるようNATOによる支援継続の重要性を強調した。 また、交渉の過程では 「ウクライナの密接な関与が不可欠だ」 と指摘した。 一方、ヘグセス氏は同日、 「ロシアの戦争機構に立ち向かうのは欧州の責任だ」 と述べ、欧州の加盟国に国防費の大幅な増額を求めた。 ヘグセス氏は2025年2月12日、ウクライナで停戦が実現した場合は同国への安全の保証が必要だと認めつつ、同国のNATO加盟は 「非現実的だ」 と一蹴。 ウクライナの平和維持活動をNATO任務とせず、欧州を中心とする有志国が軍を展開すべきだとし、米軍を派遣しないとも明言した。 ルッテ氏によると、NATO加盟国によるウクライナに対する2024年の軍事支援の総額が500億ユーロ(約7兆8千億円)を超えた。 支援額の半分以上は 「欧州の加盟国とカナダからの拠出だ」 としている。 ルッテ氏は 「ウクライナへの軍事支援を平等化すべきだとするトランプ米大統領の主張に同意する」 と強調しつつ、欧州の加盟国がウクライナ支援を既に実質的に牽引していることを訴えた。 NATOは昨年2024年7月の首脳会議で、2024年に400億ユーロ規模の軍事支援を供与すると表明。 ルッテ氏は支援の規模を維持したい考えだが、ヘグセス氏は 「米国の最優先課題は中国をインド太平洋地域で抑止することだ」 とし、米国が欧州の安全保障への関与を減らす立場を明確に打ち出した。 トランプ氏「まず停戦」 プーチン氏「降伏」による戦勝 ウクライナ和平、行方は不透明 2025/2/13 19:54 https://www.sankei.com/article/20250213-2FJAOA56DZNVNFT2XSN2IABW2Q/ 2025年2月12日に行われたトランプ米大統領とロシアのプーチン大統領の電話会談は、ウクライナ戦争の早期停戦を訴えたトランプ氏と、停戦よりロシアの安全確保が先決だとするプーチン氏の立場の隔たりを鮮明にした。 ウクライナに割く資源を中国抑止や国内政策に振り分けるためにも和平プロセスを急ぎたいトランプ氏の仲介が今後、どう進展するかはなお見通せない。 会談でプーチン氏は、早期停戦を訴えたトランプ氏に 「紛争の根本原因を除去することが不可欠だ」 とクギを刺した。 ■譲歩否定のプーチン氏 プーチン氏が強調した 「紛争の根本原因」 の除去とは、ウクライナが北大西洋条約機構(NATO)への加盟を断念して 「中立化」 することや、最低限の防衛力しか保持せずに 「非軍事化」 すること、親欧米路線を放棄して 「非ナチス化」 することを指す。 プーチン氏はこれまでも 「単なる停戦では不十分で、永続的な平和を確立する必要がある」 「ロシアは目標の達成後にのみ停戦する」 とし、あくまでもウクライナの 「降伏」 による戦勝を達成する考えを示してきた。 今回のトランプ氏との会談は、安易な譲歩を否定するプーチン氏の姿勢を改めて浮かび上がらせた。 ■米政権は停戦へ「圧力」 ただ、トランプ米政権は、ウクライナでの大統領選の実施などロシアの主張に一定の理解を示しつつ、追加対露制裁の発動やウクライナ支援の強化などの 「圧力カード」 もちらつかせてロシアを停戦交渉の席に着かせようとしていくとの観測が強い。 ロシアも戦闘の更なる長期化が死傷者の増加や国民不満の増大、経済への悪影響に繋がることを懸念しており、そうした弱みにトランプ氏が付け込んでロシアの譲歩を引き出せるかが今後の焦点となる。 一方、ウクライナのゼレンスキー大統領にとって最大の懸念は、米露両国がウクライナの頭越しに和平プロセスを進め、米国の支援が削減・停止されることだ。 このためゼレンスキー氏は 「ウクライナ支援は米国の利益にもなる」 と訴え、ロシアの主張を安易に聞き入れないようトランプ政権の説得を続ける構えだ。 ■国際規範揺らぐ懸念も トランプ氏が停戦実現を急ぐ背景には、ウクライナ支援に伴う米国の負担を軽減しつつ、覇権的行動を続ける中国の抑制や不法移民対策など国内問題に財政的・人的資源を振り分けたい思惑がある。 「ディール(取引)の天才」 とのイメージが政権の求心力にも直結するだけに交渉失敗は何としても避けたい考えだ。 ただ、ウクライナの利益を度外視した合意を結べば、武力や威嚇による一方的な現状変更を認めないとしてきた国際規範を更に揺るがす。 ウクライナや欧州諸国がトランプ氏の意思決定にどの程度関与できるかが交渉の行方を左右しそうだ。 停戦条件「100%以上の安全の保障」が必要、日本の支援継続望む 駐日ウクライナ大使 2025/2/13 16:22 https://www.sankei.com/article/20250213-HTW4MCBH2NMEZDFNGVXXBFKASI/ ロシアの侵略を受けるウクライナのセルギー・コルスンスキー駐日大使が東京都内で産経新聞とのインタビューに応じ、停戦条件について 「二度とロシアから侵略されないため、確実な安全の保障が必要だ」 と強調した。 詳細は以下の通り。 ーーウクライナ戦争の現状を変え得るトランプ米政権が始動した プーチン(露大統領)は、米国が露経済を崩壊させる能力を持っていることを十分認識している。 トランプ氏が就任演説で述べた言葉 『我々は(化石燃料を)掘って、掘って、掘りまくる』 との言葉は、プーチンにとって死刑をも意味する。 米国が大量に採掘した石油を市場に出せば、露経済は瓦礫と化す。 ーートランプ氏は、プーチン氏が「ばかげた戦争」をやめなければ高関税を課すと迫った トランプ政権1期目の時もそうだったが、政治的な目標を達成するためにまず経済的な手段を優先的に使うということだろう。 ■プーチン氏は妥協しない ーープーチン氏はトランプ氏と対話を進める方針だ トランプ氏はプーチンが普通じゃないとすぐ分かるはずだ。 トランプ氏は4年前、プーチンとコミュニケーションを取れただろうが、今は違う人物だ。 1つ例を挙げよう。 ゼレンスキー大統領は、2019年のウクライナ大統領選に出馬した際、 『プーチンと会い、2014年からの戦争(ロシアによる南部クリミア半島併合)を終結させる』 というスローガンを掲げた。 当選後、プーチンと実際に会って分かったことは、プーチンが交渉や妥協を一切しない人間だということだ。 ーーゼレンスキー氏は昨年2024年、トランプ氏と直接会談した ウクライナ側の停戦条件は、2度とロシアから侵略されないよう、100%ではなく200%の安全の保障を得るということだ。 理想は北大西洋条約機構(NATO)加盟だ。 しかし、 ▽停戦 ▽安全保障の確保 ▽被占領地域の長期的な解決 からなる総括的な形で話し合う用意はある。 ■「私たちは諦めない」 ーーロシアはウクライナ側の疲弊や、西側諸国の支援疲れを待っているようにみえる プーチンは全面戦争の3年間、危険の度合いを上げてきた。 彼はロシア兵が何人殺されようが全く、平気だ。 しかし私たちは諦めない。 西側諸国も彼の期待とは逆に、対決姿勢を強めている。 英国は2025年1月、ウクライナとの新安保協定に署名した。 フィンランド、イスラエル、ドイツからも新しい軍事支援の話が来ている。 ーー日本の石破茂政権に何を期待する 「これまでに外相、防衛相、経済産業相、国土交通相、農林水産相、法相、会レベルでも多くの政治家と会ってきた。 彼らはウクライナ支持を明言している。 今後も日本政府が支援を継続してくれることを望む。 頼れるのは自力と同盟だけ ウクライナ侵略戦争3年の教訓 巻き返すゼレンスキー政権 緯度経度 遠藤良介 2025/2/14 9:00 https://www.sankei.com/article/20250214-A5IQ6PCOC5MELDNG6ZT7GUNPGI/ 今月2025年2月24日で丸3年を迎えるウクライナ侵略戦争の教訓は何か。 口にするのが憚られるようなことを敢えて記せば、頼れるのは自らの国力・武力と軍事同盟だけだということではないか。 ウクライナには3年前、ロシアの侵略を抑止し、撃退するだけの武力も同盟もなかった。 米欧日が懸命にウクライナを支え、ウクライナも世界を驚かせる抗戦を見せてきたが、十分な結果は出せていない。 ウクライナは国土の約2割をロシアに占領され、ゼレンスキー大統領によれば、ウクライナ軍の死者は約4万5100人、負傷者は約39万人に上る。 ロシアが拒否権を持つ国連の安全保障理事会は、侵略を止める術を何ら持たない。 そうした中で 「米国第一」 を掲げるトランプ氏が米大統領に就任した。 口にするのが憚られることをまた記せば、ウクライナが見捨てられるとの悪い予感が少なからぬ人にあろう。 トランプ氏はバイデン前政権によるウクライナ支援の在り方を批判し、 「戦争を24時間以内に終わらせる」 と豪語していた。 プーチン露大統領とディール(取引)を結び、ロシアに有利な停戦を急ぐとの観測が出たのは無理もない。 しかし、ここにきて事はそう単純でないとトランプ氏自身が認識した。 停戦には24時間でなく 「半年くらいほしい」 と発言を後退させた。 今月2025年2月3日には、支援の見返りとして、ウクライナが希少地下資源を供給するよう望むと語った。 地下資源に関する発言は唐突に出てきたものではない。 ゼレンスキー政権が昨年2024年秋、米欧に提示した5項目の文書 「勝利計画」 に含まれていたことであり、ウクライナによる必死の訴えをトランプ政権が聞き始めたということなのだ。 「勝利計画」 はウクライナの戦争出口戦略と言えるものだ。 北大西洋条約機構(NATO)加盟交渉への招待や軍事支援継続といった要請事項が柱なのだが、注目されるのは支援の見返りを記した第4〜5項だ。 第4項には 「ウクライナの戦略地下資源を共同開発・利用」、 第5項には 「欧州各国に駐留する米軍の一部をウクライナ軍が代替」 との提案が入っている。 ロシアを自力で撃退できず、同盟も持たないウクライナは今、 「自らは欧米にとって替えのきかない存在だ」(外交筋) ということを強くアピールしているのだ。 ウクライナには航空機製造や防衛産業に欠かせないチタン、スマートフォンや電気自動車(EV)のバッテリー製造に使われるリチウムといった希少金属(レアメタル)が豊富にあり、特にリチウムは欧州屈指の埋蔵量とされる。 レアメタルなど重要鉱物の分野では中国が高いシェアを握り、中国が輸出規制をかければ影響は世界に及ぶ。 民主主義諸国がウクライナの鉱物開発に参入すればサプライチェーン(供給網)を強靱にできるというのがウクライナの提案だ。 第5項はやや突飛にも聞こえるが、ウクライナ外交筋は 「露軍との戦いを熟知し、米欧製兵器の扱いにも慣れている80万人の部隊がウクライナにはある」 「ウクライナは是非ともNATOに必要だ」 と話す。 これも、欧州への米軍関与を減らしたいトランプ政権には響くかもしれない。 ウクライナはこれまでも、露黒海艦隊をドローンとミサイルだけで主要海域から撃退し、穀物輸出を回復させるなど数々の暗い予測を覆してきた。 国と民族の存続をかけた彼らの戦いは決して終わっていない。 (外信部長兼論説委員) トランプ停戦案は実現困難 ロシアがウクライナ完全征服ならジェノサイドが起きる 国際政治学者 グレンコ・アンドリー 2025/1/27 8:00 https://www.sankei.com/article/20250127-U6M56ZTV7ZM45KQJ6ATXGZHWYQ/ トランプ米政権はロシアによるウクライナ侵略戦争の早期終結を目指し、双方に交渉するよう促すとみられている。 これまでに出てきた情報をまとめると、トランプ政権の停戦案は、 ▽現状の占領ラインで戦争を凍結する ▽ロシアに譲歩し、ウクライナの北大西洋条約機構(NATO)加盟を認めない▽ロシアの再侵攻を防ぐためにウクライナへの武器支援を続ける との内容だ。 筆者はこの停戦案を、屈辱的で理不尽、国際法に反していると考える。 ただ、ウクライナにとって最も重要なのは、仮に一部領土でロシアの実効支配を当分容認しても、国の主権と独立が維持されることだ。 トランプ氏から圧力を掛けられた場合、ウクライナはこの停戦案を呑まざるを得まい。 他方、ロシアの目的はウクライナの完全支配である。 現状のトランプ氏の停戦案では、ウクライナの独立が維持され、ロシアが再侵攻して征服することは難しくなる。 従い、ロシアはトランプ案をまず受け入れないだろう。 ロシアは、次こそ確実にウクライナを征服できる形での停戦を要求する。 具体的には、ウクライナの大幅な軍縮や、西側からの武器支援停止といったことだ。 トランプ氏は、軍事支援の増減という形でウクライナには圧力をかけられるものの、ロシアに圧力をかける手段はさほど持っていない。 そこで、トランプ氏はロシアの要求をウクライナにのませようとする可能性があるが、ウクライナはそれを受け入れられない。 西側から安全保障を得られず、武器支援も止まれば、ロシアの再侵攻と国家壊滅は時間の問題だからだ。 トランプ氏がロシアに激怒し、ウクライナへの武器支援を継続するというのが良いシナリオだ。 その逆に、停戦実現という手柄を得られないと判断し、トランプ氏がこの問題への関心を失うというシナリオはもっと可能性が高い。 もしトランプ氏が交渉不調の責任をウクライナに負わせ、武器支援を停止するようなことになれば、ウクライナは欧州や日本の支援で踏ん張るしかなくなる。 ウクライナを支援すべき理由は多くあるが、その1つは人道問題だ。 プーチン氏はロシア人とウクライナ人を 「同じ民族」 だと考えているため、仮にウクライナを完全支配すれば、ウクライナ民族を消し去る政策をとる。 抵抗する者は殺害、投獄、追放されるし、そうでない者は意識をロシア人に改造される。 これは特定の民族を抹殺するジェノサイドである。 ウクライナはそうしたことが起きないようトランプ政権に懸命の訴えをしている。 日欧にも、共に米国に働きかけ、ウクライナ支援を継続・拡大することをお願いしたい。 ◇ グレンコ・アンドリー 1987年、ウクライナ生まれ。 キーウ国立大卒。 京大院指導認定退学。
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