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ハマス指導者殺害から3日後にヒズボラのドローンがネタニヤフの自宅を破壊
https://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/202410200000/
2024.10.20 櫻井ジャーナル
イスラエルは10月16日、ガザで戦っていたハマスの指導者だったヤヒヤ・シンワルを殺害した。戦闘の中でイスラエル軍の戦車がある建物を砲撃、その中にいたハマスの覆面をした戦闘員はふたつの手榴弾を投げて応戦したという。その後、イスラエル軍はドローンを送り込んで調べた上で砲撃して殺害した。翌日の朝にイスラエル側はその戦闘員がシンワルだということに気づき、DNAを調べて確認したとされている。その死をイスラエルの国防大臣が発表、ハマスも確認した。
イスラエルはシンワルが人質に囲まれた状態で隠れていると宣伝してきたが、その嘘をイスラエル軍がばらしてしまった。彼を英雄にしたとも言える。そのイスラエル軍はイスラエル建国の前からパレスチナに住むアラブ系住民を虐殺してきたが、今行われている攻撃は2023年春に開始されている。
2023年4月1日にイスラエルの警察官がイスラム世界で第3番目の聖地だというアル・アクサ・モスクの入口でパレスチナ人男性を射殺し、4月5日にはイスラエルの警官隊がそのモスクへ突入、ユダヤ教の祭りであるヨム・キプール(贖罪の日/昨年は9月24日から25日)の前夜にはイスラエル軍に守られた約400人のユダヤ人が同じモスクを襲撃、さらにユダヤ教の「仮庵の祭り」(昨年は9月29日から10月6日)に合わせ、10月3日にはイスラエル軍に保護されながら832人のイスラエル人が同じモスクへ侵入している。こうした挑発行為を西側の自称「民主主義国は黙認していた。
そして10月7日、ハマスを中心とする武装グループがイスラエルを攻撃して今回の戦闘が始まった。この軍事作戦をハマスが「アル・アクサの洪水」と名付けたのはそのためだが、そこにイスラエルの影を見る人もいる。ハマスの歴史がそうした見方をさせるのだ。
イスラエルはPLOを率いていたヤセル・アラファトの力を弱めるためにライバルとしてハマスを創設した。イスラエルの治安機関であるシン・ベトはムスリム同胞団のメンバーだったシーク・アーメド・ヤシンに目をつけ、1973年にムジャマ・アル・イスラミヤ(イスラム・センター)を、そして1976年にはイスラム協会を設立させた。ハマスは1987年にイスラム協会の軍事部門として作られたのである。
1967年の3月から4月にかけてイスラエルは軍事的な緊張を高めるため、シリアを挑発した。ゴラン高原のシリア領にトラクターを入れて土を掘り起こしたのだ。シリアが威嚇射撃するとイスラエルは装甲板を取り付けたトラクターを持ち出し、シリアは迫撃砲や重火器を使うというようにエスカレートさせ、その年の6月に第3次中東戦争が勃発した。
この戦争でイスラエルは圧勝、約43万9000人の新たなパレスチナ難民がヨルダン川東岸へ移動しているが、この時にゲリラ戦でイスラエル軍を苦しめたのがファタハであり、そのスポークス・パーソンを務めていたのがヤセル・アラファトだ。1969年2月にアラファトはPLO(パレスチナ解放機構)の執行委員会議長に選ばれ、アラブ人社会の中でファタハの存在は大きなものになっていくと同時にイスラエルから命を狙われるようになる。 2004年11月11日にアラファトは死亡(おそらく暗殺)しているが、同じ年の3月22日にヤシンはイスラエル軍に暗殺されている。
アラファトとヤシンは同じ2004年に死亡したが、イスラエルの首相へ返り咲いたネタニヤフは09年、ヤシンなきハマスにパレスチナを支配させようと計画。そのためにカタールと協定を結び、カタールはハマスの指導部へ数億ドルを送り始めたという。
しかし、ハマスの内部でも世代交代があり、若い世代はパレスチナ解放を重視するようになる。そこで創設時に近い考え方をするハマス幹部はカタールに住み、パレスチナ解放を目指す幹部はパレスチナやレバノンを拠点にするようになったようだ。シンワルやイスマイル・ハニヤは新しい世代だと言えるだろう。
昨年10月以降、ガザで殺された住民は4万5000人を超えたと言われているが、瓦礫の下に埋まっている遺体は相当数に及ぶと見られている。ランセット誌が今年7月に掲載した論文は「間接的な死者は直接的な死者の3倍から15倍に及ぶ」と指摘、当時報告されていた「死者37,396人に直接的な死者1人につき間接的な死者4人という控えめな推定を当てはめると、ガザにおける戦闘による死者は最大18万6000人、あるいはそれ以上」とした。イスラエルに対する怒りは高まっている。
こうした状況の中、ハマスの求心力は強まりそうだ。しかもヒズボラやイランのミサイル攻撃をイスラエルの防空システムが対応できないことが明確になっている。
10月19日にはヒズボラのドローンがイスラエルの防空システムを掻い潜り、イスラエルの軍用ヘリコプターの横を通ってテルアビブ北部にあるネタニヤフ首相の自宅に命中している。首相本人はいなかったようだが、首相を直接狙えることを示した。ウクライナ同様、パレスチナでもアメリカは窮地に陥っている。
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