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日本をアメリカの空母として中国やロシアとの戦争に使うと中曽根も主張
https://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/202408080000/
2024.08.08 櫻井ジャーナル
アメリカの「安全保障政策」はシオニストが仕切ってきた。ジョン・F・ケネディも選挙の期間はそうした姿勢を見せていたが、大統領に就任してからシオニストの好戦的な政策を放棄、彼らの怒りを買うことになったと言われている。
現在のシオニズムは16世紀のイギリスで始まったことは本ブログでも指摘した。その頃、アングロ・サクソンはユダヤ人の「失われた十支族」の後継者だと信じる人が現れたのだ。スチュワート朝のジェームズ6世(イングランド王ジェームズ1世)もそのひとりで、自分はイスラエルの王だと信じていたという。
そのジェームズ6世の息子であるチャールズ1世は「ピューリタン革命(17世紀半ば)」で処刑されたが、その「革命」で重要な役割を果たした人物がカルバン派のオリヴァー・クロムウェル。彼の私設秘書だったジョン・サドラーも同じように考え、彼は1649年に作成されたパンフレット『王国の権利』の中でイギリス人はイスラエルの失われた部族のひとつであり、ユダヤ人と同族であると主張、イギリス・イスラエル主義の始まりを告げている。
クロムウェルの聖書解釈によると、世界に散ったユダヤ人はパレスチナに再集結し、ソロモン神殿を再建することになっていた。この解釈に基づいて彼は政権を樹立し、1656年のユダヤ人のイングランド定住禁止令を解除、パレスチナにイスラエル国家を建国することを宣言したのだ。シオニズムである。
しかし、ピューリタン体制が倒されるとシオニズムは放棄され、クロムウェルを支持する人びとの一部はアメリカへ亡命、ジョージ・ワシントン、トーマス・ジェファーソン、ベンジャミン・フランクリンらはその後継者だと主張したという。
19世紀になるとイギリスでシオニズムが復活しているが、同世紀の終わり近くまで、ユダヤ人社会でシオニズムを支持していたのは一部のエリートだけで、大多数のユダヤ教徒はシオニズムを非難していたとされている。アメリカではウィリアム・ブラックストーンなる人物が1891年にユダヤ人をパレスチナに送り出そうという運動を展開し、ベンジャミン・ハリソン米大統領に働きかけていた。
シオニズムはアングロ・サクソンのプロジェクトである。その目的はユダヤ人をアングロ・サクソンと結びつけ、米英金融資本の帝国主義を勝利させることにあるとも言われている。イスラエルとユダヤ人を一体化させて考えるべきではない。
19世紀のイギリスを支配していたグループはナサニエル・ド・ロスチャイルド、セシル・ローズ、ウィリアム・ステッド、レジナルド・ブレット、アルフレッド・ミルナー、ロバート・ガスコン-セシル、アーチボルド・プリムローズなどシティを拠点とする人びとだ。こうした人びとは海軍力によってユーラシア大陸の周辺を支配、つまり制海権を握り、内陸部を締め上げようとした。この戦略は今も続いている。
アメリカの太平洋軍は2018年5月からインド太平洋軍へ名称が変更になった。インド洋から太平洋にかけての海域を一括して担当するということだ。太平洋の拠点は日本、インド洋の拠点はインド、ふたつをつなぐ役割をインドネシアが担うという。ディエゴ・ガルシア島も重要な役割を果たすことになる。
しかし、インドとインドネシアはアメリカから距離を置きつつある。そこでアメリカはアングロ・サクソン系国のオーストラリア(A)、イギリス(UK)、アメリカ(US)で構成されるAUKUSを創設、日米韓の同盟を強化しているのだが、特に日本が注目され、アメリカやNATOを含むアメリカに従属する国と実施する軍事演習の回数が増えている。
日本が1995年からアメリカの戦争マシーンに組み込まれたことは本ブログで繰り返し書いてきたが、その前にも踏み込んだ発言をした総理大臣がいる。中曽根康弘だ。
中曽根は1982年11月に総理大臣となり、翌年の1月にアメリカを訪問した。その際にワシントン・ポスト紙の編集者や記者たちと朝食をとるのだが、その際に彼はソ連のバックファイア爆撃機の侵入を防ぐため、日本は「不沈空母」になるべきだと語ったと報道されている。
中曽根はそれをすぐに否定する。その発言自体を消そうとしたのだろうが、インタビューは録音されていた。そこで、「不沈空母」ではなくロシア機を阻止する「大きな空母」だと語ったのだと主張を変えたが、このふたつの表現に本質的な差はない。日本列島はアメリカ軍がロシア軍を攻撃するための軍事拠点だと中曽根は認めたのである。
中曽根は首脳会談で日本周辺の「4海峡を完全にコントロールし、有事にソ連の潜水艦を日本海に閉じ込める」、また「ソ連のバックファイアー(爆撃機)の日本列島浸透を許さない」と発言した。「シーレーン確保」も口にしたが、要するに制海権の確保だ。
その直後の1983年4月から5月にかけてアメリカ軍はカムチャツカから千島列島の沖で大規模な艦隊演習を実施した。この演習にはアメリカ海軍の3空母、つまりエンタープライズ、ミッドウェー、コーラル・シーを中心とする機動部隊群が参加、演習では空母を飛び立った艦載機がエトロフ島に仮想攻撃をしかけ、志発島の上空に侵入して対地攻撃訓練を繰り返し、米ソ両軍は一触即発の状態になったのだ。(田中賀朗著『大韓航空007便事件の真相』三一書房、1997年)この重大な演習を日本のマスコミは無視した。
そして同年8月31日から9月1日にかけて、大韓航空007便がソ連の領空を侵犯、アラスカの「緩衝空域」と「飛行禁止空域」を横切り、ソ連軍の重要基地の上を飛行した末に、サハリン沖で撃墜されたと言われている。そこで撃墜されずに飛行を続けた場合、その延長線上にはウラジオストクがある。
2カ月後の11月にはNATOが軍事演習「エイブル・アーチャー83」を計画、核攻撃のシミュレーションも行われることになっていた。これをソ連の情報機関KGBはそれを「偽装演習」だと疑う。全面核戦争を仕掛けてくるのではないかと警戒、戦争の準備を始めたと言われている。
アメリカ国防総省系のシンクタンク「RANDコーポレーション」が発表した報告書によると、GBIRM(地上配備中距離弾道ミサイル)で中国を包囲する計画を彼らは持っている。専守防衛の建前と憲法第9条の制約がある日本の場合、ASCM(地上配備の対艦巡航ミサイル)の開発や配備で日本に協力することにし、ASCMを南西諸島に建設しつつある自衛隊の施設に配備する計画が作成されたとされていた。
その計画に従い、自衛隊は2016年に与那国島でミサイル発射施設を建設、2019年には奄美大島と宮古島、そして23年には石垣島でも軍事施設を完成させた。核ミサイルを発射できる施設を中国のすぐそばに並べたのである。しかも、世界的に軍事的な緊張が高まったからなのか、アメリカは日本の憲法を軽視するようになっている。
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