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追い詰められたアメリカ支配層に残された最後の決戦の場、東アジア
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2024.06.03 櫻井ジャーナル
アメリカを中心とする支配体制はウクライナでロシアに敗北、ガザでは「一心同体の国」であるイスラエルが苦しんでいる。苦境に陥った彼らは、これまで掲げてきた民主主義、自由、ルールに基づく秩序といった看板をかなぐり捨て、帝国主義国としての本性を現した。次の時代にもヘゲモニーを握ろうと必死で、なりふり構っていられないのだろう。
西側が苦境に陥った一因はロシアと中国を接近させたことにあると言えるだろう。現在、中露は戦略的な同盟関係にある。その原因を作ったのはネオコンの傲慢な戦略。特に、2013年11月から14年2月にかけてウクライナで行ったクーデターが大きい。
ロシアと中国にはさまれたカザフスタンで2022年1月にクーデターが試みられた。アメリカが仕掛けたと見られているが、CSTO(集団安全保障条約機構)が平和維持部隊を派遣して反乱を制圧、その存在感を高めた。
CSTOの中心的な存在であるロシアは2008年8月、南オセチアを奇襲攻撃したジョージア軍を殲滅し、力を見せつけている。このジョージアはイスラエルとアメリカから兵器の提供を受け、将兵の訓練も受けていた。おそらく奇襲作戦はイスラエルが立てたと言われている。つまり、イスラエル軍とアメリカ軍はロシア軍に負けたのだ。その後、シリアやウクライナでも戦闘でもアメリカ/NATO軍はロシア軍に敗れている。
カザフスタンを含む中央アジアは戦略的に重要な位置にあるだけでなく、資源の宝庫。アメリカはウクライナで反クーデター派が拠点にしていたドンバスへの大規模な攻撃を2022年春に始める計画だったことを示す文書が見つかっているが、その直前にカザフスタンでクーデターを成功させ、反ロシア体制を樹立させたかったのだろう。
そして現在、ベラルーシ-ロシア-カザフスタン-ウズベキスタン-アフガニスタン-パキスタンと繋がる複合輸送回廊が計画され、ロシア、カザフスタン、ウズベキスタンではすでにインフラが整備されている。ベラルーシろロシアの関係は緊密、パキスタンもロシアとの関係を強めている。
アフガニスタンはタリバーンとロシアとの関係が問題だったが、ここにきてロシア外務省と司法省はウラジミル・プーチン大統領に対し、タリバンをロシアのテロ組織リストから除外できると伝えた。
元々タリバーンはアメリカがアフガニスタンを支配する手先として組織したのだが、途中で自立、アメリカと敵対するようになった。アメリカは手先としてアル・カイダ系武装集団(ダーイッシュを含む)とタリバーンは戦っている。そのタリバーンがテロ組織リストから外されればロシアはカブールの新政権を承認できる。近い将来、テロ組織リストから外されることは間違いない。ロシア政府はサンクトペテルブルク国際経済フォーラム(SPIEF)にタリバーンを招待した。
それに対し、アメリカは東アジアで軍事的な緊張を高めようとしている。そのため、オーストラリア、インド、そして日本と「クワド」を、またオーストラリアやイギリスと「AUKUS(A:オーストラリア、UK:イギリス、US:アメリカ)」という軍事同盟を組織、NATO(北大西洋条約機構)のイェンス・ストルテンベルグ事務総長は2020年6月、オーストラリア、ニュージーランド、韓国、日本をメンバーにするプロジェクト「NATO2030」を開始すると宣言している。NATOは西ヨーロッパをアメリカが支配する道具として作られたのだ。東アジアを支配する強固な軍事組織をアメリカは作ろうとしている。JAPHUS(日本、フィリピン、アメリカ)なる軍事同盟も編成した。
こうした軍事同盟に先行する形でアメリカは中国との戦争準備を進めていた。本ブログでは繰り返し書いてきたように、日本は1995年にアメリカの戦争マシーンに組み込まれたが、2016年には与那国島でミサイル発射施設が建設され、2019年には奄美大島と宮古島、そして23年には石垣島でも自衛隊の軍事施設が完成、ミサイルが配備される。
アメリカ国防総省のシンクタンク「RANDコーポレーション」が発表した報告書はこの計画について説明していた。GBIRM(地上配備中距離弾道ミサイル)で中国を包囲したいのだが、配備できそうな国は日本だけ。しかも日本には「専守防衛」の建前と憲法第9条の制約がある。そこでアメリカはASCM(地上配備の対艦巡航ミサイル)の開発や配備で日本に協力することにし、ASCMを南西諸島に建設しつつある自衛隊の施設に配備する計画が作成されたのだ。
ところが2022年10月、「日本政府が、米国製の巡航ミサイル「トマホーク」の購入を米政府に打診している」とする報道があった。亜音速で飛行する巡航ミサイルを日本政府は購入する意向で、アメリカ政府も応じる姿勢を示しているというのだ。
トマホークは核弾頭を搭載でる亜音速ミサイルで、地上を攻撃する場合の射程距離は1300キロメートルから2500キロメートルという。中国の内陸部にある軍事基地や生産拠点を先制攻撃できる。「専守防衛」の建前と憲法第9条の制約は無視された。
そして昨年2月、浜田靖一防衛大臣は2023年度に亜音速巡航ミサイル「トマホーク」を一括購入する契約を締結する方針だと語ったが、10月になると木原稔防衛相(当時)はアメリカ国防総省でロイド・オースチン国防長官と会談した際、アメリカ製の巡航ミサイル「トマホーク」の購入時期を1年前倒しすることを決めたという。当初、2026年度から最新型を400機を購入するという計画だったが、25年度から旧来型を最大200機に変更するとされている。
その間、2017年には韓国でTHAAD(終末高高度地域防衛)ミサイル・システムの機器を強引に運び込んだ。こうしたミサイルと一体化させる形でアメリカは海兵隊を追加配備するのだともいう。中国福建省の厦門から約10キロメートルの場所にある台湾の金門にはアメリカ陸軍の特殊部隊「グリーンベレー」が「軍事顧問」として常駐している。
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