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No. 1989 ロシアと中国の戦略的忍耐は西アジアの火を消すのだろうか?
投稿日時: 2023年11月29日
Will Russia-China Strategic Patience Extinguish the Fire in West Asia?
by Pepe Escobar
むかしむかし、ドン川のほとり、今日では「ウクライナ」として知られる南部の草原地帯で地上最強の軍隊を率いるペルシアの大王ダリウスは、追っていた敵、スキタイの遊牧民イダンティルススから不可解なメッセージを受け取った。
スキタイの使者は、鳥、ネズミ、カエル、そして5本の矢を携えてペルシャ軍の陣営に到着した。
そして彼は慌てて立ち去った。
狡猾なダリウスは、スキタイ人がペルシャに服従する準備ができたと解釈した。
そうではなかった。この暗号を解くのは、ダリウスの義弟であり上級外交顧問のゴブリャスだった:
お前たちペルシャ人が鳥になって空を飛ぶか、ネズミになって地面に潜るか、カエルになって湖に飛び込まない限り、二度と故郷には帰れず、この国に留まり、スキタイの矢に射られるだけだろう。
シルクロード以前の奥地に伝わるこの物語は、ユーラシアのステップ地帯で捕らえどころのない遊牧民の馬の射手と戦争をすることの戦略的悪夢を示しているようである。
しかしそれはまた、ガザの瓦礫の中に潜む、サンダルをはいた都市ゲリラやロケット推進手榴弾(RPG)に対する戦争についての物語かもしれない。フラッシュ・ミニ部隊がトンネルから現れ、メルカバ戦車を攻撃して燃やした後、地下に消えていくのだ。
歴史はまた、ダリウスがスキタイの遊牧民との正面対決に失敗したことも伝えている。そのため紀元前512年の秋、彼はアメリカが戦争をする2500年前に、アフガニスタンで作戦を実行した。勝利を宣言し、撤退したのである。
陸に上がった空母
西アジアに詳しい者なら、米国の将軍からアラブの市場の店主まで、イスラエルが米国に代わって西アジアを牽制する使命を持つ陸揚げした航空母艦であることを知っている。
もちろん、食うか食われるかの地政学的環境では、犬の悪ふざけを誤解するのは簡単だ。確かなことは、米国のディープ・ステートの覇権主義者たち、そしてホワイトハウスと国防総省にとって現在の熾烈な情勢で重要なのは、間違いなく「イスラエル」そのものではなく、イスラエルの極端で種族殺戮的なリクード率いるネタニヤフ政権であるということだ。
ネタニヤフは、キエフの汗臭い俳優のミラーイメージのような存在である。地政学的には、地球上のすべてのスマートフォンで生中継されている大虐殺の責任を米国からそらすという意味で、非常に素晴らしい贈り物だ。
そして、そのすべては法の表面の下で行われている。例えば、ホワイトハウスと国務省がテルアビブに「助言」して、節度をもって行動するよう促しているという形で。そう、病院、学校、医療従事者、ジャーナリスト、何千人もの女性、何千人もの子供を爆撃してもらっても構わないですが、どうか優しくお願いします、というように。
一方、米国は東地中海に艦隊を配備した空母群と、ペルシャ湾の近くには原子力潜水艦も配備している。それは、地下トンネルのゲリラを調べ、イスラエルを「守る」ためというわけではない。
ネオコンとシオコンの究極の標的は、もちろんヒズボラ{1}、シリア、イラクのハシュド・アル・シャビ、そしてイランという、抵抗枢軸全体である
イラン・ロシア・中国はネオコンが新たに定義した「悪の枢軸」で、それらはまたユーラシア統合のトップ3であり、彼らはガザでの大虐殺をイスラエル・アメリカの作戦であると解釈している。そして彼らはエネルギーという重要なベクトルを明確に特定した。
マイケル・ハドソンはこう指摘する:
私たちは今、十字軍のようなものを見ている。これはエネルギ―を支配するための真の戦いであり、再び世界のエネルギーの流れをコントロールすることができれば、昨年アメリカがノルド・ストリーム・パイプラインを爆破してドイツにしたことを、全世界に対して行うことができるからだ。
動き出したBRICS10
そして、OIC/アラブ世界外相代表団が、ガザの完全停戦とパレスチナ独立国家のための交渉という計画を推進するため、現在、特定の首都を巡回しているという魅力的な状況に行き着く。ガザ・コンタクト・グループと呼ばれるこの代表団には、サウジアラビア、エジプト、ヨルダン、トルコ、インドネシア、ナイジェリア、パレスチナが参加している。
最初の訪問地は北京で王毅に会い、2番目の訪問地はモスクワでセルゲイ・ラブロフに会った。これは、BRICS11の動きについて私たちが知るべきことを事実より前に教えてくれている。
実際、それは実質的にはBRICS 10である。親米のシオニスト、ハビエル・ミレイが大統領に選ばれたアルゼンチンは今や論外となり、おそらく2024年1月1日、以前のBRICS 11がロシアの大統領のもとで始まるときには排除されるかもしれない。
サウジアラビアで開催されたパレスチナに関するOIC/アラブ連盟の特別会議は、事実上グローバル・サウス/グローバル・マジョリティ全体を失望させる、おとなしい最終宣言{2}をもたらした。しかしその後、何かが動き始めた。
外相たちが緊密に連携し始めたのだ。最初はエジプトと中国、それに先立ってイランやトルコの協調があった。これは直感に反するように聞こえるかもしれないが、すべては事態の深刻さに起因している。これがイラン外相が現在の訪問団に含まれていない理由であり、サウジアラビアとエジプトが実質的に主導している。
ラブロフとの会談は、現南アフリカ議長国によって招集されたパレスチナに関する臨時のBRICSオンライン会議と重なった。重要なのは、発言者の背後に新メンバーのイラン、エジプト、エチオピアの国旗が見えることだ。
イランのライシ大統領はBRICS加盟国に対し、あらゆる政治的・経済的手段を使ってイスラエルに圧力をかけるよう呼びかけた。習近平国家主席は、ふたたび二国家による解決を求め、中国を仲介者として位置づけた。
習近平は初めて自らの言葉ですべてを語った:
パレスチナ問題の正当な解決なくして中東の安全はありえない。パレスチナとイスラエルの対立の連鎖を断ち切る唯一の方法は、二国家による解決にあることを私は何度も強調してきた。パレスチナの正当な民族的権利を回復すること、 パレスチナの独立国家の樹立である。
そして、それはすべて国際会議を通じて始まるべきである。
以上のことは、今後数日のうちに、BRICS10が一致団結してテルアビブ/ワシントンに停戦を求める最大限の圧力をかけ、事実上グローバル・マジョリティ全体がこれを支持することを意味する。もちろん米国がこれをやらせる保証はない。
例えば、トルコを巻き込んだ秘密交渉は頓挫した。それは、アンカラに対してバクーからセイハンへのBTCパイプラインを通じてイスラエルへの石油供給を止めさせようというものだった。その後石油はタンカーでイスラエルのアシュケロンに運ばれる。これはイスラエルの軍事マシンにエネルギーを供給する石油の少なくとも40%に相当する。
アンカラは依然としてNATO加盟国であり、米国の強硬な反応に怯えている。
長期的にはリヤドはもっと大胆になるかもしれない。2002年のアラブ和平提案に従ってパレスチナの決定的な解決策が出るまで、石油の輸出を停止するというのだ。しかしMbSはそれをおこなわないだろう。なぜならサウジの富はすべてニューヨークとロンドンに投資されているからだ。ペトロユアンへの道のりはまだ長く、曲がりくねった、でこぼこ道なのだ。
一方でジョン・ミアシャイマーのような現実政治の専門家は、イスラエルとパレスチナの交渉による解決は不可能だと正しく指摘している。現在の地図を一目見れば、中国やロシアからアラブ世界までが提唱する2国家間解決策がいかに破綻しているかがわかる。ミアシャイマーは、パレスチナ国家は「切り離されて孤立し、国家とはいえない」アメリカにおける「インディアンの保留地のようなもの」になるだろうと指摘している。
虐殺については言い訳はない
ではロシアはどうすればいいのか?ここに非常に良い情報源となるヒントがある{3}。
“迷宮のプーチン “とは、進化し続ける米国のハイブリッド戦争の下でロシア国内の安定を維持しつつ、モスクワがBRICS10的なやり方で平和な西アジアを実現するために積極的に関与していることを意味する。つまりすべては相互につながっているのだ。
ロシア・中国の戦略的パートナーシップによる西アジアへのアプローチはいつもの容疑者たちによって炎上しているが、これは戦略的なタイミングと忍耐にすべてかかっており、クレムリンと中南海が豊富にそれを示している。
背景で何が起こっているのか、つまり絡み合う戦争の霧の背後にある深い影絵のようなものを本当のところは誰も知らない。特に西アジアに関しては、常に砂漠の砂から生じる連続的な蜃気楼に包まれている。
少なくとも、ペルシャ湾諸国、湾岸協力会議(GCC)の周りの蜃気楼を見分ける試みができるかもしれない。特に、MbSと彼の指導者MbZが本当に何をしているのか。アラブ連盟とイスラム協力機構(OIC)の両方がGCCによってコントロールされているということは絶対的に重要な事実である。
リヤドもアブダビもBRICS10のメンバーとなったが、彼らは米国の新たな作戦が西アジアに火をつけることで、西アジアにおける一帯一路構想(BRI)の前進を後退させることであることを確実に見抜いている。
そう、これは対中戦争がハイブリッドからホットへと変化し、「パレスチナ問題」の最終解決と隣り合わせになったものなのだ。
そしてボーナスとして米国から見れば、これで砂漠のベドウィンの一団が新しい失敗プロジェクトであるインド中東回廊(IMEC)に参加するだろうと考えている。IMECは事実上、ヨーロッパ-イスラエル-アラブ首長国連邦-サウジアラビア-インドの貿易回廊で、理論上はBRIに対抗するものだ。
アラブストリートの隅から隅まで貫かれている主要なテーマは、パレスチナの抵抗勢力を抹殺することが、GCCのエリートたちにとって、シオニズムに立ち向かうこと以上に情熱的な問題であるということだ。
それが、少なくとも部分的には、現在進行中の大量虐殺に対するGCCの無反応を説明している(彼らは今、償いをしようとしている)。そしてそれは、米国がイラク人、シリア人、アフガニスタン人、リビア人、イエメン人、スーダン人、ソマリア人を時間をかけて計画的にスローモーションで大量虐殺し、強姦し、略奪したことに対する彼らの無反応の反応と平行している。
大量虐殺に関して言い訳をすることは絶対に不可能であり、非人道的である。GCCがどちらの側を選んだかどうか、つまり精神的にも地政学的にも、より広いアラブストリートから完全に離れてしまったかどうか、判決はまだ出ていない。
この大量虐殺は、21世紀という若い時代の決定的瞬間かもしれない。グローバル・サウス/グローバル・マジョリティ全体を再編成し、誰が歴史の正しい側にいるのかを明確にするだろう。次に何をするにせよ、米国は西アジア全体、ハートランド、より広いユーラシア、そしてグローバル・サウス/グローバル・マジョリティを完全に失う運命にあるようだ。
報復は神秘的な方法で機能している。西アジアの「空母」が完全に狂気に陥れば、あとはユーラシアの世紀への道を築くためのロシア・中国の戦略的パートナーシップがさらに加速するのである。
Links:
{1} https://sputnikglobe.com/20231121/will-lebanon-get-embroiled-in-hostilities-with-israel-1115075807.html
{2} https://new.thecradle.co/articles/why-the-us-needs-this-war-in-gaza
{3} https://en.interaffairs.ru/article/putin-in-the-labyrinth-how-moscow-can-avoid-losing-in-the-middle-east/
https://www.unz.com/pescobar/will-russia-china-strategic-patience-extinguish-the-fire-in-west-asia/
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