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またも「適切に」で逃げるつもりなのか 政治資金パーティー、裏金問題に具体策示さない岸田首相
東京新聞 2023年12月14日
https://www.tokyo-np.co.jp/article/295860
岸田文雄首相は13日の記者会見で、自民党派閥の政治資金パーティー裏金問題について「強い危機感を持たなければならない」と繰り返した。一方で、まずは事実確認が必要として、真相究明や再発防止に向けた具体策は示さなかった。党総裁や首相として自らの責任をどう取るかや、政治資金規正法の改正や派閥解消の必要性を問われても明言を避けるなど、抜本的な対策にも後ろ向きな姿勢が目立った。(大杉はるか、中根政人)
◆「党全体の問題」なのに説明は個々人の対応?
「国民の信頼回復のために、火の玉となって自民党の先頭に立ち、取り組んでいく」。首相は会見の冒頭、党改革に全力を挙げる方針を訴えた。
言葉では強い決意を示したが、具体策については「党所属の議員と膝詰めの議論を集中的に進める。改革はこれから確認される事実に基づき明らかにしていく」と抽象的な内容ばかり。政治資金パーティーの裏金問題は「党全体の問題」と何度も発言しているのに、説明責任に関しては「自らしっかり調査し、事実を確認することが求められる」と個々人の対応に任せ、党総裁として指導力を発揮することはなかった。
◆リクルート事件では再発防止の「構え」を見せたのに
政治とカネの問題を巡っては、1988年に発覚したリクルート事件の際、自民は総裁直属機関として、89年1月に「政治改革委員会」を設置するなど再発防止に取り組む構えは見られた。国会では、衆参両院の特別委員会で、関係者の証人喚問などに乗り出したが、今回は真相究明の動きが鈍い。
首相はこれまで、自らの党内基盤の維持のため、派閥の意向を重視して入閣待機組を起用した人事を「適材適所」と主張していたが、安倍派(清和政策研究会)の松野博一官房長官らを交代させることを余儀なくされた。交代後に新たな疑惑が出た場合の責任を聞かれたが「仮定に基づく質問に答えるのは適切でない」と正面から答えなかった。
「適切に対応する」と捜査を理由に回答を拒む議員の疑惑をどう払拭するかに関しては「できるだけ早く説明する」と述べるだけ。法律の「抜け穴」をふさぐ法改正への認識を問われても「法律の問題であるという議論になることもあり得る」と明確な方針は示さなかった。
◆「派閥」と呼ばず「政策集団」と繰り返し
また、政治とカネの問題の根源である派閥を解消すべきではないかと問われたが「さまざまな声に応えて政治の信頼回復に努めなければならない」と一般論に終始。会見では派閥と呼ばずに「政策集団」と繰り返し、派閥の問題を直視しない姿勢が見られた。
法政大大学院の白鳥浩教授(現代政治分析)は「自民党の活動は、国民一人が250円を負担する政党交付金という税金で支えられている。不祥事への対応について、岸田首相の責任感が見えない。なぜ人ごとなのか」と疑問視。「岸田氏では問題解決はできない。新首相で抜本的な改革をしなければ国民の政治不信は増すばかりだ。自民党の派閥が裏金をつくっているのなら、自民党が政党交付金を満額受け取るのは許されない」と批判した。
https://www.tokyo-np.co.jp/article/295860
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