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元記事http://blog.livedoor.jp/donnjinngannbohnn/archives/2059960.html
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isf: https://isfweb.org/post-31263/
コメ品種「みつひかり」の種子を販売する三井化学クロップ&ライフソリューション(以下、三井化学)が産地や発芽率などを不正に表示していたことを受け、元農林水産相の山田正彦弁護士ら19人の有識者や国会議員が15日、同社を種苗法違反で警視庁に刑事告発したことを明らかにした。主要農作物種子法(種子法)廃止の前提を覆す事件だけに、行方が注目される。
告発状によれば、三井化学は「みつひかり2003」について、@茨城県産と表示した種子に愛知県産などを混入させA他品種を混入させ(特に2020年、21年の混入率はそれぞれ25%、38%に上った)B発芽率が90%に満たないにもかかわらず、発芽率を「90%」と表示し(特に20年、21年はほぼ全てのロットが90%に満たなかった)、種苗法第59条1項に違反した。
@の産地の不正表示は、種子法廃止前の16年から行われていた。
告発人に名を連ねたのは他に、川田龍平・須藤元気・福島瑞穂・阿部知子・多ヶ谷亮ら11人の国会議員と、鈴木宣弘東大教授やジャーナリストの堤未果氏、元外交官の孫崎享氏、政治経済学者の植草一秀氏ら7人の有識者。告発状は14日に郵送され、15日に届けられたことが確認されている。
事件が明るみに出た発端は2月20日。三井化学は「みつひかり」について突然、契約農家に供給の中止を通知した。理由は「昨年の天候の影響と思われる交配不良による純度不足」というものだった。しかし、7月13日、農水省の報告徴収命令を受け、同社は種苗法が定める表示義務に不正があったことを公表する。
種苗法71条はこれら不正表示に対し50万円以下の罰金を規定しているが、農水省は11月2日、三井化学を厳重注意にとどめた。
同社が厚労省に提出した報告書には、2016〜2022年の間「計画どおりの数量を確保しようとして、種子の混合を行い、その表示をせず販売し」と記されていることから、告発状は「種苗法の要請する表示義務を故意に怠って、意図的かつ長期的にわたって種子を混合させた、極めて悪質なもの」と糾弾。厳正な処罰と、種子法廃止以後の無計画な民間依存による優良種子の生産・供給の在り方の抜本的な見直しを求めている。
種子法は2018年、民間の開発意欲を阻害するとして廃止された。その際、「みつひかり」は民間の代表的な優良品種として廃止論者に持ち上げられてきた。同法廃止は民間の育種技術が向上し、民間でも優良な品種の提供が可能であることを前提に進められた。その前提が崩れた形だ。
それまで都道府県は公的資金を投じて種を開発。土地や気候に合う優秀な種を「奨励品種」と定め、農家に安定提供してきた。一方、「みつひかり」はF1種(一代交配種)で、農家は毎年買い替える必要がある。牛丼チェーンや大手スーパーでも採用され、今では全国に1400ヘクタール近い作付面積がある。
山田氏らは、2019年5月から「種子法廃止違憲確認訴訟」を闘っており、19日には第1回控訴審を迎える。
同訴訟弁護団共同代表で今回の告発代理人も務める田井勝氏は15日、農水省内で記者団に今回の刑事告発を報告。「みつひかり」の一件で種子法廃止の大前提が存在しなかったと指摘し、「農水省にも責任がある。同時に、主要農産物の種子については公的な管理の下に生産されることが第一義的に保障されなければならない」と強調した。
同じく同訴訟弁護団共同代表で、今回の告発人兼代理人の山田氏は「ロットによっては全く発芽しない。詐欺まがいの販売を三井化学はやっていた。民間に頼ればこういうことになるんだということを、控訴審で明らかにしたい」と展望した。
告発人の一人で、憲法学が専門の小林節慶応大学名誉教授は小泉・竹中政権から続く新自由主義的政策の誤りを挙げ、「種子法廃止を推進した農水省は共犯だから三井化学を処分できない。だから我々は公開の法廷で騒ぐしかない」と述べ、国家賠償請求も可能との見解を示した。
告発代理人の古川健三(こがわ・けんぞう)弁護士は、三井化学が2月に農家向けの文書で「昨年度の天候の影響」と説明しながら、農水省への報告書で混入の事実を認めたことを「コンプライアンス意識の欠如」と批判。「民間企業は利益が優先だから、これに公共の種子の生産を委ねる種子法廃止は誤りだった。食べ物は、事前規制が必要」と主張した。
種子法違憲確認訴訟の1審が敗訴した主な理由は、同法廃止によって権利侵害が発生していないとのものだった。今回の「みつひかり」をめぐる事件は、明確な被害を示す。田井氏は、控訴状に一連の被害を盛り込んだことを明かした。
一方、種子法廃止の根幹を揺るがす三井化学の不正を、ほとんどのマスコミは無視している。それだけに、警視庁の対応が注目される。食の権利を守るには、国民の覚醒が不可欠である。
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