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岸田首相“深謀遠慮”人事は裏目必至 派閥No.2林芳正氏「官房長官」起用で内閣“乗っ取り”も
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/333436
2023/12/15 日刊ゲンダイ
“レスキュー林”の異名も(官房長官に就任した林芳正前外相)/(C)日刊ゲンダイ
「なぜ林さんなのか」──。永田町では疑問の声が上がっている。
裏金に揺れる安倍派所属の松野官房長官の後任に14日、林芳正前外相が就任したことに、首をかしげる議員は少なくない。
「岸田首相は、会長を務めていた宏池会のナンバー2で『将来の総理』に意欲を示す林さんを脅威に感じている。9月の内閣改造で外相ポストから外した理由も、林さんの台頭を恐れたからだそう。警戒感は相当なものです」(政治部記者)
そんな林氏を内閣の要である官房長官に起用せざるを得なかったのには、それなりの事情がある。
「もともと、無派閥の浜田靖一前防衛相に官房長官就任を打診しましたが、『荷が重い』との理由で固辞されました。“泥舟”に乗りたくなかったともみられている。仕方なく、出身派閥の宏池会から林さんを選ぶしかなかったようです」(永田町関係者)
派閥を牛耳られる不安から閣内取り込み…
保身のためにナンバー2を取り込んだ?(2023年岸田派宏池会のパーティーで、林前外相と歓談する岸田首相=右)/(C)日刊ゲンダイ
とはいえ、別の思惑もあるようだ。
「総理はパー券裏金疑惑で派閥政治に批判が集中するや、7日に宏池会を離脱。派閥は会長不在になりましたから、ナンバー2の林さんに派内を牛耳られる恐れがあった。それを防ぐために林さんを閣内に取り込んだのでしょう」(別の永田町関係者)
岸田氏が保身のため、深謀遠慮を巡らした末の人事だが、裏目に出かねない。
「この未曽有の危機に、林さんが官房長官の職務をそつなくこなせば、党内評価はウナギ上り。1日2回の会見を行う内閣のスポークスマンとして露出も増え、総理の思惑とは裏腹に林さんの存在感が増す可能性は高い」(官邸事情通)
永田町での林氏の評判は「手堅い」「安定感がある」といった具合。その手腕を買われ、内閣の“トラブルシューター”としての起用が多かった。2015年には「政治とカネ」で辞任した西川公也農相の後を継ぎ、17年には加計学園問題で文科省のガバナンスが揺らぐ中で文科相に就任。誕生日が1月19日であることから、緊急通報の「119番」になぞらえ“レスキュー林”と呼ばれているほどだ。
「このまま裏金疑惑の泥沼にはまれば、岸田政権は早期退陣、『次の総理はワンポイント』の展開もあり得る。その場合、総理に緊急登板するのは官房長官の林さんと今から囁かれている。今度はボロボロの岸田政権を“レスキュー”することになるかもしれません」(前出の官邸事情通)
派閥を牛耳られるのを防ぐはずが、図らずもキャリアアップを手助け。内閣を乗っ取られる事態もあり得るとは、あまりに皮肉な話だ。
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