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https://mainichi.jp/articles/20231211/k00/00m/040/310000c
自衛隊員の教育が、「上官の命令には絶対服従」が基本である以上、自衛隊の体質は変えることは出来ない。
日本人は、カタカナ文字になった瞬間に、そのカタカナで表現されている事象を軽く扱う傾向があるのは何故なのか。
「ハラスメントとは」でググると、
・相手の意に反する行為によって不快にさせたり、肉体的・精神的な苦痛を与え、相手の人間としての尊厳を傷づけたり、脅したりすること。
そのような行為の総称、と解説されている。
こうして、カタカナ表記の軽さを離れて、その具体的内容に踏み込んで考察すれば、「ハラスメント」の罪の重大さと同時に、日々「上官の命令には絶対服従」の教育を受け、訓練でも、相手の意に反する行為は日常茶飯事という環境に慣らされた隊員の精神構造がどのように変質していくか、伺い知れよう。
以下に記事の抜粋を記す。
12日午後に福島地裁で判決が言い渡される元陸上自衛官、五ノ井里奈さん(24)に対する性暴力事件を巡っては、防衛省が五ノ井さんの告発を受けて実施した特別防衛監察で、既存のハラスメント防止対策が機能していない実態が浮き彫りになった。同省は2023年版の防衛白書で今回の性暴力や所属部隊のずさんな対応について「対策の効果が組織全体まで行き届いていなかった」と自己批判したが、実効性のある対策の実現は道半ばのままだ。・・・
同省は・・・16年度に各種ハラスメントに関するホットラインを整えた。さらに、19年度から新任の幹部職員にハラスメント防止教育の義務化や、懲戒処分の理由へのハラスメントの追加など仕組みを整備してきた。
こうした中、防衛省・自衛隊の相談窓口に寄せられたハラスメントの相談件数は16年度は256件だったが、21年度は2311件と右肩上がりに増加。22年度も2122件と高止まりしている。・・・
・・・調査対象とした1325件のハラスメント被害申告のうち、6割超が相談窓口や相談員を利用していなかった。「改善が期待できない」「相談できる雰囲気ではない」などの回答が多く、制度が機能不全に陥っていることが判明した。
防衛省は24年度当初予算の概算要求で、ハラスメント対策費に前年度の約4倍となる約8000万円を計上。相談窓口の受付時間を延ばしたり、部下への接し方などを実践的に学ぶ実施回数を増やしたりする計画だが、「あくまで既存の事業の拡充にとどまる」(同省人事教育局)。・・・
22年末に閣議決定された安全保障関連3文書でも「ハラスメントを一切許容しない組織環境の構築」が打ち出されたが、20万人超の巨大組織を変えるのは容易ではない。・・・
呉地方総監部(広島県)が管轄する部隊に所属していた海上自衛官の女性は22年8〜12月、男性隊員からセクハラ被害を受け、退職した。被害は特別防衛監察の調査が実施されていたさなかに起き、女性は拒否したにもかかわらず、加害男性との面会を部隊幹部に強要されていた。・・・
・・・制服組の一人は「ハラスメント根絶に力を入れていると強調しながら、被害者を退職させても停職、窃盗が免職では、市民の支持を得られるのか」と首をひねった。
相次ぐ不祥事に、ある背広組は「組織を変えるには結局、厳罰化しかないのでは」と漏らした。【松浦吉剛】
記事の抜粋はここまで。
「・・・防衛省・自衛隊の相談窓口に寄せられたハラスメントの相談件数は・・・22年度も2122件と高止まりしている。・・・」
20万人の隊員を擁する組織で2000件。・・・1年間で。
100人の同朋に一人の被害者と、複数の加害者。
これも氷山の一角とすれば、事態の深刻さが理解できるというものだ。
しかも、被害者は、いつも「弱者」であるという「事実」。
本来、自衛隊は「武力」をもって侵略者に「抗う」集団である以上、その結果として「相手の命を奪う」ことになることは前提とされ、自らの命を失うこともいとわないという自己犠牲の精神が求められる。
すなわち、自衛隊員の職場は、「人が殺し合う世界」であり、訓練と言えども「人が殺し合う世界を模した」ものである以上、既に「狂気の世界」と言わざるを得ない。
自衛隊員に求められるのは、そのような「狂気の世界」にあっても、善悪の判断力、そして自分を失わない強い精神力と言うことになろうか。
無自覚に、上官の命令に従って「トマホーク」の発射ボタンを押したら最後、その自衛官は裁判員裁判で刑法199条により裁かれることになる。
結果は絞首による死刑。
幸い日本では、自衛隊員が上司の業務命令に逆らっても、「懲戒処分」で済む。
まともな判断力の持ち主なら、どう行動すべきかは明らか。
「上官の命令には絶対服従」は真理ではないということだ。
自衛隊員の不足が危惧されている中、誰でもいいから自衛隊員の頭数を揃えるだけが目的化してしまっている募集のやり方から見直す必要があるのではないか。
政府は「台湾有事」などと喧伝し、国民に軍事的不安を煽り、「戦争をする国」に向かってひた走っている。
先の戦禍では、敗戦濃厚となった旧日本軍は、平然と日本国民を見捨て、さらには日本国民に銃口さえ向けたという。
「相手の意に反する行為によって不快にさせたり、肉体的・精神的な苦痛を与え、相手の人間としての尊厳を傷づけたり、脅したりすること。」
を「ハラスメント」と言うならば、これ以上の「ハラスメント」は無い。
今の自衛隊内部の不祥事は、旧日本軍の不祥事と通じるものが有ると思わざるを得ない。
国民の支持無くしては、自衛隊は存続さえ危ぶまれるという認識が必要だろう。
同胞、そして同朋に害を加えるような実力組織ならば、それは「危険物」でしかない。
「国民の一層の監視が必要だ」ということを、改めて思わざるを得ない。
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