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岸田政権肝いり「児童手当拡充」は+6000円ぽっち…愚策に愚策を重ね“世代間対立”をあおる
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/333074
2023/12/08 日刊ゲンダイ
ないよりましな程度の“ぽっち”策、これじゃあちっとも…(C)日刊ゲンダイ
えんぴつナメナメのセコイ制度設計に落ち着きそうだ。
岸田政権肝いりの「次元の異なる少子化対策」の目玉に位置づける児童手当の拡充。支給対象を現行の中学生以下から高校生まで拡大することを踏まえ、整理を検討していた「扶養控除」の見直し案が判明した。
所得税の控除額は現行1子につき年38万円から25万円に、住民税は33万円から12万円にそれぞれ引き下げる。控除を縮小しても全世帯で児童手当の増額分(原則年12万円)が上回るというのだが、差し引きのプラス効果は給与収入1160万円(課税所得695万円)未満の層だと7万2000円に過ぎない。
月額6000円とはショボすぎる。ないよりはマシとはいえ、すでに高校の実質無償化に伴い、2011年度から16〜18歳までの特定扶養控除の上乗せ分(25万円)が廃止された経緯もある。
「扶養控除の対象から外れる中学生以下とのバランスを取ったのでしょうが、中学生以下の控除がないのは、民主党政権の『子ども手当』創設で16歳未満の年少扶養控除(38万円)が廃止されたため。自民党は12年の衆院選でその復活を公約に掲げたのに、10年以上経っても実現する気はサラサラありません」(立正大法制研究所特別研究員・浦野広明氏=税法)
真の狙いは世代間対立
「控除より手当」が政府・与党の方針らしいが、子育て世帯の控除を縮小する一方で、老いた親や祖父母などの扶養世帯が対象となる老人扶養控除は温存したままだ。70歳以上の親族を「同居」で扶養すれば、控除額は所得税で58万円、住民税は45万円。高校生を扶養する世帯を大きく上回る。
これじゃあ、子育て世帯の高齢者への不満は募るばかりだ。世代間対立をあおり、高齢者向け社会保障を削りやすくするための「社会の分断」こそが、少子化対策の真の狙いではないのか。まさに異次元レベルの愚策である。
「岸田首相は『社会全体で子育て世帯を応援する』と説明していました。ならば少子化対策の財源は応能負担の原則に立ち、富裕層の課税強化とセットにすべき。手当拡充の財源を子育て世帯に負わせるのは、飢えたタコが自分の足を食べるのと同じです」(浦野広明氏)
愚策に愚策を重ねては、少子化は食い止められない。
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