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換骨奪胎の野党共通政策
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2023年12月 8日 植草一秀の『知られざる真実』
立憲民主、共産、社民、れいわの野党4党幹部と「市民連合」メンバーが国会内で面会して次期衆院選の共通政策を要請し、合意を得たと報じられた。
市民連合が提示した政策は以下の五つ。
1 憲法も国民生活も無視する軍拡は許さない
2 物価高、燃料高騰、円安、不公平税制を放置せず、市民の生活を守る経済政策を行う
3 だれもが個人として尊重されるよう、ジェンダー平等・人権保障を実現する
4 将来世代へと繋げるために、気候変動対策を強化し、エネルギー転換を推進する
5 権力の私物化を止め、立憲主義に基づく公正で開かれた政治を行う
総選挙を通じて政治刷新を実現するには衆議院過半数議席を確保することが必要。
小選挙区を軸とする選挙で過半数議席を獲得するには、自公政治に対峙する政治勢力と市民が連帯することが必要不可欠だ。
この意味で野党共闘を構築する試みは必要不可欠。
しかしながら、中核野党を支持する勢力のなかに野党共闘を破壊しようとする組織が存在する。
これが諸悪の根源である。
結果として、市民連合が提示した「共通政策」も歯切れの悪いものになっている。
さらに言えば、共通政策に合意したと言いながら、野党共闘を明確に肯定する声が一致結束したものとしては聞こえてこない。
さまざまな制約があるなかでの苦肉の策としか言いようがない。
問題の所在がどこにあるのかを明確にしておくことが必要だ。
諸悪の根源は「勝共の連合」である。
「勝共の連合」では、かつて国際勝共連合と強い関係を有した「同盟」(=民社党)の系譜を引く大企業御用組合が主導権を握っている。
「同盟」=「民社党」はCIAの意向を背景にして創設された野党分断のための組織だった。
その流れを汲む現在の連合(「勝共の連合」)が野党共闘を破壊する工作を続けている。
「勝共の連合」は野党陣営を「共産党と共闘する勢力」と「共産党とは共闘しない勢力」とに分断することに総力を注ぐ。
野党勢力を分断すれば自公あるいは自公国威の優位は揺るがない。
野党分断工作は自公与党勢力を側面支援する活動である。
この「勝共の連合」の影響力を肯定するなかで野党共闘を模索しても政治刷新の未来展望は開かれない。
合意された政策を見ると重大な問題が二つ含まれている。
第一は原発廃止が明記されていないこと。
第二は消費税の減税・廃止が盛り込まれていないこと。
背景に「勝共の連合」とこれに支配される立憲民主党の現状がある。
「勝共の連合」を主導するのは6産別。
電力、電機、自動車、鉄鋼、機械・金属、繊維・流通等の6つの産業別労働組合。
6産別は大企業御用組合が中核で、原発廃止を掲げず、消費税減税・廃止も掲げない。
「隠れ自公」と表現して差し支えない組織である。
6産別が支配する連合が「勝共の連合」である。
立憲民主党は「勝共の連合」の支配を排除しない。
このために、政策合意と言いながら、とても自公政治と対峙する政策プログラムにはなっていない。
「ガーベラの風」(オールジャパン平和と共生)=「政策連合」は明確な基本政策を基軸にして、市民と政治勢力の連帯を唱えてきた。
明確な基本政策とは
1平和主義堅持
2原発廃止
3共生の経済政策=消費税減税・廃止
である。
「隠れ自公」勢力と共闘して、仮に政権を奪取できたとしても、その後の政策運営において閣内不一致が生じてしまう。
「勝共の連合」とこれに支配される政治勢力が提示する基本政策は自公の基本政策と変わらない。
自公と変わらない基本政策を提示する市民と政治勢力は自公の側に移転してもらうべきだ。
野党共闘のあり方を考える際に最重要の問題がいまなお解決されていないことが最大の問題である。
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