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※2023年11月18日 日刊ゲンダイ2面 紙面クリック拡大
※紙面抜粋
※文字起こし
辞任ドミノはまだ続く(C)共同通信社
いったい次は誰なのか──。わずか半月の間に3人の「政務三役」が次々に辞任に追い込まれている岸田政権。さすがに、自民党の森山裕総務会長も「極めて異常な事態だ」と頭を抱えているそうだ。
なにしろ、子どもたちの教育を担う文科政務官は「買春疑惑」が発覚して辞任、法務副大臣は「公選法違反事件」に関与していたことがわかり辞任、税を徴収する財務副大臣は「税金滞納」が発覚して辞任……と、よりによって職務に直接関わる問題で不祥事を起こしているのだから、ほとんどブラックジョークである。
しかも「辞任ドミノ」は、止まりそうにない。政界では「ヤバイのがあと5、6人いる」という声が上がっているほどだ。
最右翼に浮上しているのが、セクハラ疑惑を報じられた三宅伸吾防衛政務官だ。被害女性の告発を「週刊文春」が詳細に報じている。三宅本人は「身に覚えがない」と国会で弱々しく否定しているが、告発は生々しいだけに、はたして逃げ切れるのかどうか。
さらに、工藤彰三内閣府副大臣は、旧統一教会と特別な関係だったことが国会で問題視されはじめている。これまで本人は隠していたが、韓国教団のトップ韓鶴子氏と5回も会っていたことが発覚した。
それにしても岸田首相は、よくもまぁ、これだけデタラメな議員を内閣に集めたものだ。自民党関係者がこう言う。
「身体検査が不十分だったのか、メディアに報じられていない政務三役のスキャンダルが、あと2つあります。1人は主要閣僚です。政務官や副大臣ならまだしも、大臣のスキャンダルはまずい。昨年、4閣僚が相次いで辞任した時、支持率が急落してしまった。すでに支持率が低迷しているだけに、底が抜ける恐れがある。怖いのは、自分たちが把握していないだけで、予想外の爆弾を抱えている可能性を捨てきれないことです。これ以上、辞任ドミノが続くと、岸田政権はもたなくなる恐れがあります」
もはや組閣も出来ない
来週21日からはじまる衆参予算委員会で、野党は岸田の任命責任を徹底的に追及し、どんな身体検査をしたのか、厳しく問う予定だ。
しかし、ここまでくると、もはや「身体検査」ウンヌンの問題ではないのではないか。昨年の4閣僚の辞任に続き、今年も辞任ドミノが起きるというのは、どう考えても異常だ。
意図的に問題人物だけを集めようとしたって、ここまで集められるものじゃない。
もう自民党には、フダ付きやスネ傷しかいない、ということなのではないか。身体検査を本気でやったら、閣僚にふさわしい人物は一人もいない、というのが真相なのではないか。暴力団の山口組が、前科前歴のない人物だけで執行部をつくろうとしても難しいのと同じだ。
だと考えなければ、止まらない辞任ドミノは説明がつかない。
実際、閣僚経験者も含めて、自民党にはゴロツキ、ポンコツ、ロクデナシの類いしか見当たらないのが実態だ。ここ数年だけでも、河井克行、菅原一秀、薗浦健太郎、秋本真利、秋元司……と、毎年のように立件されているのだから異様な組織だ。
立正大名誉教授の金子勝氏(憲法)はこう言う。
「自民党議員の劣化ぶりは目を覆うほどです。その象徴が“ポスト岸田”の不在でしょう。ここまで内閣支持率が下落しているのに“岸田降ろし”の動きさえない。20年前、30年前の自民党だったら、後継候補が何人もいたものです。それに、杉田水脈議員が人権侵害を繰り返しても、党内からいさめる声も出てこない。もはや自民党議員は、良識というか、常識さえ失っています」
安倍政権後に腐敗が進んだ
なぜ、自民党はこんなロクでもない連中ばかりになってしまったのか。原因のひとつは、2世、3世といったボンクラの世襲議員ばかりになっていることだろう。岸田も3世議員である。
本来、政治家は世のため、人のために身を捨てて働くものだ。ところが、自民党の世襲議員は、他人から何かやってもらうことが当たり前になっている。しかも、親から“稼業”を引き継いだだけだから、信念や志があるわけでもない。食いぶちを得るために苦労したこともないから、人の痛みも分からない。
この国会でも自民党議員は自分たちのボーナスを18万円もアップさせる法律をさっさと成立させてしまった。これだけ国民が物価高に苦しんでいるのだから、普通の神経をしていたら、自分たちだけ懐を温めるようなことはできないはずだ。
世襲でない議員も、一度“特権階級”に入ると、あっという間に同じ感覚に染まってしまっている。
法大名誉教授の五十嵐仁氏(政治学)はこう言う。
「自民党が特におかしくなったのは、10年前に安倍政権が誕生して以降です。自分たちは、何をやっても許される、という空気が広がってしまった。象徴的なのは、モリカケ桜問題です。党内からモラルが消え、権力の私物化が当たり前になってしまった。統計の改ざんが発覚しても、公文書が改ざんされても、選挙で勝てば『信を得た』と開き直り、反対する勢力には『こんな人たちに負けるわけにいかない』という態度だった。アベ政治の10年間で、自民党議員から謙虚さが消えてしまった。逆に、党内で『自民党、感じ悪いよね』と声を上げた石破元幹事長は徹底的に潰された。その結果、トンデモナイ議員ばかりになったということだと思います」
民意までナメ始めた
このまま自民党に政権を任せていたら、この国はいずれ潰れてしまうだろう。
自民党議員がここまで腐敗堕落しているのは、「自分たちが野党に転落することはない」と高をくくっているからだ。旧民主党から政権を奪還してから10年が経過し、自民党議員は完全に危機感を失っている。
いまや、民意すら恐れなくなっているありさまだ。もし、民意を恐れていたら、国会議員になった後に税金の滞納を重ねたり、いくらなんでも買春が疑われるようなことはしないだろう。野党の反対を押し切って自分たちのボーナスをアップさせるようなことだってしないはずだ。
自民党は、まともな組閣すらできなくなっている。何度、改造しても「辞任ドミノ」が起きてしまう。
いい加減、国民も自民党に「NO」を突きつけた方がいいのではないか。
いつ政権交代が起きてもおかしくない状況になれば、さすがに党内に緊張感が生まれ、やりたい放題などできなくなるはずだ。
「自民党の腐敗堕落、人材払底は行きつくところまで行ってしまった感があります。それもこれも、民意を甘く見ているということでしょう。かつての自民党内では幅広い意見が飛び交っていましたが、いまやスッカリ消えて、硬直的な組織になってしまった。この状況を変えられるのは、もはや国民だけでしょう。あらゆる選挙で『NO』を突きつけるべきだと思います」(五十嵐仁氏=前出)
落ちるところまで落ちたこの集団に、政権担当能力などあるわけがない。国民はよーく考えて投票権を行使した方がいい。
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