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※2023年11月10日 日刊ゲンダイ1面 紙面クリック拡大
※紙面抜粋
※2023年11月10日 日刊ゲンダイ2面
※文字起こし
人道的休止しか踏み込めず、具体策実効性なしのG7外相会合(中央がブリンケン米国務長官と上川陽子外相、=代表撮影)
人道的休止しか踏み込めず、その休止にも具体策なし、実効性なし
先進7カ国(G7)外相会合の結論には、世界中が嘆息したのではないか──。人道危機がつづくガザでの戦闘が勃発した後、初めてのG7外相会合(7、8日)が東京で開かれ「共同声明」が発表された。
ガザでは連日、イスラエルによる虐殺を思わせる空爆がつづき、世界中から一刻も早い「停戦」を求める声があがっている。なにしろ、ガザ地区ではこの1カ月間で1万人以上が犠牲になり、そのうち4200人は罪のない子どもたちだ。
しかも、イスラエル軍は本格的な「地上侵攻」を開始したから、このまま戦闘がつづいたら、どこまで犠牲者が増えるかわからない。
ところが、G7外相会合の「共同声明」は、戦闘を一時的に止める「人道的休止」しか求めなかったのだから信じがたい。「休止」は「停戦」や「休戦」よりも短く、ほとんど意味がない。しかも、具体的な「休止」の期間や条件も示さなかった。これでは実効性はゼロだろう。実際、ガザへの攻撃をつづけるイスラエルのネタニヤフ首相は、「ここで1時間、あそこで1時間と、状況を確認するための戦闘の小休止は、これまでもしてきた」と、G7外相会合の要望など、歯牙にもかけていない様子だ。
なぜ、G7の外相たちは、イスラエルに「即時停戦」を突きつけなかったのか。いま必要なことは、イスラエルに即刻、子どもたちを殺すような攻撃を中止させることだろう。国連トップのグテレス事務総長も、イスラエルの空爆を「明確な国際人道法違反だ」と批判し、即時停戦を求めているくらいだ。
外相会合の議長をつとめた日本の上川外相は、「共同文書をまとめたことは、重要な成果となった」と、能天気に自賛していたが、いったい何を言っているのか。これほどバカげた「共同声明」が、どこにあるのか。立正大名誉教授の金子勝氏(憲法)がこう言う。
「ガザの戦闘を止めるのは、もはや国際社会にしかできないでしょう。ガザの住民も国際社会に助けを求めています。なのに、国連安保理は機能せず、世界の大国が集まるG7までが腰が引けた対応をしている。これまでG7は『法の支配』を強く訴えてきたはずです。中国やロシアを牽制する意味もあったのでしょう。ロシアがウクライナに侵攻した時は、『国際法違反だ』と批判していた。だったら、なぜイスラエルにも『法の支配』を説かないのでしょうか。国際人道法は、民間人への攻撃を禁止しています。G7の対応は、グローバルサウスには二重基準に見えてしまうはずです」
いったい、G7の外相たちは、何のために日本に集まったのか。あまりにも無能、無力、無責任だ。
このままではガザ住民まで根絶やし
こんな無意味な共同声明では戦闘は止められない。この先、ガザの住民はどうなってしまうのか。犠牲者の増加は避けられないだろう。
イスラエルの攻撃は徹底している。2014年に起きたイスラエルとハマスの衝突とは、様相が全く違うのだ。当時のイスラエル軍は、ガザ市民の被害を気にして、難民キャンプへの攻撃には慎重だった。ところが、今回はすでに2カ所のキャンプを空爆。数百人が犠牲になっている。さらに、救急車の車列まで空爆している。14年の戦闘では、巻き添えになったことはあったものの、救急車を直接、標的にすることはなかった。完全にブレーキを失っている。
イスラエルがハマスの殲滅を狙っているのは間違いない。地上侵攻を開始したイスラエル軍は7日、最大都市ガザ市の中心部に到達。ガザの北部をぐるりと包囲してしまった。ガザは、狭い地域に220万人が暮らす、世界でも有数の人口密集地だ。しかも、周囲を高さ8メートルの壁に囲まれ、逃げ場がない。
恐ろしいのは、ハマスを殲滅するためなら、イスラエル軍は、北部に残る住民を容赦なく殺害するとみられていることだ。
市内には数十万人の市民が残されている。今後、市街戦が激化し、老若男女を問わず殺戮が繰り返される恐れがある。文字通りの地獄絵図である。
なぜ、イスラエルはここまで強硬なのか。現代イスラム研究センター理事長の宮田律氏はこう言う。
「ハマスを『根絶やしにする』と発言しているネタニヤフ首相が、攻撃の手を緩めることはないでしょう。ここまで徹底した攻撃を行う背景には、イスラエルの内政が影響しています。ハマスの越境攻撃を許したことで、国民の支持を失ったネタニヤフ首相は、政権を維持するために強気な姿勢を示す必要があるのです。また、昨年末、極右政党と連立を組んだため、極右勢力の意向を尊重しないと、やはり政権維持が難しくなる。政治スキャンダルにまみれるネタニヤフ首相は、辞職すれば逮捕される可能性さえ指摘されている。何としてでも首相の座にしがみつかなければならないのでしょう」
G7各国はイスラエルの攻撃を黙認するのか。自称大国たちの言う「法の支配」とは、一体何だったのか。
アメリカ一辺倒の無能外交
それにしても、情けないのはG7議長国である日本だ。岸田首相は「首脳外交が大事だ」などとエラソーなことを言っているが、相も変わらぬアメリカ追従一辺倒で、独自外交はゼロだ。
上川外相はブリンケン米国務長官と会談し「アメリカの外交努力を評価するとともに最大限支持する」とヨイショ。先月下旬の国連総会では、日本はアラブ諸国を代表したヨルダン提出の「人道的休戦」決議案の採決で棄権し、アメリカと一緒にハマスへの非難を盛り込んだカナダ案に賛成している。
アメリカと一線を画し、独自外交を展開するフランスが「ヨルダン案」にも、「カナダ案」にも賛成したのとは大違いだ。
どうせ岸田は、外交で「やってる感」を演出し、内閣支持率がアップすればいいくらいにしか考えていないのだろう。ガザの住民が助けを求めているのに、本気で戦闘を止める気がないのは明らかだ。
G7議長国なら、独自の「議長声明」を出すことだって可能なのではないか。
高千穂大教授の五野井郁夫氏(国際政治学)はこう言う。
「いい加減、アメリカ一辺倒を改めるべきです。日本政府はハマスの攻撃について当初、『テロ』という表現を避け、欧米諸国とは一定の距離を取っていた。結局、4日後に足並みを揃え『テロ』と非難するようになったわけですが、当初の対応こそ正しい外交姿勢でした。パレスチナ問題に直接、責任のない日本は、欧米とは立場が違うはずです。それに、もはやアメリカに頼っていれば安泰という時代ではないはずです。とくに、ロシア、中国、中東の3正面で対応を強いられているアメリカに追従するのは危険です。国力低下が著しいアメリカは、3つの局面のいずれかをあっさり放棄する可能性がある。付き従っていると、日本はハシゴを外される恐れがあります。独自外交を目指さなければ、国際社会では生きていけません」
G7議長国の岸田政権は、ガザの戦闘にどう対応するのか。このままイスラエルに一言も言わないつもりなのか。無策な議長と無意味なG7に、アラブ諸国は失望しているに違いない。
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