<■466行くらい→右の▽クリックで次のコメントにジャンプ可> 解散先送りで憲法改正議論は加速? 首相の「切り札」にせざるを得ない事情 2023/11/9 18:21 https://www.sankei.com/article/20231109-EXOXQZRJTRBWJOZUZ66GHTEPCA/ 岸田文雄首相(自民党総裁)は2023年年内の衆院解散を見送る方針を固めたが、影響が注目されるのが憲法改正の行方だ。 首相は2024年9月までの総裁任期中の改憲を掲げるが、手続きに掛かる時間を考えると、実現性は限りなく低いと言える。 ただ、解散がずれ込んだことで条文案作りなどをじっくり行うゆとりはできた。 内閣支持率が低迷する中、首相が次の衆院選に勝つため、大義として改憲を掲げる必要性が増したとも言える。 首相は改憲に向けた準備を加速させるか。 「やはり熟議だ」 「多岐にわたるテーマで問題点を議論していくうちに、各党が認識を共有できればいい」 衆院憲法審査会の中谷元・与党筆頭幹事(自民党)は2023年11月9日の審査会後、記者団にこう強調した。 この日の審査会は海外視察の報告にとどまった。 改憲の是非を問う国民投票を巡っては、周知期間として国会の発議から60〜180日を空ける必要がある。 2024年9月30日の党総裁任期満了までに改憲を実現するには、遅くとも2024年7月下旬までには発議する必要がある。 2023年12月13日に会期末を迎える今国会で、残る衆院憲法審の定例日(木曜)は2023年の11月16日、11月30日、12月7日の3日のみ。 衆院では与党と日本維新の会、国民民主党、衆院会派「有志の会」が緊急時に国会議員の任期延長を可能にして国会機能の維持を図る緊急事態条項創設の必要性で一致しているが、残る3回の審査会で条文案をまとめるには日程的に厳しい。 更に、参院のハードルは高い。 衆院に比べ、憲法審査会の定例日開催は定着しておらず、衆院議員の任期延長を柱とする衆院側の考えに対し、参院の緊急集会の機能強化を訴える声も根強い。 自民の憲法実現本部幹部は、条文案の策定は 「2024年1月召集の通常国会でも大丈夫だ」 と語るが、国会でも改憲原案の提出後に一定期間議論する必要性などを考えると、2024年9月までの実現は限りなく赤に近い黄信号と言える。 ただ、今回首相が2023年年内の衆院解散を見送ったことで、永田町が2023年一杯は政治的空白に包まれることがなくなった。 与野党が水面下も含め、実務的な議論を重ねる期間は一定程度確保できたと言える。 解散が2024年以降となり、次期衆院選の日程が首相の自民総裁任期に近づく可能性が高まったことも、改憲議論を加速させる一因になるとの見方もある。 今の衆院議員任期は2025年の10月まであるが、首相は次期総裁選での再選を確実にするため、 「総裁選前の解散に拘っている」(自民幹部) という。 内閣支持率が低迷する中、次の衆院選で確実に勝利するためには、 「改憲を大義として前回以上に強調しなければならない」(同) と指摘する向きは多い。 選挙戦で世論を納得させるため、自民は改憲の具体的イメージをより鮮明に打ち出す必要もある。 首相は2023年9月の自民役員人事で党内の改憲議論に携わる陣容を強化したが、今後は議論を更に加速させるよう指示を出す可能性もあるだろう。 公布から77年。 与野党は最高法規の改正を先送りし続けてきた。 ただ、新型コロナウイルス禍やロシアのウクライナ侵略など内外の情勢は変化し、報道各社の世論調査で改憲を求める声は根強い。 産経新聞社とFNN(フジニュースネットワーク)が2023年4月に実施した合同世論調査でも改憲への賛成は5割を超えた。 首相も2023年10月23日の施政方針演説で、憲法改正について、 「先送りのできない重要な課題」 「条文案の具体化など、積極的な議論を心から期待する」 と述べ、条文案の具体化に初めて言及した。 党是とする改憲に自民党が本腰を入れる環境は整いつつある。 ただ、最近は政務3役のスキャンダルなどが相次ぎ発覚し、国会には不穏な空気も漂っている。 審議に波及すれば、改憲議論にも影響を与えかねない。 改憲議論を主導する日本維新の会の馬場伸幸代表は2023年11月9日の記者会見で、自民党の本気度≠こう挑発してみせた。 「(今国会)残り3回の憲法審査会の場で、改正項目の絞り込み、条文の作成、具体的な国民投票に向けた作業を強く求めたい」 「具体的な作業に入らない判断を自民党さんがされるということであれば、もう自民党は本当に改憲政党ではない」 「『やるやる詐欺』だ」憲法9条が優秀ならなぜ世界中で採用されないのか? 憲法9条2項は削除すべきだ。 憲法9条に自衛隊を明記し、更に自衛隊を軍隊と明記すべきだ。 憲法改正に反対する人は、日本が「普通の国」なろうとすることを阻止しようとする異常者だ。 日本国憲法 第九条 日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。 A 前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。 【中高生のための国民の憲法講座】 第23講 なぜ憲法に軍隊明記が必要か 百地章先生 http://www.sankei.com/life/news/131207/lif1312070030-n1.html なぜ自衛隊を 「軍隊」 としなければならないのか。 本質的な理由は次の点にあります。 つまり戦力の不保持を定めた憲法第9条の下では法制度上自衛隊は軍隊ではなく警察組織に過ぎないとされているからです。 ◆軍隊と警察の違い それでは軍隊と警察の違いは何でしょうか? 軍隊の権限は 「ネガティブ・リスト」 方式で規定されています。 つまり行ってはならない事柄、例えば、毒ガス等の非人道的兵器の使用禁止や捕虜の虐待禁止などを国際法に列挙し禁止されていない限り軍隊の権限行使は無制限とされます。 だからネガティブ・リスト方式といいます。 なぜなら国際社会ではもし武力紛争が発生した場合、国連安保理事会が対処することになっていますが、それができない時は各国とも自分で主権と独立を守るしかないからです。 これに対し警察の権限行使は 「ポジティブ・リスト」 方式です。 つまり国家という統一秩序の中で国民に対して行使されるのが警察権ですから制限的なものでなければなりません。 だから行使して良い権限だけが法律に列挙されており、これをポジティブ・リスト方式といいます。 それゆえ、もし自衛隊が法制度上、軍隊であれば、領海を侵犯した軍艦や潜水艦に対しては、国際法に従って、まず 「領海からの退去」 を命じ、それに従わない時は 「警告射撃」 を行うことができます。 更に、相手側船舶を 「撃沈」 することさえ可能です。 現に、冷戦時代、スウェーデン海軍は領海を侵犯したソ連の潜水艦を撃沈していますが、ソ連は何も言えませんでした。 ◆尖閣諸島を守るために ところが、自衛隊は 「軍隊」 ではありませんから、自衛隊法に定められた 「防衛出動」 の場合を除き、武力行使はできません。 また、自衛隊法には領域警備規定がありませんから、もし中国の武装漁民が尖閣諸島に強行上陸しても、防ぎようがないのです。 相手が発砲してくれば、正当防衛として 「武器使用」 ができますが、場合により過剰防衛で起訴されかねません。 したがって速やかに憲法を改正して、自衛隊を 「軍隊」 とする必要があります。 そうしなければ尖閣諸島も守れませんし、中国の軍事的脅威を前に、我が国の主権と独立を保持することは難しくなります。 2013.9.28 08:32 【中高生のための国民の憲法講座 第13講】 平和は汗して勝ち取るものだ 百地章先生 http://www.sankei.com/life/news/130928/lif1309280017-n1.html 先の参院選を前に、自民党の憲法改正草案にある 「国防軍」 がクローズアップされ、様々な批判が加えられました。 曰く 「安倍政権は、軍隊を作って戦争をするつもりか」 「憲法9条が改正されたら、徴兵制が敷かれる」。 本当にそうでしょうか。 ◆9条で平和が守れる? 護憲派は、日本が戦後、平和を維持できたのは9条のお蔭だと言います。 もし9条で平和が維持できるなら、それほど楽なことはありません。 国連など不要ですし、各国とも競って9条を採用し、軍備を撤廃することでしょう。 しかし、そんな国はありません。 9条1項は 「侵略戦争」 を放棄した不戦条約(1928年)と同じで、我が国が戦争に訴えることを禁止したものです。 その意味で、9条によって戦争が回避されたのも事実でしょう。 しかし、9条があったから外国が攻めてこなかったわけではありません。 戦後我が国が外国から戦争をしかけられず、平和を維持できたのは、自衛隊と日米同盟に基づく米軍および核の傘のお蔭です。 冷戦時代、ソ連は北海道に侵攻しようとし、しばしば軍用機がわが国領空を侵犯しました。 そんな時、スクランブル(緊急発進)をかけて、ソ連機を退去させたのは自衛隊です。 平成11年、海上警備行動を発動して北朝鮮の工作船を追跡したのは、海上自衛隊の護衛艦でした。 現在、尖閣諸島を奪い取ろうとしている中国の公船や軍艦と対峙し、我が国の領土・領海を守っているのも海上保安庁や自衛隊です。 そして、その背後に同盟国アメリカがいるから、我が国の平和が守られてきました。 したがって、 「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼し」(憲法前文)、 戦争を放棄すれば平和が維持できるなどと考えるのは、ただの夢想に過ぎません。 護憲論者たちは、9条改正は我が国を 「戦争をする国」 に変えるものだから反対だと言います。 しかし、もし軍隊を保持するだけで戦争が始まるなら、世界中で戦争が勃発しているはずでしょう。 ここにも、日本だけを危険視する護憲派の独断と偏見が見られます。 ◆軍隊は「戦争抑止力」 彼らに欠如しているのは、軍隊は 「戦争抑止力」 であり、外国の侵略の意図を挫き、独立と平和を守るものであるという、国際常識です。 だから 「武器ではなく、憲法9条こそが、私たちを守ってくれます」 などと無責任なことを言うのです。 具体的にどのようにして国を守っていくのか、という肝腎の疑問には答えようとしません。 ただ不安を煽っているだけです。 9条改正で、徴兵制が敷かれるといった放言も、まさにその類いです。 自民党案には、徴兵制度などありませんし、志願制が世界の流れです。 それに国民の意思に反して徴兵制を敷くことなどできません。 軍隊や戦争を巡って、これまで護憲派は多くの嘘や偏見を撒き散らしてきました。 今こそ、国際常識を踏まえた防衛論議が必要ではないでしょうか。 2013.11.30 09:52 【中高生のための国民の憲法講座】 第22講 尖閣守るため領域警備規定を 百地章先生 http://www.sankei.com/life/news/131130/lif1311300020-n1.html 中国は尖閣諸島を奪おうとし、現在では中国公船(政府当局の船)が、我が国の接続水域を我が物顔に航行し、領海侵犯を繰り返しています。 また先日は、尖閣諸島の上空に中国の防空識別圏(領空侵犯を防ぐための空域)を設定してしまいました。 中国が本気で尖閣を奪取しようとしていることは間違いありません。 ◆ゲリラ部隊どう阻止 中国は尖閣諸島の領有権を主張するだけでなく、同諸島をチベットやウイグルと同様に 「核心的利益」 と位置付けています。 つまり、尖閣諸島を奪い取るためには武力行使も辞さないというのが中国の立場です。 このような中で、もしゲリラ部隊が尖閣諸島に強行上陸を試みた場合、一体どのようにして阻止するのでしょうか。 事件後、尖閣諸島を守る国民運動が全国で展開され、超党派の国会議員や政府を動かした結果、2012年の国会で、海上保安庁法等が改正されました。 そして領海内で違法操業をしている外国漁船などに対しては、立ち入り検査なしに直ちに 「退去命令」 を出し、従わない場合は退去命令違反で 「拿捕」 することができるようになりました。 とはいえ、尖閣諸島をはじめとする我が国の領土・領海をしっかりと防衛するためには、やはり自衛隊法の改正が不可欠です。 なぜなら海上保安庁が行使するのは警察権で、取り締まれるのは漁船等だけだからです。 政府の公船や軍艦に対しては、自衛隊が対応するしかありません。 ところが現在の自衛隊法には 「領空侵犯」 規定があるだけで、 「領海侵犯」 や 「領土侵犯」 対処規定は存在しないのです。 ◆侵略の未然防止を 従って自衛隊法に 「警戒監視」 や 「領域警備」 規定を定め、平素から 「警戒監視」 任務に当たらせると共に、 「治安出動」 や 「防衛出動」 に至らない段階から 「領域警備」 が出来るようにしておく必要があります。 現在の自衛隊法では 「武力攻撃」 つまり 「外国による組織的計画的な武力の行使」 が発生しない限り自衛隊は出動できません。 つまりたとえ中国や北朝鮮などのゲリラ部隊が領土・領海を侵犯しても自衛隊にはこれに対処する任務も権限も与えられていないわけです。 従ってこのような領域侵犯や小規模攻撃に適切に対処し侵略を未然に防止するためにも自衛隊法に 「領域警備規定」 を定めておく必要があります。 これは国連憲章51条に定められた自衛権つまり外国から組織的な 「武力攻撃」 を受けた際に発動される自衛権ではなく慣習国際法上の自衛権によるものです。 この自衛権のことを 「マイナー自衛権」 とも呼びます。 そしてこれに基づき、自衛隊と海上保安庁等が共同で対処することによって武装工作員らの領土・領海侵犯を未然に防ぎ、侵略を阻止することが出来るわけです。 勿論速やかに憲法9条2項を改正して自衛隊を 「軍隊」 とすべきですがすぐにでも自衛隊法改正に取り掛かるべきではないでしょうか。 憲法96条の憲法改正発議要件を 「各議院の総議員の『三分の二以上』」 から 「各議院の総議員の『過半数』」 に変更せよ。 どこへ消えた憲法96条の改正論 2022年4月15日 産経新聞 今国会の目新しい風景の1つは、憲法改正に関する審議を行う衆参両院の憲法審査会でほぼ毎週討議が行われていることだ。 次年度予算案審議中の2022年2月には衆院憲法審で討議が行われたのは10年ぶりで、予算成立後も続いている。 予算審議を優先させるため、成立までは憲法審を開かないのが長年の”慣例”だった。 2022年夏の参院選を控え、開催を渋っていた立憲民主党も応ぜざるを得なくなったようだ。 憲法審の討議の主たるテーマは、緊急事態時に関する条項の新設。 新型コロナウイルスへの対応に手をこまねいたことなどへの反省から、時宜に適った課題と位置付けられている。 だが、憲法改正作業を展望した場合、抜け落ちている視点があるのではないかとの疑問が拭えない。 現実の問題として、改正作業は条文ごとに見直しを行う 「逐条改正」 となるだろう。 改憲を党是とする自民党にとって、綱領に掲げる自主憲法制定、全面改正は一気にはできない。 ならば、 「改正しやすくする手段」 の模索は欠かせない。 その意味で、憲法制定手続きを定めた96条の議論を行わないのはおかしい。 いくら改正原案の内容が良くても、発議できなければ意味はない。 96条は 「この憲法の改正は、各議院の総議員の三分の二以上の賛成で、国会が、これを発議し、国民に提案してその承認を経なければならない」 と定める。 国政選挙の度に改憲勢力が3分の2を越えたかどうかどうかが話題になるのはこのためだ。 自民党では、安倍晋三元首相が平成24年12月に政権を奪還する前から発議要件を衆参各議員の 「3分の2」 から 「2分の1」 に緩和してハードルを下げるよう訴えていた。 平成25年4月の産経新聞のインタビューで 「憲法を国民の手に取り戻す」 「現行憲法自体、国民の手によって作られたものではない」 「憲法は今、(96条によって)永田町に閉じ込められている」 「その憲法を鍵を開けて取り戻す」 「それこそが96条の改正だ」 と述べていた。 だが、平成25年の参院選公約に明記されず、平成30年3月に改憲4項目を定めた際には抜け落ちた。 自民党が方針を変えたのは連立を組む公明党への配慮もある。 公明党は96条改正には慎重だからだ。 支持母体の創価学会が 「96条改正は9条改正に結び付く」 と強い懸念を持っていた経緯もある。 熱しやすく冷めやすい日本人の性格、制定後75年も改正が放置されていたことを考え併せれば、憲法を1項目変えただけで大きな満足感を得るかもしれない。 そうなれば、その後の改憲議論は再び停滞しかねない。 自民党の憲法改正推進本部長を務めた保利耕輔元自治相は令和2年のインタビューで 「96条の問題は、電車の線路がない所を、どうやって走らせるかというのと似ている」 と話していた。 自民党が改憲4項目という 「電車」 を作っても、発議要件の緩和という 「線路」 が整備されていなければどうしようもないことを示唆している。 憲法審の議論が参院選を睨んだ保守層取り込みのポーズならいらない。 96条を置き去りにした議論の1点を取っても、改憲勢力に属する国会議員の誠実さを疑わざるを得ない。 2013.7.20 09:02 産経新聞 【中高生のための国民の憲法講座】 第3講 主権者に憲法を取り戻そう 百地章先生 明日は参議院選挙の投票日です。 今回の参院選では憲法改正がかつてないほど重要な争点となりました。 これは国政選挙では初めてと言っても良いでしょう。 現行憲法の改正に不可欠な3分の2が結集できるか否かが、注目されています。 ■高いハードル その 「3分の2」 というのは現行憲法96条の規定ですが、この条件を満たすのは大変難しい。 そのため、憲法制定から60年以上が経ちますが、1度も改正されたことがなく、9条をはじめ現実との間に様々なギャップが生じています。 各種世論調査を見ても国民の多くは憲法を現実に沿うよう改正すべきだと考えています。 にもかかわらず憲法改正が実現しないのは、この高いハードルがネックだからです。 選挙前、多くのメディアが一斉に 「日本の改憲条項は決して厳しくない」 と言い出しました。 「米国も上下両院の3分の2以上の賛成で改憲が発議されている」 「ドイツも3分の2を課している」…。 これらの主張にはトリックがあります。 まず、日本の3分の2というのは総議員の3分の2。 それも衆参どちらにも課されています。 しかし、米国は定足数(過半数)の3分の2で足ります。 だから総議員の3分の1以上が賛成すれば、米国では発議が可能です。 ドイツも、両院の定足数の3分の2の賛成で済みますし、日本のように国民投票まで要求していません。 96条の見直しに 「クーデターだ」 「裏口入学だ」 などといった批判もありました。 しかし、本当にそうでしょうか。 憲法改正を入試に例えるなら、国会の発議は1次試験、そして国民投票が本番の2次試験ということになります。 ところがこの入試では、いつも1次試験で門前払いとなる。 全員不合格となって、誰一人2次試験に進めません。 果たして、これがまともな入試と言えるでしょうか。 彼らはこれだけ綻びが目立つ現行憲法を未来永劫、一切、変えてはならないと本気で考えているのでしょうか。 ■GHQの課した条件 憲法改正に厳格過ぎる条件を課したのは日本の弱体化を企図したGHQ(連合国軍総司令部)でした。 その当事者が 「簡単に変えられないようにした」 と証言しているのです。 改正に反対の人たちは、このことをどう考えるのでしょうか。 96条は 「改憲条項」 と呼ばれますが、実際は憲法改正を阻止するために利用されてきました。 つまり 「改憲阻止条項」 と化してしまったわけです。 本来、憲法は国民のためにあり、主権者国民の意思で憲法を改正することができないはずがありません。 ところが、国民の6割前後が憲法改正に賛成し、衆議院で3分の2以上の国会議員が賛成しても、参議院の僅か3分の1つまり81人(2014年現在83人)が反対したら、改憲の発議さえできないのです。 この壁を破るためにも、明日の選挙はとても大事です。 第37講 96条改正は正当かつ必要 池田実先生 2014.3.15 09:07 産経新聞 憲法は、国会と国民に改正の権限を授けています。 その96条について考えてみましょう 第36講で、憲法改正の国民投票が国民の直接的政治参加の貴重な機会である旨を述べました。 それが実現しない原因の1つに、厳しすぎる改正手続き(憲法96条)があることも、第3講に言及されています。 ところが昨年、自民党の改憲案が憲法改正手続き要件の緩和を提案していることに対して批判の声が上がりました。 ある憲法学者は、憲法改正手続きをサッカーのルールに、国会議員をサッカー選手になぞらえ、96条の改正は選手自身がルールを変更するようなもので許されないと論じています。 しかし、そのような主張は正しいとは言えません。 ■国会と国民に改正権限 第1講で、憲法には、国家権力を制限する 「制限規範」 としての側面と、国家機関に権限を授ける 「授権規範」 としての側面があり、前者の一面ばかりを強調する 「立憲主義」 理解は誤りであることを学びました。 改正手続きを定めた条文もそうです。 憲法は、96条の手続きを経ない改正を禁止する(=制限規範)と同時に、その手続きを経ることを条件に、国会と国民に改正の権限を授けている(=授権規範)のです。 (1)国会各議院の総議員の3分の2による発議 (2)国民投票における過半数の賛成−という、96条に定める条件は、サッカーでいえば、ゲームのルールを変更する際の手続きです。 憲法は、選手である国会議員にルール変更の提案権を認め、最終的な判断を主権者国民に委ねています。 外国の憲法には、国民主権や共和制など、特定の基本原理の改正を禁止する条文をもつものがあります。 極僅かですが、改正手続き規定の改正を禁じる憲法も、歴史上、存在しました。 その場合には、禁止規定に反する改正は、法的に許されない行為となります。 しかし、日本国憲法にはそのような文言はないのですから、96条の手続きを踏む限り、96条自体も含め、憲法のどの文言も合法的に改正できると考えるべきです。 憲法規定に従って行われる改正は、立憲主義の否定や革命・クーデターではあり得ません。 ■高過ぎるハードル ただし、政治的には、どんな改正もOKというわけにはいかないでしょう。 憲法前文は、代表民主制という 「人類普遍の原理」 に反する憲法を 「排除する」 と言っているので、民主主義や国民主権を否定するような改正は許されない、と考えることもできます。 その観点からみても、国会発議の要件を各議院の総議員の過半数とする自民党案は、法律の制定改廃の場合(出席議員の過半数)よりも厳しい多数決ルールを維持しつつ、国民投票の機会を広げて、むしろ国民主権の強化に役立つものと言えます。 改憲のハードルが適正かどうかは、3分の2や過半数などの数字の単純比較ではなく、実際の改正頻度で判断する必要があります。 66年間無改正の事実こそ、96条のハードルが日本にとって高過ぎる証拠です。 議論すべきは、ハードルを下げるべきかどうかではなく、どの程度下げるのがこの国にとって最適な匙加減であるかです。 2013.8.24 08:26 【中高生のための国民の憲法講座】 第8講 現憲法は「メードインUSA」 西修先生 http://www.sankei.com/life/news/130824/lif1308240024-n1.html 日本国憲法は、どのようにして作られたのでしょうか。 ここで1つ1つの出来事を述べる余裕はありませんが、日本国憲法の運命を決定づけた日、それは昭和21(1946)年2月13日のことです。 ◆共産主義国になるのか! この日、外務大臣官邸に連合国軍総司令部民政局長・ホイットニー准将ら4人が『日本国憲法』という題の付いた英文の文書を携えてきました。 彼らを迎えたのは、吉田茂・外務大臣と松本烝治(じょうじ)・国務大臣です。 ホイットニーがまず口を開きました。 「松本大臣、あなたの烝治という名前は、初代大統領、ジョージ・ワシントンにちなんだそうですね」 「はい、父がワシントン大統領を尊敬していましたので」 打ち解けた雰囲気は、そこまででした。 ホイットニーが言葉を継ぎました。 「ところで、あなたがたが先日、提出された憲法改正案は、自由と民主主義の文書として、受け入れることのできないものです」 「連合国軍最高司令官、マッカーサー元帥は、日本の事情が必要としている諸原理を実現する文書として、この草案をあなた方に渡すよう、私に命じました」 2人の大臣がびっくり仰天したことは、言うまでもありません。 まさか、総司令部で日本の憲法草案が作成されていたとは…。 しかも、前文が付され、11章92カ条からなる完全に憲法典の体裁が整えられています。 内容を見て、更に驚きました。 第1条に、天皇はシンボルと書いてある。 「シンボルって何だ?」。 第2章のタイトルは 「戦争放棄」 になっている。 もう少し見ていくと、第28条に、土地は国有と定められている。 「日本は共産主義国家になるのか?」。 2人は、ただ呆然とするだけでした。 ◆日本弱体化の狙い しかし、ここで勝負がつきました。 なぜなら、この時のマッカーサーの命令は、絶対だったからです。 マッカーサーが 「受け入れることのできないもの」 を進めることはできません。 この昭和21(1946)年2月13日以降、 「総司令部案」 を如何に日本風に“脚色”するかが焦点となり、総司令部との間でその攻防戦が繰り広げられたのです。 日本側の要求が通ったものもありました。 例えば、 「総司令部案」 では一院制でしたが、日本側の要求によって、二院制に改まりました。 また土地の国有化(“赤い規定”と呼ばれていた)は、削除されました。 これらは総司令部にとっては、 「織り込み済み」 で、どうしても推し進めなければならないと考えていたのは、天皇の権能縮小と戦争放棄の規定です。 というのは、 「日本が再び、米国と世界の平和に対する脅威とならないこと」 が占領政策の基本にあったからです。 こうして、日本国憲法は、米国の占領政策の延長線上で作成されたのです。 施行から既に66年を経た今、日本人自身の目と頭と手で作り直そうというのは、当然のことです。 2013.8.31 08:28 【中高生のための国民の憲法講座】 第9講 極東委員会という「屋上屋」 西修先生 http://www.sankei.com/life/news/130831/lif1308310027-n1.html 日本国憲法の成立に際し、連合国軍総司令部(GHQ)の他に強く関与した機関として、極東委員会があります。 極東委員会は、日本の占領管理について連合国の最高の政策決定機関であり、昭和21(1946)年2月26日に発足してからは、GHQもその決定に従わなければなりませんでした。 ◆GHQのお目付け役 日本国憲法の作成に関しても、GHQを通じてかならず極東委員会の同意を得ることが必要とされていました。 委員会(米、英、仏、ソ連、中国など11カ国=後に13カ国=で構成)はワシントンに置かれ、その出先機関として連合国対日理事会(米、ソ連、中国、英連邦代表)が東京に設けられました。 委員会の中には、ソ連やオーストラリアなど、天皇制の存続に反対の態度を取っている国々がありました。 天皇を象徴として残そうという意思をもっていた連合国軍最高司令官・マッカーサー元帥が、総司令部内で日本国憲法草案(総司令部案)の作成を急がせた大きな理由がここにあります。 委員会が動き出す前に、既成事実を作ろうとして、昭和21(1946)年2月13日に総司令部案を日本側に提示したのです。 極東委員会は、総司令部が主導して日本国憲法が制定されて行くのを快く思っていませんでした。 マッカーサーに対して、説明のため部下の派遣を求めましたが、マッカーサーはこの要請を断りました。 マッカーサーは、総司令部案を基にして帝国議会で進められている審議を妨げられたくないと思ったのです。 何やかやと干渉してくる極東委員会と連合国対日理事会を毛嫌いしていました。 マッカーサーの『回想録』に、次のような記述があります。 「極東委員会は単なる討論会の域をほとんど出ず、また連合国対日理事会が行ったことは、ただ邪魔をすることと、悪口を撒き散らすことだった」 ◆極東委員会による産物 こうして、極東委員会は、全過程を通じてなかなか主導権を握ることが出来ませんでしたが、審議が大詰めを迎えた貴族院の段階で、自分たちの主張を通すのに成功しました。 それは第9条と深い関わりのある文民条項(第66条2項)の導入ですが、そのことについては、後日、お話いたします。 このように、日本国憲法の制定について、GHQと極東委員会の同意が必ず必要とされていたこと、しかもその間で主導権争いが演じられていたことは、拭い去ることのできない事実です。 外部勢力の干渉の下で生まれた日本国憲法は、やはり異常と言わざるを得ません。 日本国憲法をどう改正すべきか、ということについて、詳しく勉強したい方は新刊『憲法改正の論点』(文春新書)をお読みいただければと思います。各国憲法との比較、日本国憲法の成立過程などの話も満載です。 2013.9.7 13:10 【中高生のための国民の憲法講座】 第10講 現行憲法作成者それぞれの言い分 西修先生 http://www.sankei.com/politics/news/130907/plt1309070013-n1.html 連合国軍総司令部(GHQ)民政局で日本国憲法の原案を作成した人たちは、どんな人たちだったのでしょうか。 一般にやや誤解があるようです。 その1つは、素人の軍人たちによって作られたというものです。 確かに参画した25人の多くは軍人でしたが、いわゆる叩き上げの軍人は少数でした。 既に人類学や政治学の博士号を取得していたり、ハーバード大ロースクール修了者などトップレベルの経歴を持つ人たちが大半でした。 ◆日本に通じていない人 その意味で、西欧的な民主主義観を十分に体得していました。 ただ憲法の専門家は1人もおらず、日本の事情に通じていた人たちもほとんどいませんでした。 私は、1984年から1985年にかけて、民政局で日本国憲法の原案を作成した8人にインタビューしました。 その時の何人かの声をお伝えしましょう。 ・チャールズ・ケーディス氏 (民政局次長で原案取りまとめの中心人物、当時40歳、陸軍大佐、ハーバード大ロースクール修了) 「大変挑戦的であり、とても困難な作業になると思いました」 「というのは、9日間で仕上げなければならず、その時、私たちの手元には役に立ちそうな資料が非常に乏しかったからです」 「日本国憲法が1度も改正されていないことは、昨年、初めて知りました」 ・オズボーン・ハウゲ氏 (32歳、海軍中尉、セント・オラフ大卒、「国会」の章担当) 「自分には、荷が重過ぎて、その任に堪えることが出来るか不安でした」 「私は、日本国憲法は暫定的な性格のものと思っていました」 ◆作成者「正当性」に疑義 ・ミルトン・エスマン氏 (27歳、陸軍中尉、プリンストン大大学院で政治学博士取得、「内閣」の章担当) 「私は不幸なことだと思いました」 「何故ならば、外国人によって起草された憲法は、正当性を持ち得ないと感じたからです」 ・リチャード・プール氏 (26歳、ハーバーフォード大卒、「天皇」の章担当) 「私たちは、天皇に権限のある地位ではなく、意義のある地位を与えるべきだと考えました」 ・ベアテ・シロタ女史 (22歳、5歳から10年間滞日、ミルズ大卒、「人権」の章担当) 「私は、自分の滞日経験から、女性の地位を高めようと思いました」 「また家族は人類社会の基礎であるという条項を起案しました」 ・ジョージ・ネルスン氏 (ロックフェラー財団研究員、陸軍中尉) 「私は、英国の著名な政治学者の著書にヒントを得て、天皇に『象徴』の語を充てたとはっきり覚えています」 インタビューを通じて私が強く印象に残ったのは、彼らは与えられた任務を全うすべく尽力したということです。 そして非常に驚いたのは、ほぼ全員が日本国憲法は改正されているとばかり思っていたということです。 自分たちの作った憲法案は、あくまで 「暫定的」 だと認識していたのです。
[18初期非表示理由]:担当:スレ違いの長文多数のため全部処理
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