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ああ、岸田外交ひとり負け…“対中包囲網”仲間の豪州と米国が中国との貿易関係改善に注力
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/money/331659
2023/11/07 日刊ゲンダイ
中豪は関係改善加速(アルバニージー豪首相を歓迎する中国の習近平国家主席) (C)ロイター/AAP Image
先週末の3連休を使ってフィリピン、マレーシアへ外遊した岸田首相。安全保障分野の「対中包囲網」に両国を引き込もうというのが主目的で、フィリピンに対しては、今年4月に創設した同志国を支援する「OSA(政府安全保障能力強化支援)」を初適用して、沿岸監視用レーダーの供与を決めた。
だが、そんな岸田外交を尻目に、「クアッド」の枠組みで日本と「対中包囲網」を形成しているはずの豪州と米国は、週末、中国との貿易関係改善に力を注いでいた。
5日から上海で開幕した「中国国際輸入博覧会」は、外国企業が製品や技術を展示する見本市で、154の国と地域から750社以上が参加している。今年で6回目だ。この開幕式に、7年ぶりの訪中という豪州のアルバニージー首相が出席。演説で「両国関係は成熟しており、両国経済の補完的な性質が活力になっている」との認識を表明したのだ。アルバニージーは翌6日、習近平国家主席と会談した。
米国も今年は同博覧会に、連邦政府レベルで初出展。以前は企業や業界団体レベルの参加だったが、今回は農務省を中心に高官クラスを代表団として派遣した。
日本からはパナソニックなどの大手企業の他、中堅・中小の150社が参加しているが、ジェトロ(日本貿易振興機構)の取りまとめによるものだ。
岸田外交は自民内の“反中”保守派に配慮するだけ
岸田首相はジェトロお任せ(開幕した「中国国際輸入博覧会」)/(C)共同通信社
安全保障分野で睨み合っていても、牛肉や小麦などの農産物を輸出したい豪州や米国にとって、世界最大の市場である中国は無視できない存在だということだ。
インフィニティ・チーフエコノミストの田代秀敏氏が言う。
「『経済、経済、経済』とお題目をむなしく唱える暇があるのなら、岸田首相は上海に飛んでアルバニージー豪州首相を差し置き開幕式で演説するべきでした。宏池会を創立した池田勇人は外遊先で『トランジスタ・セールスマン』と揶揄されるほど日本製品の売り込みに必死に取り組みました。高度成長はそうした努力の帰結でした」
日本の外交筋は「右手(経済)で和解の握手をしながら、左手(安全保障)では互いに拳をふりかざすようなものだ」と豪州を皮肉ったが、どこも国益を考えてシタタカな外交を行っている。
米中は今月中旬の首脳会談も控える。自民党内の“反中”保守派に配慮するだけの岸田外交はひとり負けだ。
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