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※紙面抜粋
※2023年11月7日 日刊ゲンダイ2面
※文字起こし
これだけ評価されない国民負担の軽減策(岸田首相)/(C)日刊ゲンダイ
2012年末に自民党が政権復帰して以来、最低を記録──。このフレーズが定着しつつある。
岸田内閣の支持率下落が止まらない。共同通信社が3〜5日に実施した全国電話世論調査によると、内閣支持率は前回調査(10月14、15日実施)から4.0ポイント下落し、28.3%。自民党政権の内閣支持率が30%を割り込むのは、実に09年の麻生政権末期以来だ。
JNN(TBS系)の調査(4、5日実施)は、もっとヒドい。内閣支持率は29.1%と、前回(9月30日、10月1日実施)からナント、10.5ポイントも下落。下げ幅は過去最大となり、こちらも12年の政権復帰以来、最も低い支持率である。
不支持率は、共同調査が前回から4.2ポイント上がり56.7%で、JNN調査は10.6ポイントも跳ね上がり、68.4%。いずれも過去最高を更新した。
岸田首相は先月26日の政府与党政策懇談会で、所得税と住民税の定額減税を表明。その直後の日本経済新聞社の調査(10月27〜29日実施)でも、支持率は33%と9月の前回調査から9ポイント減と、大きくダウンしたばかり。先週、岸田政権は1人当たり計4万円の定額減税や低所得者世帯への7万円給付を盛り込んだ経済対策をまとめたが、その週末の調査でも支持率はいっこうに上昇せず、むしろ減税が具体化するたび、下落に拍車がかかっている。
それもそのはず。岸田の「減税詐欺」の手の内を、とうに国民は見透かしているからだ。共同の調査だと、経済対策について「評価しない」が62.5%、理由は「今後、増税が予定されているから」が40.4%でトップ。「政権の人気取りだから」も19.3%に上った。
誠実そうな顔がアダとなる皮肉
岸田の減税策には、与野党問わず「政権の増税イメージ払拭」「選挙目当てのバラマキ」などと疑問視する声が噴出。これだけ評価されない国民負担の軽減策は珍しい。
大体、国民不在で防衛費の大幅増税の方針を決め、少子化対策に「次元の異なる」予算を割くと宣言したのは岸田だ。染み付いた「増税」イメージにより、支持率がみるみる下落すると唐突に減税を表明し、散々無視してきた国民の歓心を買おうとする浅ましさ。岸田本人は勝負に出たつもりでも、おためごかしの減税策はミエミエだ。
「増税クソメガネ」なる皮肉なあだ名が気になり過ぎて、あっちへフラフラ、こっちへフラフラ。自ら国民の猛反発を招いているのだから、目もあてられない。明大教授の井田正道氏(計量政治学)はこう言う。
「自民党の政権復帰以降、最低の支持率は、あけすけな人気取り策に対する国民の不快感の表れです。所得減税を掲げても扶養家族まで対象とし、子どもの数に応じて減税額が大きくなるなど、納税者に等しく恩恵が行き渡るわけではない。不公平な制度設計はムチャクチャで、党内でロクに検討せずに出してきた生煮え策。ひたすら増税イメージを払拭したい岸田首相の焦燥感がヒシヒシと伝わり、その場しのぎに国民はドン引き。墓穴を掘っている印象です。私たちは過去2度にわたり岸田首相のイメージ調査を実施。当時は菅前首相や安倍元首相よりも『誠実そう』との印象が高く出ました。いったん国民を裏切ると、誠実さを期待された分だけ、負う傷は前任者たち以上に深くなるのかもしれません」
今年9月、麻生副総裁は岸田をこう評したものだ。
「なんとなく、極めて誠実そうに見える顔。俺とか菅とか、そういう売られたケンカは必ず買いますというタイプの人間ではなく、ある種の誠実そうな紳士的そうに見える、あの顔。リベラルそうに見えるあの顔の方が世の中に受けるんじゃないの」
まさか、その顔がアダになるとは皮肉である。
まだ「あの顔」の値打ちに期待する愚かな面々
各社の世論調査が出そろってハッキリしたのは、何をやっても国民はソッポ。いくら金をばらまいたって、もはや「岸田文雄」という人間そのものを信用していないということだ。
しょせん、岸田の減税策は国民の暮らしを守るためではなく、あくまで自らの地位を守るため。「減税は国民にとってありがたいことなんだ」と、とことん世論をナメ切り、支持率回復をバネに衆院の「解散カード」をチラつかせれば政権運営の主導権をガッチリ握れる──。減税は物価高対策の目玉だったはずが、いつの間にか、岸田は「(物価が下がり続ける)デフレからの脱却」と強調。目的すらフラフラしてきたのが何よりの証拠で、岸田はそんな甘すぎる期待を抱いていたのだ。
実際、岸田が「税収増を国民に還元する」という方針を示した9月下旬から10月初めにかけて、政界には「近く首相が衆院解散・総選挙に踏み切る」との臆測が駆け巡った。解散風を吹かせて政権運営を乗り切るのが、岸田の常套手段。昨年末ごろから解散風は吹き続け、風速が最も強まったのは、今年6月の通常国会の最終盤だった。
岸田は野党を国会に集中させないよう、岸田派の議員らとともに解散の可能性を何度もにおわせた。風を背に「10増10減」の区割り変更で困難が予想された衆院小選挙区の候補者調整も一気に片づけ、党内の不満の芽を摘んだのである。
この成功体験に味を占め、岸田は「解散カードを使わずに残すことができた秋も冬も来年だってまた使える」と自信マンマンだったらしいが、そんな権力欲に支配されたスケベ心を、とうに国民はお見通し。ロコツな人気取りが災いし、切り札だったはずの所得減税も空振りだ。
前出の井田正道氏が「切り札を失って、支持率を上向かせる材料は皆無に等しい」と指摘する通り、政権復帰後、最低支持率の岸田が「選挙の顔」になれるわけがない。
マトモな民主主義国なら、あり得ない事態
「岸田首相はことあるごとに『解散権』を振りかざしていますが、そもそも日本国憲法に『解散権』なんていう規定はない。解釈が独り歩きしているだけで、衆院解散に関する自由裁量権は明文化されていないのです。だからこそ、過去の自民党政権は衆院解散にあたり、それなりの『節度』を保ってきましたが、ここまで『解散権』をもてあそぶ首相は初めて。異常事態です」(立正大名誉教授・金子勝氏=憲法)
あまりの不人気ぶりに、さすがの岸田も今後は解散カードを封印せざるを得ないだろう。来秋の自民党総裁選での再選戦略も早晩、見直しを迫られる。総裁選までに衆院を解散して総選挙に勝利し、その功績をもって総裁選を無風で乗り切り、長期政権の基盤を築く。そんな理想のシナリオは音を立てて崩れ去ったのだ。
岸田に残された道は、ひたすら選挙から逃げて政権の座に居座るのみ。もはや解散風を吹かせる力を失っているのに、なぜか今の自民党内に「岸田おろし」の気配はない。いくら党内に「ポスト岸田」の有力候補がいないとはいえ、不思議なことである。
前出の金子勝氏はこう言う。
「恐らく自民党の重鎮たちは、いまだに岸田首相の出身派閥・宏池会の『ハト派』のイメージを利用したいのでしょう。軍拡路線を進める上で、まだ『あの顔』に値打ちがあると踏んでいる。野党の支持率も伸びておらず、いざ選挙になっても過半数を割りっこないと高をくくっているのです。しかし、4万円の減税詐欺で騙そうとする卑しさに『もう、あの顔は見たくない』と国民が辟易する中、これだけ民意とかけ離れた政治は、マトモな民主国なら絶対に許されません」
こんな首相が居座るなんて前代未聞。あの顔に期待する愚かさを許してはダメだ。この国の民主主義が機能していない証拠にしては、絶対にいけないのである。
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