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※2023年10月30日 日刊ゲンダイ1面 紙面クリック拡大
※紙面抜粋
※2023年10月30日 日刊ゲンダイ2面
※文字起こし
衆院予算委員会でも厳しく追及する立憲民主党の長妻昭政調会長(左)。癒着だらけの自民党はお茶を濁すばかりで…(萩生田光一政調会長=右)/(C)日刊ゲンダイ
「自民党の中でも萩生田政調会長は最も統一教会(現・世界平和統一家庭連合)と関係の深い議員のひとりだというふうに思ってますから」
「こういう公的なところで名指しでですね、関係の深さを一方的にレッテル貼りされるのは非常に心外です」
「深くないんですか」
「党としてはですね、関係については我々きっちり説明してきた」
「どういう関係があったんですか」
「私はだから、(関連団体の世界平和)女性連合のみなさんとご縁があったことは、明確にお知らせしている通りでありまして」
「選挙におけるボランティア支援は」
「女性連合のみなさんにご支援いただいたことは申し上げています」
「統一教会主催の会合への出席もあるじゃないですか」
「だから、それをもって最も深い関係だというレッテル貼りされるのは非常に迷惑」
統一教会への対応をめぐり、29日のNHK「日曜討論」で立憲民主党の長妻政調会長と自民党の萩生田政調会長が激しくやり合った。醜態をさらしたのは、言うまでもなく萩生田だ。
与野党7党の政策責任者が顔をそろえ、臨時国会の焦点となっている政府の総合経済対策、「増税メガネ」を払拭したい岸田首相が打ち出した所得税減税と給付、防衛増税や少子化対策の財源をめぐる議論を経て、最後のテーマは統一教会の財産を保全する法整備だった。文科省が東京地裁に解散命令を請求したことで、教団が本拠地の韓国などへの財産隠しを加速させ、被害者救済の原資が失われる懸念が強まっているためだ。長妻が「最も統一教会と関係の深い議員」と面と向かって踏み込むにあたり、もちろん前段があった。
次第に青筋立てて逆ギレ
すでに立憲は特別措置法案を、日本維新の会は宗教法人法改正案を提出。立憲案は2年の限時法、維新案は恒久法と違いはあるが、審理中は財産を保全するという大筋は同じ。野党が一刻も早い与野党協議の開始を求めたのに対し、萩生田は「与党として実効的な被害者救済の推進に関するプロジェクトチームを組織して、会合を重ねているところであります」などと、のらりくらり。外為法の規制強化や日本司法支援センター(法テラス)の相談体制拡充が有効だと強調。「11月中旬をメドに中間提言を取りまとめていきたいと思います」とゴマカした。
それで、長妻が「萩生田政調会長の話を聞いてガッカリいたしました。国外に資金が流出する懸念もありますが、国内の別組織に(移し)替えることも懸念されている。やはり、腰が引けていると言わざるを得ません」と畳みかけ、ズバリ言い当てられた萩生田が青筋を立てて逆ギレしたというわけだ。
反日カルト集団と半世紀以上も一体化してきた自民にあって、最もベッタリなのが最大派閥の安倍派。それが仇となって横死した安倍元首相の最側近を気取り、浪人中は地元の東京・八王子にある教会に足しげく通っていたのが萩生田だ。そうした過去を清算することなく、領袖の座を狙う「5人衆」に数えられる厚顔男が生出演したのだから、案の定のバトル。上から下まで癒着だらけの自民が「解散命令請求」のカードを切ってお茶を濁そうとしても、国民はその欺瞞をお見通しである。
仏敵に助けを出す公明党の同床異夢
宗教法人にとって、宗教法人法は憲法も同然だ。創価学会が支持母体の公明党は、牙城の八王子で統一教会とねんごろだった萩生田に苦虫をかみ潰しているが、この時ばかりは高木政調会長も積極的に助け舟。長妻が立憲案について「法制局のチェックを受けていますので、速やかにやっていただきたい」と推すと、「財産保全をやれば被害者がすべて救済されるか。そういう話じゃない。衆院法制局はそういうふうに言っても、内閣法制局では憲法に抵触するのではないかという見方がある」とケチをつけた。同床異夢。財産保全議論が展開して、宗教法人法改正につながったら厄介だから芽を潰したい魂胆がミエミエだ。
政治ジャーナリストの角谷浩一氏はこう言う。
「萩生田氏は統一教会との関係を説明してきたと繰り返していますが、自民党のゆるい『点検』に回答したことや、一方的なコメントを出したことを指しているのか。この問題をめぐって一度たりとも会見したことはないし、先月の内閣改造・党役員人事で留任しましたが、政調会長会見はまるきり開かれない。火ダルマになった旧ジャニーズ事務所の対応よりお粗末です。同じく安倍派の杉田水脈衆院議員もそう。民族差別発言で札幌と大阪の法務局から人権侵犯を認定され、取材には応じないのに、ユーチューブに〈差別がなくなっては困る人たちと戦ってきた。私は差別をしていない〉と一方的な主張を投稿した。政治とカネの問題で『ドリル優子』とあだ名される小渕優子選対委員長がよほどマトモに見えてきます。ベソをかき、ヘロヘロになっても質問には答える。国民はこういう姿勢を案外よく見ているものです」
萩生田は自民の「点検」の7項目のうち、4項目に該当。八王子市議時代から教団が選挙を支援していたとする信者らの証言は複数に上り、昨年の参院選では安倍派丸抱えだった生稲晃子候補を教会へアテンド。統一教会問題を長年追及してきたジャーナリストの鈴木エイト氏が2019年の参院選で取材した際、教団の政治団体「国際勝共連合」について聞くと、「地元では勝共連合そのものはそんなに活動していないんだけど」と言いながら女性連合に言及し、「最近はもう壺も売っていないし」と軽口を叩いていたという。壺は統一教会が霊感商法で高値で売りつけていたアイテムだ。語るに落ちる。こうした悪事がどんどん表沙汰になってブチ切れた萩生田は、番記者らに「あの鈴木某は許さない」とスゴんでいたという。
表と裏がある「増税メガネ」
ドス黒いとしか形容しようのない某政調会長をNHKの生放送に出演させる自民の神経は、一体どうなっているのか。本をただせば岸田の国民愚弄人事に行き着く。「萩生田政調会長は先月の人事で官房長官を要望したものの、統一教会問題を抱えたままでは国会対応はできないと判断され、続投で決着した」(自民関係者)というから、萩生田の面の皮の厚さといったらない。岸田の内向き大ざっぱにもアングリである。そうして初入閣組11人のうち、統一教会と関係のある議員が盛山文科相をはじめ、5人もいることが判明。先週の衆院予算委員会で岸田は「旧統一教会との関係を絶つ方針を確認しており、不当な影響を受けるということは金輪際ないと確信をしている」と力んでいたが、そんな与太を信じるものか。
それにしても、政権浮揚を期待したはずの内閣改造・党役員人事でこんな人事を強行し、テレビに出演させる岸田自民の非常識には国民はもう唖然である。立正大名誉教授の金子勝氏(憲法)はこう言った。
「岸田首相のやることには必ず表と裏がある。萩生田氏を政調会長に留任させ、統一教会を完全に切り捨てることはないと意思表示をしてから解散命令請求に踏み込んだ。教団と決別する覚悟があれば萩生田氏を要職から外すのが筋ですし、銃撃事件から1年超が経過したのですから、身体検査を徹底して関係議員を入閣させるはずがない。足元の物価対策に有効なスピーディーな給付ではなく、効果が薄い所得税減税にこだわるのは富裕層にプラスになるから。つまり支持層の恩恵が第一で、庶民は適当に扱っておけばいいというのが本音なのです。何をやっても内閣支持率が上向かないのは、政策を打ち出す動機が延命にあることを国民からすっかり見透かされているからでしょう。国民の支持が得られない首相がすがりつくのが自民党と米国。改憲に向けたエンジンを吹かし、米国隷従を強め、世論からどんどん乖離していく。岸田首相の頭の中には国民はいない。もともとなのか、次第にそうなったのか、すっぽ抜けてしまっている」
30日、衆院議員は任期4年の折り返し点を迎える。朝三暮四の減税でイイ気になっている「増税メガネ」を退場させなければ庶民は干上がる。解散・総選挙が待ち遠しい。
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