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岸田首相に残された起死回生はヤケクソ解散…必勝2補選で1敗、“選挙の顔”になれず土俵際
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/330956
2023/10/23 日刊ゲンダイ ※後段文字起こし
総裁派閥の威信懸けて現地入りしたのに負けた(応援演説をする岸田首相=高知市)/(C)共同通信社
22日に投開票された衆参2補選は、岸田政権の今後を占う試金石だった。もともとは2つとも自民党の議席で、9月に内閣改造・自民党役員人事を行ってから初めての国政選挙。岸田首相にとっては勝って当たり前で、絶対に落とせない選挙だったのだ。
ところが、まさかの大苦戦に与党内では「やはり岸田首相では戦えない」と動揺が広がっている。
悲惨だったのが、与野党一騎打ちの構図になった参院徳島・高知選挙区だ。投票が締め切られた午後8時に相手の野党系候補に“当確”が打たれる大惨敗。14日には岸田首相が選挙区に応援に入ってテコ入れしたが、まったく効果がなかった。しかも、2016年に合区が導入されてから自民が3連勝してきた選挙区を初めて明け渡すことになったのだから痛手だ。
衆院長崎4区も想定外の結果になった。北村誠吾元地方創生相の死去に伴う「弔い合戦」であり、当初は自民新人の圧勝ムードだったが、あれよあれよで差を詰められ、大接戦にもつれ込んだ。
「弔い合戦でなければ大敗していたでしょう。補選の出口調査では、無党派層の大半が野党系に流れている。岸田自民に有権者の厳しい目が向けられていることの表れです。選挙目当てで唐突に減税を言い出したことも不信を買った。内閣支持率は発足以来最低を記録し、この補選で岸田首相では選挙の顔にならないことがハッキリした。『解散は打てない』との見方が強まっていますが、この先も上がり目はない。岸田首相が最重視しているのが総裁選での再選ですが、このままでは、来年9月の総裁任期を待たずに引きずり降ろされる可能性もあります」(政治評論家・野上忠興氏)
起死回生の一手は解散しかない
参院徳島・高知選挙区の補欠選挙で当選を決め万歳をする、野党支援の広田一氏(C)共同通信社
解散を打てないまま来秋になれば、衆院議員の残り任期は1年となって、誰もが1年以内に必ず行われる総選挙を意識する。翌夏には参院選もある。そういうタイミングで岸田首相が再選される見込みはほとんどない。
そうなると浮上してくるのが、早期のヤケクソ解散に打って出る可能性だという。内閣支持率は低迷し、補選直前の減税アピールも、旧統一教会の解散命令請求も不発で補選は大苦戦。八方ふさがりの岸田首相にとって、残る起死回生の一手は解散しかないからだ。
「今回の補選はいずれも与野党一騎打ちの構図だから苦戦したが、総選挙になれば野党乱立で政権批判票が分散する。自民党も多少は議席を減らすかもしれないが、過半数は維持できるでしょう。勝った総理を引きずり降ろすことはできませんから、岸田さんは息を吹き返す。追い込まれる前に解散を打てば、総裁選の再選も見えてきます」(自民党閣僚経験者)
23日は岸田首相の所信表明演説があり、いよいよ国会論戦が始まるが、この臨時国会に政府が提出する予定の法案はわずか10本と昨年の半分以下だ。与野党の対決法案もなく、いつでも解散を打てる環境にしていることは間違いない。年内解散を警戒する声が与野党内にくすぶっている。
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