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※2023年10月19日 日刊ゲンダイ1面 紙面クリック拡大
※紙面抜粋
※2023年10月19日 日刊ゲンダイ2面
※文字起こし
見え透いたアピール(岸田首相)/(C)日刊ゲンダイ
個人向けの減税を、やるのか、やらないのか──。「増税メガネ」の「減税アピール」をめぐる迷走は、見るに堪えない惨状だ。
岸田首相が経済対策の骨子を発表した先月25日に「税収増を国民に適切に還元する」とブチ上げてからのこの1カ月弱、与党内は減税策“合戦”に明け暮れた。「減税措置などによってダイレクトに国民に還元」(自民・茂木幹事長)、「減税は有力な選択肢」(公明・石井幹事長)、「法人税と所得税も当然、検討対象になる」(自民・世耕参院幹事長)などと加速し、自民の中堅・若手議員は「消費税減税」を求める提言までまとめた。
すると、鈴木財務相が消費税率の引き下げについて「極めて慎重な検討が必要だ」とブレーキ。自民党内で消費税減税はしぼみ、所得税減税が残っていたのだが、17日に自公の政調会長が岸田に手渡した提言では「減税」は盛り込まれなかった。「即効性に欠ける」「財政規律を重視」などが理由で、減税に難色を示す財務省に屈した形だ。ところが、前日16日にメディアに報じられて世間に「減税ナシ」への落胆が広がると一転、所得税減税が息を吹き返す。
岸田は所得税減税の検討を念頭に17日、こう発言して意気込んだ。
「国民を支援するとともに、新しい経済ステージへのチャンスをつかみ取る。この2つを果たすために、大胆な取り組みに踏み込みたい」
物価高の負担軽減に向けた税制措置の具体化を与党の税制調査会に指示する方針で、週明け23日にある臨時国会の所信表明演説で表明するのだという。岸田と会談後の公明党・山口代表も「所得減税は見送っていない。年末の税制調査会でしっかり議論する」と意欲を見せた。
物価高は食品やエネルギーだけじゃない。交通費などのサービス価格を含め、ありとあらゆるものが値上がりし、庶民があえいでいるのに、政治はこんなドタバタ劇をやっている嘆かわしさ。法大名誉教授の五十嵐仁氏(政治学)が言う。
「見え透いたアピールで茶番です。『与党の調整を乗り越えて、首相がイニシアチブを取って減税に踏み込んだ』というシナリオなのでしょう。岸田さんは『増税クソメガネ』という悪名をかなり気にしているようですからね。しかし、今ごろイニシアチブを取ったとしても周回遅れ。物価高に苦しむ国民のことを思えば、夏には対策を打っていていいはずです」
弥縫策を連発させる空洞政権
どうしてこんな茶番が繰り広げられるのか。
結論を言えば、「減税」は世論を振り向かせる“マジックワード”。岸田がこの言葉にこだわるのは、解散戦略も睨んで政権浮揚や支持率回復につなげられると考えているからだ。つまり、政権維持や保身が目的で、国民生活のことなどこれっぽっちも頭にないからなのだ。
前出の五十嵐仁氏が言及した通りで、岸田が「税収増を国民に適切に還元する」と言い出したのは、「メガネベストドレッサー賞」政界部門に輝いた自分が「増税メガネ」と揶揄されるのに耐えられなかったからだろう。「レーシックでもすればいいのか?」と腹を立てていたとも報じられた。要は「減税」はプライド回復のためであり、人気取りのため。支持率対策から始まった話なのだ。
今回、一度消えかけた所得税減税が、再び議論のテーブルに乗せられたのは、先週末に報道各社が調べた岸田内閣の支持率が、揃って過去最低水準に落ち込んだことと無関係ではない。世論をつなぎ留める「減税」の光が消えてしまったら、さらに支持率が下落する、という岸田の焦りだ。
しかし、である。そうした岸田政権の魂胆は、国民に見透かされている。
というのも、岸田政権の本質は財務省に寄りかかった「大増税政権」。10月から導入されたインボイスでは、消費税の納税義務がなかった年商1000万円以下の零細事業者やフリーランスに納税事業者への転換という選択を迫り、わずかの税をむしり取る。自民党総裁選時に打ち出していた「金融所得課税の見直し」には手をつけず、他方で庶民いじめだ。
今年度からの5年間で43兆円へと増額する防衛費も、あらゆる余り金を充当しても足りない分は、法人税、所得税、たばこ税の増税で賄うことが決まっている。
増税が、来年度からなのか、それ以降なのかの違いはあれ、いつかは必ずやってくるのだ。防衛費のために所得税を増税するのに、その一方で所得税減税で「国民に還元」って、岸田がやろうとしていることの意味がわからない。
「骨太の方針」の“目玉”として掲げた「少子化対策」の財源はどうなったのか。これだって、何らかの増税や事実上の増税である社会保険料の負担増が有力とされる。「大増税政権」が「増税メガネ」の汚名返上のために、国民をごまかし、「減税」をもてあそぶのはやめて欲しい。
「たとえ今回、何らかの所得減税が決まったとしても、その減税分は後で丸々増税分となって払わされることになる。朝三暮四ならぬ、『朝二暮五』で、将来の増税分の方が規模も大きくなって、国民の背中にのしかかってくるのです。減税の甘い言葉に騙されてはいけません。岸田首相は『今だけ、ここだけ、自分だけ』の人。当面を乗り切るだけの弥縫策を連発させる中身のない空洞政権です」(五十嵐仁氏=前出)
衆院補選2敗で総辞職の流れ
岸田は所得減税について、与党の税制調査会に具体化を指示するというが、想定されるのは過去に例のある「定額減税」だという。
一律で税額を差し引く手法で、1998年に2兆円規模で実施された。だが、その程度の金額では効果は限定的だったし、対象となる所得をいくらで線引きするのかで不満が出るのは想像に難くない。減税するならやはり、あらゆる人が恩恵を受けられ、逆進性が高い、消費税だろう。
さらに即効性があるのは円安対策だ。輸入物価高に直結している円安を一刻も早くなんとかすべきで、10年続く異次元の金融緩和の修正は待ったなし。円安を放置しているくせに、何が「国民に還元」だ。
欺瞞と舌先三寸の岸田に対する国民の怒りの炎は、日々どんどん燃えさかる。「嫌われメガネ」への「審判」となる衆参2つの補欠選挙は今度の日曜、22日が投開票だ。有権者は手ぐすね引いている。いずれも与野党一騎打ちの構図だが、最終盤に向け、自民党の「0勝2敗」が十分あり得る情勢になっている。
参院徳島・高知は野党系無所属がリードし、「投票箱が閉まった直後のゼロ打ちもある」(地元関係者)。衆院長崎4区は与野党横一線の大接戦だ。岸田は「減税するんだから、負けるはずがない」とのんきな様子らしいが、地元は「不人気首相には、もう来てもらいたくない」と厄介払いだという。
政治評論家の野上忠興氏がこう言う。
「自民が2敗したら、『もう表紙は無理だ』となって、岸田首相は急速に求心力が低下するでしょう。衆参3補選を全敗し、地元の横浜市長選も負けて、退陣に追い込まれた菅前首相の二の舞いになりかねない。衆議院を解散できないまま、どこかの時点で総辞職という流れになるのではないか」
減税騒ぎの醜悪な舞台裏が丸見えなのに、支持率が上がるものか。世論の多数が「早く辞めてほしい」と望む「増税メガネ」は、もっても来年の総裁選までの運命か。
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