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※紙面抜粋
※2023年9月21日 日刊ゲンダイ2面
※文字起こし
外遊は息抜きか(国連で「SDGs」に関する首脳級会合に臨む岸田首相=中央)/(C)共同通信社
20日の東京外国為替市場で円を売る動きが強まり、円相場は1ドル=148円台まで値下がりした。昨年11月以来、10カ月ぶりの安値水準だ。米国の債券市場では長期金利が15年ぶりの水準まで上昇しているのに対し、日本は金融緩和を継続。金利差を狙って円を売り、ドルを買う動きが拡大しているのだ。
米国ではインフレが高止まりし、金融引き締めが長期化する可能性が出てきた。日米の金利差も当面、継続しそうだ。
そうして円安が続く限り、庶民生活を圧迫する物価高は止まらない。原油や天然ガス、小麦など、ただでさえ高騰している輸入物価を円安がさらに押し上げる。
「明日は今日より良くなると誰もが感じられるような国を目指し、経済、社会、外交・安全保障の3つの柱で政策を進めていきたい」
第2次岸田再改造内閣が本格始動した14日、岸田首相は会見でこう強調していたが、実質賃金は16カ月連続でマイナス。さらに物価高がジリジリ進み、明日は今日より悪くなる予感しかない。それでも傍観しているのが岸田だ。
外遊と岸田派研修会の合間の窮屈な日程で内閣改造・党役員人事を急いで行ったと思ったら、経済対策を党役員に丸投げして国連総会に出かけてしまった。いい気なものだ。
「困っている国民を助けようともせず、岸田首相は何がしたいのかまったく分からないトップリーダーです。内閣改造も党内に気を配っただけの内向きな陣容で、目の前の難題に取り組む意思はどこにも感じられません。内政から目を背け、外遊に逃げてしまう。外相を長く務めた岸田首相は、自分では外交が得意だと思っているようですが、外遊先で各国首脳と会談し、それを大メディアに宣伝させるだけでは外交とは呼べません。例えばALPS処理水の海洋放出問題で悪化した中国との関係改善に努めたり、事前に根回しするのが本来の外交でしょう。岸田首相がやっているのは社交か物見遊山の類いです」(法大名誉教授の五十嵐仁氏=政治学)
人権後進国が「人間の尊厳」を訴える白々しさ
ニューヨークで国連総会の一般討論演説を行った岸田は、東京電力福島第1原発のALPS処理水海洋放出には一言も触れなかった。一方で、核軍縮をめぐって海外のシンクタンクに核軍縮専門の部署を設置するため、新たに30億円を拠出することを表明。ロシアによるウクライナ侵攻などを念頭に「人間の尊厳」が守られる世界が重要だと演説し、各国に協調を求めた。
ジャニーズ事務所の性加害問題や大メディアの忖度で日本の人権意識の低さは国際社会から奇異の目で見られている。その最中に、岸田が唐突に「人間の尊厳」を訴えても白々しいだけだし、自国内でもできていないことを他国に求めるのは僭越というものではないか。
物価高で日々の生活にも難儀し、それも自己責任だと政治から突き放され、あまつさえ負担増を求められて絶望するしかない日本国民の「人間の尊厳」をまずは思量してもらいたいものだ。
東京都心では20日、今年88回目の真夏日となり歴代記録を更新。9月も全国的に厳しい猛暑が続いていてエアコン使用は避けられないが、光熱費がどうしても気になってしまう。
9月で終了予定だった電気・ガス料金の「激変緩和対策」は10月以降も延長される方向で、ガソリン価格を抑えるための補助金も年末までの延長が決まっている。だが、いずれも供給企業側への補助金で、石油元売り企業が最高益を叩きだしたり電力会社が黒字を計上したりとイビツなことになっている。家計に直接届く支援策は何も具体化していないのが実情だ。
悪事や悪政に目をつぶる忖度メディアの無責任
国民が物価高にあえいでいる夏の間、岸田は何も対策を打とうとしなかった。大好きな人事のことばかり考えていたのかもしれないが、物価高だけでなく、コロナ感染もまた拡大しているし、マイナンバーカードをめぐる問題も一向に解決されていない。10月からはインボイス制度も始まり混乱は必至。それなのに、秋の臨時国会の召集は早くて10月16日ごろとみられる。
8月に岸田は「さまざまな物価の状況も見ながら、経済対策を9月に考えたい」と言っていた。ところが、国連総会に出発する直前、19日の自民党役員会では「10月中の取りまとめを目指す」と表明。
「足元の物価高に対応するため、国民生活を守る大胆な経済対策を策定する」とかエラソーにぶっていたが、10月中に経済対策をまとめて、そこから補正予算を組めば11月になってしまう。あまりにノンビリし過ぎているのではないか。
「ガソリン価格の高騰で国民生活が圧迫されていても、トリガー条項の凍結解除や二重課税の解消に踏み込もうとはせず、企業への補助金でやり過ごすことしか考えていない。それで補正予算は20兆円規模だとか威勢のいい話が自民党内からは聞こえてきますが、なぜ減税の話は一切出てこないのか。国民の塗炭の苦しみにあまりに鈍感としか言いようがありません。企業に対する巨額のバラマキも、結局は国民に降りかかってくるのです。来年度予算の概算要求総額も過去最高ですが、それとは別枠の少子化対策予算も加わってどこまで上振れするか分からない。もはや増税のためにバラマキ予算を組んでいるようにしか見えません。こういうデタラメを大メディアが批判しないから岸田首相は党内の敵対勢力だけを気にしてヌクヌクとしている。来年の総裁選で再選されるためには党内に目を光らせていればいいと考え、国民からの支持率は不要だと開き直っているのかもしれません」(政治ジャーナリスト・山田厚俊氏)
内閣改造でも支持率はほとんど上がらなかったが、岸田は「一喜一憂するのではなく、先送りできない課題について取り組み結果を出すことによって、国民の期待に応えていく」と言う。支持率は国民の期待を反映する声なのだから、一喜一憂して応えてもらわなければ困るのだ。支持率がどうなっても気にしないというのでは、誰のための政治なのか。
「岸田首相は自分の保身延命のことしか考えていないのでしょう。国民の生命と財産を守ることがトップリーダーの使命だという意識が希薄です。だから米国の尻馬に乗っかって、中国との対立をあおるようなことも平気でする。国と国民を守るためには東アジアの平和と安定が必須なのに、緊張を高めて米国を喜ばせているのです。この国をどうするかというビジョンもないし、深い考えもないから、やすやすと一線を越え、安倍政権でもできなかった防衛費倍増や原発依存回帰もあっさりと決めてしまった。慎重さに欠ける危うい政権なのですが、大メディアは政府発表を垂れ流して広報に徹するばかりだから話になりません。もっとも、そうやってテレビが必死で持ち上げ、失政をゴマかしていても支持率が低迷していることが、いかにダメな政権かということを物語っています」(五十嵐仁氏=前出)
ジャニーズ問題では、第三者委員会の調査報告書が「マスメディアの沈黙」によって事務所の隠蔽体質が強化され、性加害を拡大させたと断罪。それを受けてテレビ局は「報道してこなかったことの責任と反省」などと、もっともらしい弁明をしていたが、本質は何ひとつ変わっていないし、変わろうともしない。
権力者には首をすくめて、悪事にも悪政にも目をつぶり、マトモな批判報道をする気概もない。どこまで行っても権力の共犯なのだ。その結果、焼け野原になったところで自分たちの責任ではないと本気で思っているのだろう。
大メディアがこれでは、権力はやりたい放題になる。無力な庶民は立ち尽くすばかりだ。
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