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※紙面抜粋
※2023年9月13日 日刊ゲンダイ2面
※文字起こし
「ドリル優子」の異名がすっかり定着した小渕優子組織運動本部長が選対委員長に格上げ(C)日刊ゲンダイ
内閣支持率が低迷するなか、岸田文雄首相(自民党総裁)が13日、内閣改造・党役員人事を敢行。人事で刷新感を打ち出し、政権浮揚につなげる狙いといわれていたが、フタを開けてみれば、どこにも「刷新感」はなかった。これでは政権浮揚効果など望むべくもない。
党役員人事で麻生太郎副総裁は留任、茂木敏充幹事長も留任、萩生田光一政調会長も留任、高木毅国対委員長も留任……。唯一抜けた遠藤利明総務会長の後任は森山裕選対委員長で、小渕優子組織運動本部長が選対委員長に格上げという玉突き人事だから、党役員会でひな壇に座るメンメンはこれまでとほぼ一緒。なにしろ、今回の人事の“目玉”とされたのが、「ドリル優子」の異名をとる小渕の処遇だったのだから、まったくお話にならないのだ。
第2次安倍政権の2014年に女性初の経産相に就任した小渕は、直後に政治資金規正法違反が報じられ、2カ月も経たずに閣僚を辞任。東京地検特捜部が後援会事務所などを家宅捜索した際には、会計書類などが保存されたパソコンのハードディスクが電動ドリルで破壊された痕跡が見つかった。
ドリルで証拠隠滅というあまりに斬新で乱暴な手法に国民は吃驚。以来「ドリル優子」の異名がすっかり定着し、表舞台から遠ざかっていた。
もっとも、党内での評判は悪くない。故・青木幹雄元官房長官はじめ、森喜朗元首相や麻生副総裁の覚えもめでたい“ジジ殺し”で、「いつか優子を総理に」が口癖だった青木のお別れ会では、森が「心残りは小渕恵三さんのお嬢さんのことと思う。あなたの夢、希望がかなうように最大限努力する」と弔辞を読んで岸田にプレッシャーをかけた。森は6月に開かれた小渕のパーティーでも、「小渕さんを華やかな舞台にもう一度」と熱望していた。
そうした後押しもあり、今回は重要閣僚での起用が取り沙汰され、党内でも「小渕で女性登用と刷新感を」と期待が高まっていたのだが、結局は選対委員長に落ち着いた。仕事内容はこれまでの組織運動本部長の延長線上で、違いといえばSPがつくようになることくらいだ。森が望んだ「華やかな舞台」とは程遠い。
留任だらけで刷新感なく女性閣僚も数合わせ
「閣僚になれば定例会見や国会質疑で過去の不祥事を追及される。説明責任を果たさず、国民の前から逃げた人を重要閣僚に起用できるわけがありません。本人は、地元に記者を呼んで説明したから説明責任は果たしたと言っているようですが、それで世論は納得しませんよ。とはいえ、岸田首相は頼りにする重鎮の願いをむげにもできないから、苦し紛れに小渕氏を党4役に押し込んだのでしょう。それにしても、今さら小渕氏起用に期待する自民党は、国民感覚とかけ離れているとしか言いようがない。改造内閣では女性閣僚も増えますが、適材適所とは言い難く、自民党の人材払底は深刻です」(法大名誉教授の五十嵐仁氏=政治学)
内閣改造人事では、土屋品子復興相、加藤鮎子こども政策担当相、自見英子地方創生相が初入閣。上川陽子外相が再入閣し、留任の高市早苗経済安保相と合わせて女性閣僚は現在の2人から5人に増え過去最多タイになるが、“数合わせ”の感は否めない。
「女性閣僚を5人に増やして彩りを添えたところで、内閣も根幹は変わっておらず、虫に食われた葉っぱやしおれた葉っぱを取り去って見栄えを良くしようとしただけの改造人事です。もともとの木の形は変わらない。よく見れば、女性閣僚も外相以外は軽量級とされるポストばかりです。女性登用と言っても形だけだし、自民党の女性政治家が育っていないことの表れでしょう」(五十嵐仁氏=前出)
実際、党役員人事と同様に、改造内閣も留任が目立つ。松野博一官房長官、鈴木俊一財務相、西村康稔経産相、高市経済安保相、河野太郎デジタル相、そして公明党の斉藤鉄夫国交相と、重要閣僚はほとんどが留任。「骨格を維持」といわれるが、諸事情で動かせなかったのが実態だ。
今回の人事では、次期総裁選で岸田首相のライバルになり得る茂木幹事長の交代も大きな焦点だったが、留任させることを決めた時点で人事の選択肢が一気に狭まった。その結果、安倍派のいわゆる5人衆は全員が留任で、ポストの入れ替えすらなかった。
初入閣組は、派閥推薦の年功序列、順送り人事をそのま受け入れているように見える。鈴木淳司総務相(安倍派)、小泉龍司法相(二階派)、武見敬三厚労相(麻生派)、松村祥史国家公安委員長(茂木派)などがいい例だ。
5人衆も動かせず派閥推薦を割り振っただけ
総理総裁への野心を隠さない茂木幹事長だけでなく、2年前の総裁選で争った高市経済安保相と河野デジタル相も閣内に封じ込め、安倍派5人衆も留任。それ以外のあいたポストに派閥推薦をはめ込んでいく。そういう人事だから、適材適所とほど遠いものになるのは当然だろう。
「党内の安定が最優先で、内閣支持率を回復させることよりも、来年の総裁選で再選されるために各派閥に配慮して支持してもらうための改造人事に見えます。本来なら、適材適所の布陣で国民の期待と信頼を得ることが眼目のはずなのに、岸田首相は党内の権力構造しか見ておらず、国民の方をまったく向いていない。総理大臣になって長く続けたいだけの人だということがよく分かります」(政治ジャーナリスト・山田厚俊氏)
安倍派4、麻生派4、茂木派3、岸田派+谷垣グループの宏池会系で3、二階派2という閣僚ポストの配分は、21年10月の岸田政権発足当時とまったく変わっていない。岸田派が党内第4派閥でしかないため、常に他派閥の力を頼んだ内向きの人事しかできないのである。
各派閥に配慮し、意向を重視するので思い切った人事ができない。茂木派から再入閣の新藤義孝経済再生相なんてホント意味不明だ。当初は党4役に茂木派から2人(茂木と小渕)も入るから閣内は減らすといわれていたのに、3枠を死守。その1つがなぜ新藤だったのか。茂木派内でも訝る声が上がっている。
それでも岸田は他派閥にモノを言えないから、自派閥の岸田派内で林芳正外相から上川外相に交代させ、サプライズ感を演出するのが精いっぱい。内閣改造で支持率を上げて秋の臨時国会で解散・総選挙に打って出るという観測もあったが、この泥舟内閣で解散なんて冗談にもならない。
「岸田首相の保身だけを考えた国民無視の内閣改造人事ですから、支持率アップは見込めず、解散なんてとても打てないでしょう。首相は人事で党内を掌握し、政策は官僚機構の言うがままにやっていればいいと考えているのかもしれませんが、危なっかしい大臣も何人かいる。これ以上、支持率が下がれば来年の総裁選まで持たないかもしれません」(山田厚俊氏=前出)
過去の森内閣、麻生内閣のように、支持率ジリ貧で“野垂れ死に政権”の二の舞いになる可能性は否定できない。それにしても、森も麻生も小渕優子を寵愛していることは偶然なのか。小渕選対委員長が目玉人事だった岸田改造内閣の船出には不吉な予感しかない。
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