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※紙面抜粋
※2023年9月11日 日刊ゲンダイ
※文字起こし
性加害を認めて謝罪(故・ジャニー喜多川氏の性加害問題について会見する、右からジャニーズ事務所の藤島ジュリー景子現社長、東山紀之新社長)/(C)日刊ゲンダイ
先週末の7日にジャニーズ事務所が会見を開き、故ジャニー喜多川元社長による性加害を認めて謝罪したことで、テレビでもこの問題が大々的に報道されている。
大手企業も続々とジャニーズ事務所タレントのCM起用を見送る方針を表明。企業コンプライアンス精神が発揮されているようにも見える。長年、隠蔽されてきた深刻な人権侵害をはばかりなく糾弾し、被害者救済が少しでも進むのであれば、歓迎すべきことだ。だが一方で、これまでジャニー氏の悪事を知りながら頬かむりし、持ちつ持たれつでやってきた大メディアが、ここぞとばかりに正義や人権を振りかざすのを見ると、どうにも鼻白んでしまうのだ。
ジャニー氏による性加害は、過去にも告発本が出版され、「週刊文春」との裁判では事実認定もされている。文春がこの問題を追及していた2000年当時には、国会の衆院特別委員会で取り上げられたこともある。それなのに、政府も大メディアも見て見ぬふりを続けてきた。週刊誌や夕刊紙がどれだけ報じても黙殺してきたのだ。
今年3月に英BBCがドキュメンタリー番組「J-POPの捕食者 秘められたスキャンダル」でジャニー氏の性加害を報じた当初も大メディアはこの問題を取り上げようとはしなかった。
その後、被害者が次々と名乗りを上げて会見を開き、国会の野党ヒアリングなどでも証言するようになると、さすがに無視できなくなってベタ記事扱いで報じるメディアも出てきたが、会見が行われたことを淡々と伝えるだけで核心には触れようとしない。フーゾク三行広告の方がよほど情報量が多いくらいだ。
横並びで一斉に糾弾の醜悪
BBCという外圧によって風穴があき、被害者の実名告発が相次いだ結果、日本の大メディアも重い腰を上げざるを得なくなった。そして、外部専門家による「再発防止特別チーム」が先月末に調査報告書を公表。ジャニー氏が1950年代から2010年代半ばまで、10代を中心とする多数の少年たちに長期間にわたり広範に性加害を繰り返していた事実が認められたと報告すると、“お墨付き”を得たとばかりに安心して、大バッシングが始まった。
性加害が行われていた約60年もの間、沈黙していた日本の大メディアが、ジャニーズ事務所の謝罪会見に大挙して押し寄せ、一斉に糾弾する。その姿は醜悪というほかない。特別チームは「メディアの沈黙が結果的に被害を拡大させた」と指摘したが、そういう自分たちの罪深さから目をそらす意図さえ見え隠れする。
この問題を報じた週末のテレビ番組の出演者も「噂レベルでしか知らなかった」「問題視してこなかったテレビの側も反省しなければ」「メディアの今後が問われる」とか殊勝な表情でコメントするのだが、どこまで本気でメディア側の問題を捉えているのか。
「本当に反省しているのであれば、現在進行形の問題も忖度することなく報道すべきですが、週刊文春が2カ月にわたって報じてきた木原官房副長官の愛人・隠し子問題や、妻の元夫が不審死した事件に関して捜査当局に圧力をかけた疑惑など、テレビはまったく報じようとしない。それどころか、今週予定されている内閣改造でも木原副長官が留任すると臆面もなく伝えている。福島第1原発から出る汚染水のALPS処理水放出についても、当局の言い分を垂れ流す大本営発表に徹しています」(ジャーナリスト・横田一氏)
権力の罪状にダンマリ決め込む忖度ジャーナリズム
ジャニーズ事務所の謝罪会見の翌日(8日)、中国新聞が19年7月の参院選広島選挙区で起きた大規模買収事件でスクープを放った。
選挙違反で実刑判決を受けた河井克行元法相の自宅を家宅捜索した際、当時の安倍政権幹部4人から現金計6700万円を受け取った疑いを示すメモが見つかっていたというのだ。
メモはA4判で、上半分に「第3 7500万円」「第7 7500万円」と書かれ、それぞれ入金された時期が書かれていたという。その下には「+(プラス)現金6700」と手書きで記され、「総理2800 すがっち500 幹事長3300 甘利100」と手書きされていた。当時の安倍首相、菅官房長官、二階幹事長、甘利選対委員長から受け取った現金の額とみられる。
検察当局は、これが克行の妻・河井案里を当選させるために、広島県内の地方議員らに配った買収の原資とみて捜査していたという。
党本部が2回にわたって7500万円を振り込んだ計1億5000万円は、選挙資金としては破格だ。同じく広島選挙区から立候補していた自民党岸田派の溝手顕正参院議員(当時)への支給額は1500万円だったというから、実に10倍である。当初はこの1億5000万円が買収に使われたとみられていたのだが、それ以外にも6700万円もの“裏金”が政権中枢から渡されていた可能性がある。
中国新聞によると、克行は取り調べの際に「1億5000万円が原資でないことは分かっているでしょう」などと逆質問して、検察側の認識を聞き出そうとしたという。検事は当時の安倍首相ら政権幹部4人から計6700万円の現金が提供されたことをうかがわせるメモについて、「この現金が原資だったのではないか」と追及したが、克行から供述は得られず、4人の聴取をすることもなく捜査を終えた。
メディアのダブルスタンダード
こういう生々しい「メモ」の存在が、捜査が終結してから出てくるのもどうかと思うが、中国新聞の取材で端緒が明るみに出た以上、選挙を歪めた安倍政権の罪状を大メディアはどう追及するのかと思ったら、テレビの後追い報道はまったくないのだ。
「ジャニーズ事務所の問題と同じです。忖度ジャーナリズムは芸能マスコミに限らない。第2次安倍政権時代から、大メディアは権力者の意向に従って批判を控え、自主規制するようになった。“モリ・カケ・サクラ”など政治を私物化した疑惑が幾度となく持ち上がっても、本気で追及しようとしませんでした。安倍元首相と旧統一教会の癒着問題だって、知っている政治部記者は少なくなかったはずですが、銃撃事件が起きなければ表沙汰にならなかったかもしれません。広島での選挙買収問題も、安倍政権中枢からの資金提供が疑われるメモが出てきたのだから、今からでもきっちり解明すべきですが、ダンマリを決め込んでいるようでは、この国の大マスコミにはもう何も期待できません」(法大名誉教授・五十嵐仁氏=政治学)
昨年、旧統一教会と自民党議員の関係について調査を指示した岸田首相は、安倍に関しては「お亡くなりになった今、確認するには限界がある」と言ってフタをした。ジャニー氏の性加害は死後4年でようやく事務所も認め、容赦なく断罪されている。安倍は亡くなったから旧統一教会との関係も選挙買収資金の問題も不問に付すという理屈は通らないはずだ。
「ジャニーズ」は社名変更せずに活動継続する方針にも「犯罪者の名前を冠するなんてあり得ない」と批判が相次いでいるが、政界にも故人の名前を冠したまま存続する派閥がある。自民党最大派閥の「安倍派」だ。
「安倍政権時代は政権に批判的なコメンテーターの降板も相次ぎ、メディアの忖度が極まった。ジャニーズ事務所の問題は、忖度ジャーナリズムが自己検証して生まれ変わるチャンスなのに、『メディアの沈黙』を反省しているふうを装いながら、日本をメチャクチャにした安倍元首相の罪を糾弾しようともしないのはダブルスタンダードで、大メディアに自浄作用がないことを自ら証明してしまっている。何のケジメもつけずに安倍派を名乗り続ける派閥も、それを批判しない側も同罪です」(横田一氏=前出)
ジャニーズ問題は、日本のメディアの未熟さを浮き彫りにした。忖度なき権力批判が民主主義の根幹であることを大メディアは忘れてしまったとしか思えない。
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