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岸田政権の「補助金延長」やってる感は出し惜しみの極み! 国民にサプライズ税収増9兆円の還元を
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/328387
2023/08/31 日刊ゲンダイ
小っさい規模の物価対策でやってる感をアピール、財源はたっぷりなのに(C)共同通信社
岸田首相は30日、ガソリン価格の高騰対策について「新しい激変緩和措置を9月7日から発動する」と発表し、年末まで継続する方針を示した。9月使用分までとなっている電気・都市ガス料金の負担軽減策の延長も表明。やってる感をアピールしたが、出し惜しみの極みだ。2023年度の税収は物価高騰の追い風を受け、大きく上振れする見通しだからだ。
◇ ◇ ◇
経産省が30日に発表した28日時点のレギュラーガソリンの全国平均価格は1リットル=185.6円と、また最高値を更新した。大手電力10社の家庭向け電気料金は全社で9月と比べ上昇。大手都市ガス4社のガス料金もすべて値上げされる。政府の補助金の縮小が影響している。
補助金の継続は遅すぎる判断と言えるが、これで暮らし向きが良くなるとは思えない。たいした規模ではないからだ。
政府のガソリン補助金は22年1月〜23年9月の21カ月間で6.2兆円。電気・ガス代の補助金は今年1月から9月の9カ月間で3.1兆円だ。数カ月、延長したところで、2兆円程度の支援に過ぎない。
専門家が試算
ない袖は振れないのかというとそうではない。実は、国の懐はポカポカなのだ。最新のGDP(国内総生産)をもとに、2023年度の税収見通しを立正大法制研究所特別研究員の浦野広明氏(税法)に試算してもらった。
23年4〜6月期の名目GDPは前期比2.9%増で、年率換算では12%のプラス成長だった。金額は過去最高の590兆円と600兆円に迫る。空前の物価高が大きく押し上げた。
実際に23年度の名目GDPが12%増になった場合、国の税収はどれくらい増えるのか。経済成長率と税収の関係を示すのが、税収の増加率を名目GDPの上昇率で割って算出される「税収弾性値」だ。例えば、名目GDPが1%増え、税収が2%増えれば、弾性値は「2」となる。
国民に還元しても国の懐は痛まない
このくらいの対策で暮らし向きが良くなるわけではない…(C)日刊ゲンダイ
近年は経済成長率より税収の伸びが著しく、21年度の弾性値は4.2、22年度は3.0となっている。しかし、財務省は税収試算に「1.1」を採用。「税収を少なく見せるため」との批判も多い。今回はあえて財務省の控えめの弾性値で試算してみると──名目GDPが12%増なら、13.2%の税収増。22年度の税収は71兆円だから、23年度は9.3兆円も税収が増え、80兆円の大台に乗る計算だ。
物価高が押し上げ
「9兆円の税収増は政府の努力でも何でもない。物価高騰により、国民や企業が大きな負担増を強いられた結果、増えたお金です。物価対策というなら、岸田首相が真っ先にすべきことは、この9兆円を耳を揃えて国民に還元することです」(浦野広明氏)
9兆円ものサプライズ税収増を考慮すれば、30日発表の物価対策はいかにもショボイ。岸田首相は本気で国民の暮らしを守るつもりはないのだろう。
「財務省が発表している23年度の税収見通しは69.4兆円で、今回の試算からは10兆円以上も少ない。税収が試算のように80兆円に達すれば、財務省としてもうれしい誤算でしょう。上振れ分の9兆〜10兆円を国民に還元しても、財務省の計算が狂うわけではなく、国の懐が痛むこともありません」(浦野広明氏)
岸田首相はすみやかに9兆円を国民に返金すべきだ。
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