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海産物の全数調査必要不可欠
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2023年8月24日 植草一秀の『知られざる真実』
日本政府が処理後放射能汚染水の海洋投棄を始めた。
空前絶後の暴挙。
海水で薄めて濃度を下げれば海洋放出できる。
この論理に従えば海洋投棄できないものはなくなる。
放射性物質の特質は有害性が長期間除去されないこと。
トリチウムの半減期は10年。
メルトダウンした炉心(デブリ)がいまどこにどのような状態で存在しているか、13年経過したいまも判明しない。
デブリの取り出しは100年かけてもできない。
大地を汚染している放射能の主成分はセシウム137で、その半減期は30年。
100年たっても10分の1にしか減らない。
国際環境NGOの”Friends of the Earth”メンバー団体である”FoE Japan”が
「【Q&A】ALPS処理汚染水、押さえておきたい14のポイント」
を公開している。
https://foejapan.org/issue/20230801/13668/
処理後汚染水の詳細を知ることのできる貴重な情報である。
この情報を見ると、政府の説明がいかにいかがわしいものであるかがよく分かる。
処理後汚染水を海洋投棄するべきでない。
日本の国民は処理後汚染水の海洋投棄という暴挙を早期に中止させるために行動する必要がある。
現時点でもっとも有効な方策は海洋投棄地周辺で産出される海産物に対する不買運動を展開すること。
消費者は自らの判断で安心・安全な食料を選択する権利を有する。
消費者主権とも呼ばれる。
この「消費者主権」を行使して処理後放射能汚染水の海洋投棄を阻止するために行動するべきだ。
不買運動によって漁業者が不利益を蒙るが、この不利益を補償する主体は原発事故を引き起こした事業者ならびに国である。
責任当事者である事業者ならびに国の責任を脇に置いて、消費者に安全・安心の選択権を放棄せよとするのは筋違いも甚だしい。
処理後放射能汚染水海洋投棄の現地に近い海で産出される海産物については、当然のことながら全数調査が求められる。
全数調査の結果、基準値以上の放射性物質が確認されれば、直ちに処理後放射能汚染水の海洋投棄を中止しなければならない。
危険性が大きい放射性物質の海洋投棄を行う以上、まずは全数調査の実施をすることが義務付けられねばならないのは当然のこと。
政府はIAEAが報告書を公表したことを錦の御旗に掲げるが、IAEAのレビューは、基本的に日本政府・東電から提供された情報に基づくものである。
「放出する放射性物質の種類と量」として東電が示している「放射線影響評価」のデータは、タンク水全体の3%弱に過ぎない3つのタンク群データにすぎない。
このデータだけに基づいて基準をクリアしていると評価してしまっている。
ALPSで処理した放射能汚染水について政府は
「トリチウム以外の核種について、環境放出の際の規制基準を満たす水」
としているが、これは事実と異なることをFoE資料が指摘する。
タンクに貯められている水の約7割については、トリチウム以外の放射性物質も基準を超えて残留している。
タンクに貯蔵された処理後放射能汚染水にはヨウ素129、ストロンチウム90、ルテニウム106、テクネチウム99、セシウム137、プルトニウム239、炭素14、カドミウム113mなどが残留している。
東京電力は、ALPS処理によってトリチウム以外の放射性物質は除去できており、基準を満たしていると説明していた。
実際、2018年8月の説明公聴会資料では基準を満たしているデータだけが示された。
しかし、メディア報道によってトリチウム以外の放射性物質も基準を超えて残留していることが明らかにされた。
その後の東電の発表で、タンクにためられている水の7割弱でトリチウム以外の62の放射性核種の濃度が全体として排出基準を上回っており、最大で基準の2万倍近くになっていることが明らかにされた。
東電は海洋投棄の前に二次処理を行って、これらの放射性核種も基準値以下にするとしているが、全体でどれだけの量の放射性核種が海洋投棄されるのかは明らかにされていない。
膨大な放射性物質でも無尽蔵の海水で希薄化してしまえば海洋投棄できることになれば、有害物質の海洋投棄を規制する意味はなくなる。
汚染水の処理については、汚染水をセメントと砂でモルタル化し、半地下の状態で保管するという「モルタル固化処分」という方法も存在する。
海洋投棄よりははるかに弊害が少ないと考えられる。
政府は費用節約から代替案を十分に検討もせず放射性物質の海洋投棄を強行していると見られる。
政府の暴挙を止めるには主権者が不買運動を全国展開するのが有効である。
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