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「資格確認書」利用で窓口負担増の“ペナルティー”を政府検討 露骨な格差に識者も怒り露わに
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/327536
2023/08/16 日刊ゲンダイ
集中企画・マイナ狂騒(35)
転んでもタダでは起きない(河野太郎デジタル相と加藤勝信厚労相=右)/(C)日刊ゲンダイ
トラブル続出で悪評ふんぷんのマイナ保険証。こうした事態を受け、政府は軌道修正し、マイナ保険証を持たないすべての人に対して、職権で「資格確認書」が交付されることになった。ところが、転んでもタダでは起きないのか。資格確認書を利用した場合、窓口負担が割高になる「ペナルティー」が検討されていることが分かった。
政府はマイナ保険証の普及を狙い、窓口負担の格差付けを進めてきた。いま、医者にかかると、マイナ保険証なら初診時の加算は20円(3割負担の場合6円)、再診時はゼロだが、現行の健康保険証を利用すると、初診時60円(同18円)、再診時20円(同6円)だ。現行保険証を割高に設定し、マイナ保険証へと誘導する作戦である。
現行保険証が廃止される来秋以降は資格確認書が交付されるが、窓口負担はどうなるのか──。
厚労省は「取り扱いはこれからの検討事項であり、今後、決めていく」とした上で、「マイナ保険証による診療では診療、薬剤、特定問診情報が閲覧できるため、医療機関の手間が省け、その分、患者の窓口負担も安くなっています。そういう制度の趣旨を踏まえ、資格確認書の場合の負担割合を検討していく」(医療課)と答え、資格確認書でも何らかの格差を付ける方向をにおわせた。
「マイナ保険証を使うと手間が省けるというのは設計段階の発想です。実際にはマイナ保険証の導入以降、多くの医療機関はトラブルに見舞われ、手間は膨れ上がっています。トラブルを踏まえれば、負担割合の格差は取りやめるのが当然だと思います。資格確認書でも格差付けを続けるのは、国民の理解が得られるとはとても思えません」(医療関係者)
野口悠紀雄氏が痛烈批判
資格確認書には露骨なペナルティーで何が何でもマイナ保険証(C)共同通信社
一橋大名誉教授の野口悠紀雄氏は、14日配信のビジネス関連ネットメディア「ビジネス+IT」に寄稿し、「資格確認書の場合は、本人負担額がマイナ保険証の場合より高く設定される予定だ。寝たきりなどでマイナンバーカードを取得できない人に対して、なぜこのようなペナルティーを課すのか、理解できない」と格差策を痛烈に批判している。
資格確認書にペナルティーを課すことは多くの国民を敵に回すことになりそうだ。厚労省はマイナ保険証をいったん利用登録した後でも、解除を可能とし、資格確認書を交付することを決めた。資格確認書の利用者が増える可能性がある。
「マイナ保険証の登録者は、利用に不安を感じてもカードを自主返納しない限り、マイナ保険証から抜け出せなかった。厚労省の方針転換により、カードを保有したまま気軽に登録解除ができるので、資格確認書に切り替える人は少なくないとみられます」(霞が関関係者)
ネット上でも〈朗報!マイナ保険証登録解除〉〈解除して資格確認書なら施設に預けられる〉との投稿がみられる。
野口氏も「マイナ保険証にすでに切り替えている人も、それを取り消して、資格確認書にするかもしれない」と記している。
デジタル庁の公表データによると、8月6日時点のマイナ保険証の利用登録は6578万人。マイナ保険証からの乗り換えが相次ぎ、資格確認書の利用者が7000万、8000万人となれば、負担額格差への風当たりも強くなるだろう。それでも岸田首相はペナルティーを続けるつもりなのか。
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