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※紙面抜粋
※2023年8月15日 日刊ゲンダイ2面
※文字起こし
「(核兵器のない世界を実現するため)たゆまぬ努力を続けます」広島の平和記念式典では白々しい言葉(岸田首相)/(C)共同通信社
台風を心配しながら迎えることになった78回目の敗戦記念日。これほどキナ臭さが漂う8月15日は、戦後、初めてなのではないか。戦争を知る世代は、本気で日本の将来を危ぶんでいる。
戦争経験者が懸念しているのは、大きな反対もなく、気づいたら軍拡が進んでいることのようだ。
昨年末、タモリもテレビ番組で「2023年は新たな戦前になるんじゃないですかね」と口にしていたが、もはや、その予言を笑い飛ばせなくなっているのではないか。とうとう岸田政権は、昨年、戦後の日本が堅持してきた「専守防衛」という国是まで、変えてしまった。
岸田首相は、二言目には「不戦の誓い」を口にしているが、アメリカと一緒になって、この国を軍事大国にしようとしているのは明らかだ。早速、今週末にも渡米して、18日の「日米韓首脳会談」に臨み、軍事同盟の関係強化をアピールする予定だ。
驚いたのは、麻生副総裁が8日、台湾で発した「戦う覚悟」発言が、岸田官邸と入念に打ち合わせしたものだったことだ。
麻生は「大事なことは台湾海峡で戦争を起こさせないことだ」としたうえで、「日本、台湾、米国に抑止力を機能させる覚悟が求められている」「防衛力を持っているだけではダメだ。使う意思を相手(中国)に伝えて、抑止力になる」と、中国を挑発してみせた。いつもの失言だと思った国民も多かっただろうが、岸田官邸と調整した発言だったというのだから仰天である。
「どうして岸田首相は、わざわざ中国との関係を悪化させるようなことをするのでしょうか。戦前、日本と中国は、互いに威勢のいい言葉を繰り出して、戦争に突入してしまった。しかも、麻生副総裁を利用して、日本国民にも『戦う覚悟』を求めている。『不戦の誓い』とは、かけ離れています」(立正大名誉教授・金子勝氏=憲法)
これでは戦争を知る世代が懸念を強めるのも当然だろう。
「核軍縮」も口先だけ
どんなに岸田が敗戦記念日で立派なスピーチをし、「不戦の誓い」を打ち出しても、しょせん口先だけなのは明らかだ。被爆地・広島出身なのに「核軍縮」に後ろ向きな態度が、それを証明している。
6日に広島で行われた平和記念式典や、長崎で9日に行われた式典に送ったビデオメッセージで、「わが国は世界で唯一の戦争被爆国として『核兵器のない世界』を実現するため、非核三原則を堅持しつつ、たゆまぬ努力を続けます」と挨拶していたが、本気で「核軍縮」を実現する気がないのはハッキリしている。5月の広島サミットで、岸田の肝いりでまとめた「広島ビジョン」が、核抑止力を肯定していたからだ。核抑止力とは、核兵器で相手を脅して攻撃を思いとどまらせる、というものだ。
さらに、核兵器の開発・使用・威嚇などを禁じる「核兵器禁止条約」に署名・批准しようとしないだけでなく、被爆者団体が求めているのに、締約国会議へのオブザーバー参加すら拒否する始末である。
岸田の二枚舌には、さすがに被爆者も激怒。サーロー節子さんは「核なき世界をライフワークだとか言いながら、あまりにも矛盾がおびただしい」と痛烈に批判していた。
高千穂大教授の五野井郁夫氏(国際政治学)はこう言う。
「岸田首相は核軍縮がライフワークと言いながら、全く行動が伴っていません。『核なき世界』のために、核保有国と非核国が加盟する『核不拡散条約』を重視する一方、非核国が成立させた『核兵器禁止条約』は歯牙にもかけない。両条約とも『核軍縮』というゴールは同じなのだから『核なき世界』を目指すなら、2つとも批准すればいいはずです。なのに、『核兵器禁止条約』をほぼ無視しているのですから、本当はヤル気がないということ。二枚舌と言われても仕方ありません」
すべてはアメリカのため
なぜ、岸田はここまで軍拡にシャカリキになっているのか。
それもこれも、アメリカの都合を最優先しているからだ。安保3文書改定による防衛費倍増は、バイデン大統領に「私がキシダを説得した結果、日本は防衛費を飛躍的に増やした」と内実を暴露されていた。殺傷能力のある武器輸出に道を開こうとしているのも、アメリカの要請に従ってウクライナ支援に関与しようとしているからに違いない。
果ては、迎撃ミサイルの日米共同開発まで決めようとしている。18日の日米首脳会談で合意する見通しになっている。
かつての力を失ったアメリカは、敗戦国の日本とドイツに、もう一度軍事力をつけさせ、名実ともに「アメリカの同盟国」になるよう求め始めているという。日本には中国を、ドイツにはロシアを、それぞれ牽制させるつもりらしい。岸田政権は、アメリカの戦略に完全に乗っかっている格好だ。
「岸田政権は『アメリカに従っていれば大丈夫』と考えているのでしょうが、それは危険です。すでに国際社会では『アメリカ1強』は崩れつつあり、有事の際に本当に『アメリカが助けてくれる』のか、確証がない状況です。欧州の一部は、リスク分散のため、中国や東南アジア諸国との距離を縮めて幅広い外交を展開している。岸田首相にそこまでの深い外交戦略があるのか疑問です」(五野井郁夫氏=前出)
「広島」「宏池会」を最大限利用
これ以上、岸田政権の勝手を許したら、日本の軍拡はどこまで進むのか分かったものじゃない。ある意味、岸田は、極右政治家だった安倍晋三よりも危険な男だ。
麻生は先月末、こんな発言をしている。
「日本も防衛費をGDP比2%にすべきだと安倍晋三が言っていたけど、通らなかった。しかし、岸田政権になったら昨年、通ったよ」「あれは岸田の顔だから受けんだよ。なんとなくリベラルっぽく見える人が極めて現実的に粛々と通していく」
要するに、リベラルのレッテルを貼られている岸田は、軍拡を進めるのに好都合だということだ。
しかも、軍拡を進めている岸田本人も「俺は安倍さんもやれなかったことをやったんだ」と、周囲に自慢しているありさまだ。恐らく、本人は「準戦時宰相」にでもなった気分なのだろう。「ウクライナ戦争で歴史的変革期に突入し、私が変わったというより状況が変わったのだ」などと、大時代的な高揚感に酔いしれているのだから、完全にトチ狂っている。
「岸田首相が危険なのは、総理大臣としてやりたいことがないことです。視察先で子どもから『どうして総理になったのか』と聞かれ、『日本で一番権限が大きいから』と答えていた。自分がない、こういうタイプは危険だと思う。自分より強い相手の言いなりになってしまうからです。きっと、アメリカの求めに応じて軍拡に走っているのでしょう。自分がない政治家は、相手の要求に応じるだけだから、歯止めがない。岸田首相が政治家として不誠実なのは、“広島選出”と“宏池会出身”という看板を目いっぱい、利用していることです」(金子勝氏=前出)
「新たな戦前」というタモリの予言が現実になる恐れは、どんどん高まっている。
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