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「マイナ保険証」登録後に解除可能へ…ゴリ押し河野デジタル相に厚労省が“NO”のクーデター
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/327421
2023/08/12 日刊ゲンダイ
集中企画・マイナ狂騒(34)
「法律で決まっていること」(河野デジタル相=9日)/(C)共同通信社
厚労省良識派のクーデターなのか──。8日に開催された「マイナンバー情報総点検本部」の会議でマイナ保険証を巡ってアッと驚く方針転換があった。健康保険証を人質にマイナカードの普及をゴリ押ししてきた河野デジタル相に、厚労省が「ノー」を突きつけた格好だ。
◇ ◇ ◇
現行のルールでは、いったんマイナカードに健康保険証の利用登録をすると解除できない。ところが、総点検本部の資料では〈一度登録した後も、マイナ保険証の利用登録の解除を可能とし、資格確認書を交付〉とある。厚労省に聞いた。
「いろいろな指摘をいただき変更することにしました。もともとマイナ保険証の利用登録は任意である以上、登録を外したい方は解除できるようにすべきと考えました。いったん解除した後、再び利用登録をすることも可能です」(医療介護連携政策課・保険データ企画室)
任意なのに一度入ると抜け出せないといういびつな運用を改め、脱出できるようにしたのだ。
「マイナンバーカードを普及させたいデジタル庁や総務省と異なり、厚労省の中には、人質のように健康保険証がカード普及に利用されていると思う官僚も少なくない。昨年秋に河野大臣がいきなり現行保険証の廃止をブチ上げたことも尾を引いている。そうした厚労省良識派の不満もあり、『任意だから解除も可能』という正論が通った格好です」(厚労省関係者)
マイナンバーカードが手元からなくなる自主返納でなく、カードを持ったまま保険証登録だけを解除したり、再登録できるのはありがたい。
デジタル庁の公開データによると7月30日時点のマイナ保険証の利用登録は約6500万人。現行保険証が廃止される来秋以降、「マイナ保険証vs資格確認書」の勝敗が数値で見えることになる。はたして、どちらを選ぶ国民が多いのか。
「マイナ保険証は発行から5年ごとの有効期限に合わせて市町村の窓口に行って更新する必要があるうえ、受診ごとに提示が求められます。蓄積された診療・薬剤情報を活用できる利点がありますが、実際にはデータの更新が遅く、使い物にならない。薬剤情報がタイムリーにわかる電子処方箋の普及はわずか2%程度です。一方、資格確認書の期限は最長5年ですが、マイナ保険証と違って更新時の申請は不要。自動的に送られてきます。それに、現行保険証と同様に月1度の提示で済む可能性が高い。マイナ保険証への不安や不信が払拭され、利便性が認められるようになるまでは、資格確認書に人気が集まりそうです」(医療関係者)
河野大臣は9日、神奈川県の茅ケ崎市役所でマイナ保険証の体験会を視察。健康保険証の廃止については「法律で決まっていること」。廃止に疑問を持つ医療関係者もいると問われると、「お医者さんがどう思うかではなく、きちんとやるべきことはやっていただかなければならない」と国民の怒りに火をつけるような発言を連発した。来秋以降、マイナ保険証の利用登録がみるみる減ったら、河野大臣はどんな顔をするのか。
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