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「もっと困窮した家庭を救え!」こども家庭庁主催の写真コンクールが大炎上
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/327321
2023/08/12 日刊ゲンダイ
(こども家庭庁HPから)
《こんなことやる時間どこにあるんですか?》
《写真スタジオがやることでしょ》
《これやる前にもっとするべきことあるはずですよね》
《コンテストの目的っていったい何ですか?》
「"やっぱり、家族っていいね。"こどもや家族を思うあたたかい気持ちを写真にしてご応募ください」という文言とともに、こども家庭庁が3日にツイッターで公開した「令和5年度 こどもまんなか『家族の日』写真コンクール」の募集案内が大炎上している。"安心して子供を産み育てることができる社会づくりの機運を高めることを目的"として、こども家庭庁は写真コンクール(募集期間8月1日〜9月4日)を企画した。
ネットが反応したのは、そこにサンプルとして掲載されていた写真。にこやかに写真に収まる子供とおばあさんのまぶしすぎる笑顔に、SNSを中心に「被写体に罪はまったくないが、もっと困窮している家庭を救うのがこども家庭庁の仕事なのでは?」と疑問を呈する声が多く上がっている。実際、世の中には、社会的に困窮している家庭がたくさんあり、こども家庭庁がわざわざ職員と税金を使って写真コンテストをやる必要があるのか疑わしい。
募集作品のテーマを見ても、「家族の団らん、パパの育児、三世代家族の様子、親子で一緒に楽しみながら何かに取り組んでいる日常の様子」「出産を控え家族で準備している様子、子育て家族の絆やあたたかさ・ほほえましさを表している様子」「ワークライフバランスの取組(定時退社し子育てイベントへの参加など)」といった、"幸せな子育て写真"を望んでいることが見て取れる。そこからは、「過酷な育児」といった子育てのリアルな様子を汲み取ろうとする行政としての姿勢は見えてこない。
大胆過ぎる個人情報の取り扱いにも批判
さらに問題なのは、こども家庭庁の個人情報の取り扱いだ。募集要項では、"子育てを支える家族や地域の大切さに関する「写真」を全国から募集し、優秀な作品について表彰します"としているが、「応募者は、応募に当たり、こども家庭庁が管理するウェブサイトやその他広報物において、応募作品が使用されることについて承諾したものとします」とある。「入賞作品の発表では、こども家庭庁ホームページに、作品のタイトル、お住まいの都道府県、実名を掲載します。匿名、アカウント名等による発表はいたしません」ということは、"実名・顔出し"で幼い子どもがいることを世間に知らしめろ、と言っているも同然だ。
今回の「こどもまんなか『家族の日』写真コンクール」の企画意図と目的をこども家庭庁に聞いた。
「子供や家族、地域の繋がりといった、子育てを取り巻くいろんな環境や楽しそうにしている様子、子供自身が一生懸命何かに取り組んでいたり、地域で支える様子など、温かい素敵な写真を応募していただき、その様子を発信することで、ちょっとほっこりした気持ちになっていただければと。それで、子供、子育てを支えることが素敵だなって思っていただくのが目的です」(こども家庭庁少子化対策室地域連携係)
以下は筆者がこども家庭庁にぶつけた質問とそれに対する回答だ。
Q.虐待や貧困、困窮している家庭のサポートなど、こども家庭庁が率先してすべきことが他にもあるのでは?
A.「当然、それは重要なことでありますので、他の部局で色々支援を行っております」
Q.SNSを中心に非難の声が上がっていることに関しては?
A.「厳しいご意見があるのは承知しております。いろんなご意見があるなかで、それを踏まえ、発信の方法などは内部で検討していきます」
Q.個人情報の取り扱いについてどう考えているのか。
A.「写真は公表はしますが、勝手に載せるわけではないので……」
今回のコンクールの審査員には、戦場カメラマンの渡部陽一氏の名前も上がっている。審査員の選考基準についても聞いてみると、「お答えできません」の一点張り。事業予算についても、「現時点ではお答えできません。今調査しているところです」との説明だった。つまり、予算を決めずに見切り発車したということのなのだろうか。こども家庭庁は現時点で写真コンクールの企画を取りやめる予定はないとしている。
(取材・文=中西美穂/ジャーナリスト)
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