http://www.asyura2.com/23/senkyo291/msg/311.html
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https://www.tokyo-np.co.jp/article/266295?rct=politics
日本政府は、国民に対して何の説明も無いまま、唐突に「相手が攻撃に着手した(と日本が主観的に判断した)段階で、保有する敵基地攻撃能力を行使できる」と世界に向けて発信している。
まるで言外に、近隣諸国に対して、
「なので、あんた方もそうしたらいいよ。」
と言っているような口振りなのも国賊的ではある。
この言葉は、未だ取り消されてはいないし、今更取り消すことも叶わない。
にも拘らず、未だに、政府が昨年末の安全保障関連3文書改定により保有を決めた「敵基地攻撃能力(反撃能力)」の検討過程は不透明なままだ。
東京新聞が情報公開請求した防衛省の「防衛力強化加速会議」の資料はほとんどが黒塗りだったそうだ。
岸田首相は1月23日の施政方針演説で「国会の場で正々堂々議論する」と述べていたことを覚えている人は少ないだだろう・・・が。
そう息巻いていた岸田首相は、既に敵前逃亡な有様。
これまで岸田政権は、国会での野党の繰り返しの質問に対して、具体的な説明を避け続けている。
そんな状況の中で、防衛白書に初めて「敵基地攻撃能力」が明記された。
しかしながら、依然として「相手が攻撃に着手した(と日本が主観的に判断した)段階」が、「何か?」は明確にされていない。
主観に頼る以上、国民に説明できるはずもない。
そんな政府の、国会の場での議論を逃げるばかりで、それでいてまともに説明もせず、問答無用なやり方に、東京新聞が警鐘を鳴らしている。
以下は記事の抜粋。
浜田靖一防衛相は28日の閣議で、2023年版の防衛白書を報告した。昨年末に改定した国家安全保障戦略に盛り込んだ敵基地攻撃能力(反撃能力)保有を初めて明記。・・・ただ、記載した定義では、どのような場面で能力を行使するのかは曖昧で、識者は「防衛費を倍増させるのだから国民の理解を得る説明をすべきだ」と求める。(川田篤志)
◆1ページ超を使って解説した2つの定義
白書では軍拡を進める中国や北朝鮮、ウクライナに侵攻するロシアを念頭に、日本は「戦後、最も厳しく複雑な安全保障環境」に直面していると分析。対抗するため敵基地攻撃能力の保有に加え、・・・「従来とは全く異なる水準の予算規模」で防衛力を強化する方針を強調した。
敵基地攻撃能力に関しては、1ページ超を使って解説。中国や北朝鮮を念頭に、日本のミサイル防衛システムでは迎撃が困難とされる極超音速ミサイルの開発などを受け、保有の必要性を主張。自衛のための措置で、対象を軍事目標に限るなど憲法や国際法の範囲内で行使するとも説明した。
定義は2つを併記した。1つは「ミサイル防衛で飛来するミサイルを防ぎつつ、相手からのさらなる武力攻撃を防ぐために、わが国から有効な反撃を加える能力」と説明。具体的な記述はないが、先に仕掛けてきた相手のミサイルの飛来を減らすため、発射基地などをたたくことを想定しているとみられる。
2つ目で、相手の武力攻撃を防ぐのにやむを得ない必要最小限の措置として「相手の領域において反撃を加える能力」と位置づけた。こちらも直接の言及はないが、密接な関係にある米軍などが攻撃され、日本が他国を武力で守る集団的自衛権を行使するシナリオも含まれるとみられる。
◆懸念を払拭しようとして理解しにくく
慶応大の神保謙教授(国際安全保障論)は取材に、2つの定義は「複雑でわかりにくい」と指摘。敵基地攻撃能力が国際法に反する先制攻撃に当たるという懸念を払拭しようと、第1の定義を強調したことにより、理解しにくくなっていると分析する。
第2の定義は台湾に軍事侵攻する中国に対し、米軍とともに自衛隊が参戦するシナリオも想定されると指摘。だが、長射程ミサイルで中国艦船をたたくのか、中国本土の飛行場なども攻撃するのかなど具体的な方針は曖昧で「中国による報復で不要なエスカレーションを招く恐れがある」と問題視する。
浜田防衛相は28日の記者会見で、説明が不十分ではないかとの問いに「保有の背景など必要な記載に努めた」と強調したが、神保氏は「運用はプロに任せろでは国民は納得しない」と疑問を投げかける。
記事の抜粋はここまで。
防衛白書では、「反撃能力」(敵基地攻撃能力)を次の文章で説明している。
「反撃能力」
わが国への侵攻を抑止するうえでの鍵
ミサイル防衛網により、飛来するミサイルを防ぎつつ、相手からのさらなる武力攻撃を防ぐため、有効な反撃を加える能力。
これにより、相手に攻撃を思い止まらせ、武力攻撃そのものを抑止。
・・・・
政府は、「敵基地攻撃能力」を「反撃能力」と言い換え、それでも「専守防衛」の理念から逸脱する「攻撃性」を払拭しきれずに、今度は、「自衛の為」を印象操作するために、「抑止力」だと言い出した。
以下は、阿修羅掲示板にも何度か投稿したことがある、抑止論。
政府の言う「抑止」とは何なのか?
一般に、「抑止」とは、「相手が攻撃してきた場合、軍事的な対応を行って損害を与える姿勢を示すことで攻撃そのものを思いとどまらせる」軍事力の役割とされる。
「抑止」が機能するためには、抑止する側に、軍事的対応を実行する意図と能力があり、かつ、「それが相手に正しく認識されることが必要」であるとされる。
安全保障の分野では「拒否的抑止」と「懲罰的抑止」の2種類に分けて議論される。
「拒否的抑止」は相手の攻撃を物理的に阻止する十分な能力を持ち、目的を達成できないと思わせて攻撃を断念させる。
ミサイル防衛システムなど、がこれにあたる。
「懲罰的抑止」は攻撃されたら相手に耐えがたい打撃を与えると威嚇し、反撃を受けるコストが大きいと思わせて断念させる。
「敵基地攻撃能力の保有」とか、「核共有」などということが、抑止力という方便の下で語られるとき、そこで言う抑止力とは、先の分類に従うと、「懲罰的抑止」に違いない。
「懲罰的抑止」を成立させるためには、
@相手に対する(堪え難い)報復能力の保持、
A相手に対する報復意思の明示、
B相手が@Aを理解すること、
という3条件を満たすことが必要となる。
ここで、日本国憲法の9条を思い起こしてみよう。
「第9条 」
1項
日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、
国権の発動たる戦争と、
武力による威嚇又は武力の行使は、
国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。
2項
前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。
国の交戦権は、これを認めない。
・・・・・
改めて言うまでもないが、日本は戦争を放棄すると同時に、「武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。」と誓った。
「懲罰的抑止」は攻撃されたら相手に耐えがたい打撃を与えると「威嚇」し、そのための報復能力を保持し、相手に対する報復意思を明示することで、「反撃能力」(敵基地攻撃能力)という「武力の行使」を表明するものだ。
明らかに、「武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。」という憲法9条に違反するものであることは説明を待たない。
日本は、常に国際紛争を起こさないように、不断の「外交努力」を全力で実行することが求められている。
それが、日本国憲法を定めた、主権者たる日本国民の求めるものだ。
外交の努力も叶わず、武力による侵害を受けるこという不安が払拭できない場合においても、日本において検討すべき「抑止力」は、「拒否的抑止」の範囲を逸脱することは許されない。
「懲罰的抑止」は、軍事的攻撃力で相手を圧倒しなければ成り立たない。
すなわち、「懲罰的抑止」の議論は、際限のない「軍拡競争」の議論を言い換えたに過ぎないことになる。
結果として、「従来とは全く異なる水準の予算規模」となるのは必然と言えよう。
こんなことは決して誇れるものではないが、今回の異次元の予算規模も「軍拡競争」のほんの入り口を示しているに過ぎないということになるのだろう。
東京新聞の記者は、
「・・・識者は「防衛費を倍増させるのだから国民の理解を得る説明をすべきだ」と求める。・・・」
と、記事にしているが、問題の本質はそこではない。
問題の本質は、「敵基地攻撃能力の保有」は、何と言い換えようとも、「保有すること」そのことが、既に「憲法9条」に違反するということだ。
憲法9条の理念は、簡単に言えば、日本は他国に対して「永久に・・軍事的脅威とはならない」というものであり、それが「専守防衛」の理念でもある。
日本は、軍事力に訴えて、「他国を威嚇することを放棄した国」であることを忘れないようにしなければならない。
私達は、そのことによって国際社会において、名誉ある地位を占めたいと願ったのではないか。
そのことが、私達の為でもあり、私達の子孫の為でもあるのだからと・・・。
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