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81歳小沢一郎、政権交代へ「最後の戦い」の現実味 立憲と維新、野党候補1本化が必要不可欠と力説
https://toyokeizai.net/articles/-/689544
2023/07/26 6:00 泉 宏 : 政治ジャーナリスト 東洋経済オンライン
記者会見する立憲民主党の小沢一郎衆院議員(右から2人目)(写真:時事)
2023年12月に国会議員54年目となる小沢一郎氏が、ここにきて政権交代での「最後の戦い」に強い決意をアピールし、政界の注目を集めている。
同氏は、次期衆院選での自公政権打倒には、野党第1党を競う立憲民主と日本維新の会両党を中心とする野党候補1本化が必要不可欠と力説。そのための予備選導入などを両党に呼びかけるなど、豊富な政治経験や人脈を駆使して「オール野党の軍師」を狙う構えだ。
小沢氏はまず、7月14日の立憲民主参院議員のパーティーでの講演で、「政権交代の実現こそ、野党第1党にとって最大の目標でなければならない」と主張。同党執行部が次期衆院選に向け150議席を獲得目標に掲げていることについて「(過半数に満たない)150人でどうして政権交代ができるのか」と指摘した。
そのうえで、「政権交代を実現することが、野党第1党の最大の目標。自民党はけしからんとかいろいろ批判するが、政権を取る意思がないのに、私たちはこうしますって言えるのか。政権を取る気がないのに、ああします、こうしますって、有権者を欺いている」と党執行部の姿勢を真っ向から批判した。
「野党予備選実施」で橋下氏と意気投合
続いて小沢氏は、翌15日夜に橋下徹・元日本維新の会代表とインターネット番組で対談。橋下氏が、次期衆院選で、小選挙区で候補者を一本化するため、野党間での予備選を主張すると、我が意を得たりとばかりに「大賛成だ。維新も立憲も全選挙区に立てて、重複したところは予備選をやればいい」と応じた。
小沢氏はこの対談で、「(立憲民主は)このままだと野党第一党といいながら沈没してしまう」と危機感を露わにし、野党候補統一で政権交代に挑む決意を繰り返し、橋下氏と意気投合してみせた。
小沢氏は前通常国会閉幕直前の6月16日、小川淳也前政調会長ら12人の同党衆院議員と一緒に発起人となり、「野党候補の一本化で政権交代を実現する有志の会」を設立。これに党所属衆院議員96人のうち53人が賛同したことが、今回の小沢氏の“決起”につながったとみられている。
そうした中、長妻昭・立憲民主政調会長は7月20日の記者会見で、小沢氏が「もう一度、政権交代を」と党執行部への批判を展開していることについて、「いろいろな意見が党内から出るというのは好ましい」と歓迎。党執行部中枢からの支持が、さらに小沢氏の背中を押す結果となっている。
党内過半数の「有志の会」バックに党執行部に圧力
これも踏まえ、今回の小沢氏の動きの支援母体となった、次期衆院選での野党候補一本化を求める「有志の会」の呼びかけ人が24日、国会内で会合を開催。その中で小沢一氏は「野党が候補を統一すれば与党候補に負けないのが現実であり、国民の願いだ」と熱っぽく訴えた。
会合には小沢氏や手塚仁雄幹事長代理ら6人が参加。共産党など他の野党との連携に後ろ向きだった泉健太代表が、候補者調整に乗り出す方針へ軌道修正したことも踏まえ、今後も小沢氏を中心に、党執行部への“圧力”を強めることを確認したとされる。
そもそも同氏は、ここ半年以上党勢低迷ばかりが際立つ立憲民主の重鎮として、党執行部の顔となる泉代表、岡田克也幹事長に対する批判を強めてきた。だからこそ党内の半数以上の議員を束ねて「野党統一候補」を要求することで、改めて存在感を誇示したのだ。しかも、小沢氏は橋下氏だけでなく志位和夫・共産党委員長との太いパイプを持つ強みもある。
こうして、「一躍、野党の時の人となった」(立憲民主若手)小沢氏だが、多くの野党陣営幹部には、同氏に対する警戒感も根強い。同氏は1993年夏の衆院選後の8党派連立・細川政権と、2009年の政権交代選挙での民主党政権という2度の政権交代実現を主導したが、路線対立などから両政権を短期間で崩壊させたのも同氏で、「政界の壊し屋」の異名もとるからだ。
神話崩壊で「もう過去の人」との声も
今年5月に81歳となった小沢氏は「もう一度政権交代をなしとげなければ、死んでも死にきれない」と自らの心情を吐露。「終結が迫る自らの政治家人生」も意識し、遅くとも2025年夏までと見込む次期総選挙に勝負をかける考えだ。
ただ、2021年10月の前回衆院選では、初当選以来圧勝を続けてきた岩手3区で自民候補に敗北、比例復活となったため、「選挙の神様」という神話は崩壊し、「もう過去の人」との厳しい声も少なくない。
「炎暑の中のべた凪とみられている政局を、何とかかき回そうと動き出した小沢氏」(自民長老)。まさに「最後の戦い」とみられるが、その先に見据える政界の新たな構図がはたして現実味を持つのか。それともあえなく「見果てぬ夢」に終わるのか。
故田中角栄元首相の“秘蔵っ子”として27歳で中央政界にデビューしてから53年余。その間の、幾多の“大政変”で常に中心に居続けた「政界の風雲児」の小沢氏が最後に仕掛ける「日本政治大改革」だが、その結末は「現在の政界を覆うもたれあいと現状維持の濃霧」(同)に遮られ、まだまだ見えてこないのが実態だ。
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