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東電、晴れて30年間汚染水放出 固化して地下埋設より大幅コスト安
https://tanakaryusaku.jp/2023/07/00029138
2023年7月7日 20:05 田中龍作ジャーナル
原子力規制庁が検査終了証を東電廃炉推進カンパニーの松本室長に手交した。=7日、原子力規制庁 撮影:田中龍作=
地元漁民や韓国など周辺国の不安をよそに、日本政府は、きょう7日、東京電力による汚染水の海洋放出に御墨付きを与えた。
原子力規制委員会が「東電福島第1原発の処理水を海洋放出する設備の検査が終了した」として東京電力に検査終了証を交付したのである。
海洋放出は少なくとも30年続くものと見られている。
2011年、福島で起きた原子力史上最悪の事故は、新たなフェーズを迎えた。12年を経て海外の環境に悪影響を及ぼすのである。
検査終了書を交付された後、東電ホールディングス廃炉推進カンパニーの松本純一室長が囲み会見に応じた。
汚染物質をコンクリートで固めて地下に埋めるよりも海洋放出の方がはるかにコスト安・・・記者会見で改めて分かった。
経産省が「多核種除去設備等処理水の取扱いに関する小委員会」に提出した資料。
以下、質疑応答―
記者:漁業者が反対の意思を示しているが?
松本:科学的な根拠に基づく情報発信を迅速に的確に実施していくと共に、会話・コミュニケーションを大事にしていきたい。
記者:今まで説明責任は国に丸投げしてきた。いつから東電は対話を始めたのか、いつ対話を始めるのか?
松本:今までもさまざまな形で漁業関係者と対話を続けてきたつもりだ。引き続き活動を継続するとともに、視察を通じて福島第一の現場をじかに見て頂く。
記者:これまで東京電力は地元に対してきちんとした説明をやってこなかったと思うが?
松本:様々な場所、場合等を通じて関係者の皆さまと説明会や対話を続けてきたと考えている。しっかりした対話活動は続けているし、今後もその所存だ。
記者:国の後ろに隠れていた東京電力が地元等に理解を得られる、きちんとした説得力ある説明会および対話を今後も続けられると思うか?
松本:私どもとしてはこれまでも国とよく連携しながら取り組んできたと考えている。今後も協力することになろうかと思う。今後も私どもが積極的にご説明あるいは対話を続けていくことに変わりはない。
記者:県漁連は一貫して反対の立場を示しているが?
松本:しっかりと科学的根拠をもって安全性、風評対策等を説明していきたいと思う。
記者:県漁連が反対の立場を続けるかぎり放出はしないのか?
松本:引き続き設備の安全性を科学的な根拠をもとにご説明していく。
田中:専門家の間には固化して地下に埋めた方がいいという説もあるが?
松本:コンクリートで固化すると体積が3倍から4倍に大きくなり固体廃棄物の保管料が増える。
2019年に明らかになった経産省の資料によると、セメント状に固化して地下に埋設すると2,431億円かかるが、海洋投棄だと34億円で済む。約70分の1なのである。
汚染水の流出をめぐって面談する田中俊一委員長(当時=左側・手前)と廣瀬直己・東電社長(当時=右側・手前)。これから10年後、汚染水問題は最悪の結果となった。=2013年、原子力規制庁 写真:取材班=
松本室長は原発事故発災直後から、一年半にわたって土日祝抜きで連日メディア対応にあたってきた。
フリージャーナリストからの核心を突く質問にも専門用語を散りばめながら巧みにかわしていた。立て板に水のごとく語るが、誠意ある回答はまったくなかった。
10年以上経った今日も巧みな話術は健在だった。体温がまったく感じられない目も変わっていなかった。
冷たい目は東電のエリート社員に共通する。久々に「ザ・東電」を感じた日だった。
〜終わり〜
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