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※紙面抜粋
※2023年6月13日 日刊ゲンダイ2面
※文字起こし
「安倍越え」に高揚(岸田首相)/(C)日刊ゲンダイ
岸田政権がゴリ押しする軍拡財源法の参院採決が迫っている。岸田首相が昨年末に安保関連3文書の改定で決めた防衛費の大幅増額に伴う財源確保を目的とする法案だ。もくろみ通りに防衛費をGDP比2%に倍増させ、2027年度までの5年間で約43兆円に引き上げるには、新たに14.6兆円の財源が必要になる。歳出改革、マネーロンダリングと揶揄される決算剰余金の充当でもまだ足りない。それで、税外収入などあらゆる余り金をかき集めて貯める「防衛力強化資金」の創設を柱とする財確法案で手当てしようというわけだ。それでもなお、1兆円強が不足するため、いずれ増税という形で国民にしわ寄せがいくことになる。
再分配による格差是正は口先だけで一向に動かず、軍費調達だけは血道を上げっぱなし。国是である専守防衛を逸脱する敵基地攻撃能力を保有するため、長射程ミサイルの配備を急いでいる。米国製巡航ミサイル「トマホーク」400発を購入し、「12式地対艦誘導弾」の射程延伸を計画。「継戦能力」の向上として弾薬や誘導弾を取得し、装備品の維持整備を図るという。
軍拡を下支えするこの法案は誰のためなのか。ポイントは米軍の装備品を調達するFMS(有償軍事援助)だ。日米両政府間の直接取引で、米側が示す条件の丸のみが必須。つまり、言い値で装備品をつかまされる仕組みで、かつての契約額は年間500億円規模で推移していたが、第2次安倍政権以降急増。それに引っ張られ、防衛費は今年度まで11年連続で過去最大になった。
12日の衆院決算行政監視委員会で、立憲民主党の原口一博議員はこう指摘していた。
「(FMSは)前金払いのある時渡しなんです。最悪の時は3600億円も未精算があって、お金を払っているのに、日本に(装備品が)届いていないことがたくさんあった。安倍内閣は(2019年度予算でFMS契約額を)7000億円まで増やした。岸田総理はこれを(23年度予算で)1兆4000億円まで広げておられるわけです。この中には自衛隊(に回す予算は)は入っていない。一番怒ってるのは誰かというと、自衛隊員の人たちです」
「マズいのは、今ウクライナにたくさん支援していて、ウクライナに行く武器も足りていない。ということは、今これだけ前金で渡して、装備品はいつ届きます? 9年前に発注した(米国製無人偵察機)グローバルホーク3機のうち、昨年12月に2機来ましたね。こういう状況なんです」
そのグローバルホークは、米国が「中国の脅威に対抗できない」として退役させた「ブロック30」。米軍は現在、「ブロック40」を運用している。岸田は何かといえば「今日のウクライナは明日の東アジアかもしれない」と台湾有事をあおっているが、航空自衛隊に配備したのは型落ち。軍拡財源法が国防ではなく、米国の兵器を買うためなのは歴然だ。
被災地で高まる復興税流用の懸念
財確法案を審議中の参院財政金融委員会は12日、福島市内で地方公聴会を開いた。岸田政権が東日本大震災の復興に充てる「復興特別所得税」の一部を事実上転用し、防衛財源を賄おうとしているからで、3人の公述人は次々に懸念の声を上げた。
福島県浪江町の吉田栄光町長は「去年、政府が決定した税制改正大綱で、復旧復興に寄与する財源は、責任を持って確実に確保するという文言が明記された。政府は復興・再生に向けた財源確保にしっかりと取り組んでほしい」と言葉を選んでいたが、岩手県陸前高田市でワイナリーを経営する及川恭平氏は「復興予算に充てる復興特別所得税を国防の財源に使うのは違うと感じる。食料や農業など10年後にどういった政策が必要か改めて考え、さらなる復興に向けた取り組みをお願いしたい」。原発事故被害の賠償を求めるいわき市民訴訟原告団長の伊東達也氏は、「復興特別所得税はいうまでもなく東日本大震災の復興のための税だ。本来の趣旨に全く反する軍事費に転用することは、おおかたの人から反対の声が上がっている」と怒りをあらわにした。もっともだ。3.11から12年経っても「原子力緊急事態宣言」は解除されておらず、いまなお3万人が避難生活を余儀なくされている。にもかかわらず、黙っていれば、被災地は置き去りにされかねない。
「安倍超え」に高揚し、強兵貧国路線をひた走る
法大名誉教授の五十嵐仁氏(政治学)はこう言った。
「岸田政権は採決の目安となる審議時間に達したとして強行突破しようとしていますが、防衛力強化の必要性は政府答弁では全く明らかになっていない。財政運営の単年度主義、目的外流用を禁じる財政民主主義にも反しています。こんな法案を通したら、確実に日本、そして日本国民は貧しくなっていく。強兵貧国路線をひた走ることに、どれほどの人が納得するのか。いい思いをするのは、兵器を払い下げる得意先が増え、競合国が消える米国だけ。中国の脅威をあおるだけあおってコトを構える気のない米国にいいように使われるかたわら、国民に増税を押し付けて社会保障は削る。ただでさえ定員割れしている自衛隊への志願者はさらに減っていくでしょう。岸田首相のやっていることは、空想的軍国主義なのです。基本のキから議論を積み重ねれば、軍拡増税をしてまで防衛費を膨張させる必要がないことはハッキリする。立法事実は存在しません」
防衛力の強化にもなりゃしないから、審議を尽くせばボロが出る。だから強行採決に走る。問題続出に頬かむりした改正マイナンバー法、入管難民法改悪もそうだった。財確法案がデタラメなわけである。軍拡に舵を切った第2次安倍政権は特定秘密保護法、安保法制、共謀罪の戦争3法をもれなく強行採決でまとめた。「安倍超え」に高揚する岸田は、悪辣なやり方をしっかり踏襲しているのである。
憲法改正せずに改憲的法整備
立正大名誉教授の金子勝氏(憲法)はこう言う。
「先週成立した防衛産業の生産基盤強化法によって、岸田政権は軍需産業の国有化に道を開いた。戦前の軍直轄兵器工場である工廠の事実上の復活で、その先にあるのは軍部の復活です。敵基地攻撃能力の保有、軍需産業の国有化、そして財政民主主義の形骸化。いずれも憲法に違反する。岸田政権は憲法を改正せず、改憲と同様の効果がある法整備をどんどん進めている。英国作家ジョージ・オーウェルがディストピア小説『1984』で描いた世界が現実になる恐ろしさを感じます。民主主義国家の中に、中ロとはまた違う専制システムがつくられつつある。今国会ではこの国のあり方を変える悪法が次々に成立し、何がなんだかわけが分からないうちに岸田政権の戦争体制に国民が巻き込まれてしまっています」
国会審議で次々と明らかになる憲法破壊の亡国法案の中身をロクに報じない大メディアは、岸田暴政に加担していると言っていい。
今国会の会期末まで1週間あまり。財確法案を最重要法案と位置付ける岸田自民は13日の参院財金委で採決する構えだが、立憲民主党は最大の対決法案として照準を定めている。衆院で委員長解任決議案や財務相不信任決議案を提出して徹底抗戦したように、参院でも同様の展開が想定される。委員長解任決議案、財務相問責決議案、首相問責決議案、さらには衆院に内閣不信任決議案を提出すれば、アッという間に会期末だ。野党第1党の座を狙う日本維新の会と、岸田にスリ寄る国民民主党は防衛増税には反対しても不信任には乗らないと突き放しているが、ここで政権の腰ぎんちゃくに惑わされたら万事休す。泉代表の胆力の見せどころだ。
一方の岸田は13日、閣議決定する「こども未来戦略方針」をめぐる会見を予定。財源の見通しもなく大風呂敷を広げた「異次元の少子化対策」で目先を変えようとは、国民をとことんナメている。
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