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※紙面抜粋
※2023年6月9日 日刊ゲンダイ2面
※文字起こし
我が世の春を謳歌(岸田首相)/(C)日刊ゲンダイ
一連の改正法の成立で利用範囲を事実上、無制限に拡大できるようになったマイナンバーカードをめぐるトラブルは底なしだ。最大2万円分を付与するマイナポイント事業につられて取得した人は、少なからず後悔しているんじゃないか。
デジタル庁がまとめた5月28日時点の集計によると、累計の申請は約9699万件に上り、人口に対する割合は77.0%に達した。交付は約9082万枚。健康保険証としても使う「マイナ保険証」の登録は約6272万枚で、登録率は69.1%。公金受取口座の登録は約5484万枚、登録率60.4%だという。
ポイント事業開始前、2020年6月末の交付率は16.8%に過ぎなかったから、この3年で急速に普及したのがよく分かる。ポイント付与の「アメ」、2024年秋に保険証を廃止して一本化する「ムチ」の効果は絶大だ。
岸田政権のもくろみ通り、「ほぼ全国民に」マイナカードが行き渡る中、マイナ保険証や公金受取口座の別人登録、証明書の誤交付、ポイントの誤付与などが次々と露呈。どれもこれも問題だが、最も深刻なのはマイナ保険証をめぐるトラブルだ。他人の情報がひもづけられていたケースが少なくとも7300件超も確認されている。
本人の同意なく登録された事例も複数起きていて、8日は栃木県塩谷町が町職員によるミスを発表した。不具合連発で機能不全に陥っているマイナ保険証しか手元になければ、適切な医療が受けられない可能性がある。
医師らでつくる全国保険医団体連合会(保団連)は保険証廃止に断固反対の立場だ。保団連の調査によると、マイナ保険証を医療機関で提示した際、資格が有効にもかかわらず登録データの不備などが原因で「無効」とされたケースが今年4月以降、全国で1429件も発生。
初診でマイナ保険証のみ持参した患者に対し、「無効」を理由に「いったん10割負担」を請求したケースは、東京都や千葉県などで少なくとも204件あったという。東京や長野などで「マイナ保険証に他人の情報がひもづけられていた」との回答が37件あった。誤った医療情報は誤診を誘発し、文字通り致命傷となりかねない。
暴力制度を暴力手法で完遂
ついに政権寄りの読売新聞までが保険証との一体化見直しの提言を始めた。社説(7日付朝刊)で〈身近な健康保険証を廃止し、トラブルが続出しているマイナンバーカードに一本化するのは無理があろう。廃止方針をいったん凍結し、国民の不安を払拭するのが筋だ〉と主張し、こう書いていた。
〈法律が成立したからといって、制度の見直しは不可能だ、と考えるのは早計だ〉
〈政府は1980年、納税者番号の一種「グリーンカード制度」を導入する法律を成立させたが、政財界から批判が噴出したため、5年後に法律で廃止した〉
アリバイ的な後出しジャンケンだろうが、法案成立後に明らかになるデタラメとウソ、上から目線で醜悪な河野デジタル担当相を見過ごせなかったのか。国会審議が終わった後に判明した「家族口座」をめぐる対応はデタラメが過ぎる。マイナンバーの口座ひもづけは「1人1口座」を原則としているにもかかわらず、システムの不備によって家族内で同じ口座を登録した事例が少なくとも13万件に上っている問題だ。
国税庁からの情報提供でデジタル庁は2月に把握していたのに放置。河野はデジタル庁側の落ち度を認めず、行政からの給付金などの支給が遅れる可能性をチラつかせ、「9月までに訂正をお願いしたい」と責任転嫁を決め込んでいる。
立正大名誉教授の金子勝氏(憲法)はこう言う。
「マイナンバーカードをめぐる問題は大きく2つある。法理論的な問題、技術的な問題です。マイナカードは申請に基づいて発行されると法律で定められている。取得を強制しないことが出発点だったのに、法規制をなし崩しにする保険証との一体化を打ち出し、取得を押し付けている。トラブルが相次いでいるのですから、いったん立ち止まって検証し、解決するのが道理なのに、そうした気配は全くありません。国民のあらゆる情報を吸い上げる暴力的なシステムの普及を暴力的な手法でやり遂げようとしている。岸田政権は国民に奉仕する内閣ではなく、国民に奉仕させる内閣だということが浮き彫りです」
コロナ禍に乗じた国民の情報掌握
「任意」から「強制」へ、そのくせ欠陥だらけ。このまま突っ走れば、岸田政権の命取りになる予兆がある。
そもそも、マイナンバーの大本は70年から検討され始めた国民総背番号制だ。国民一人一人に個別番号を割り当て、個人情報を一元管理するもので、脱税防止を理由にしたグリーンカード制度につながった。これがポシャると全国民に住民票コードを付番する住基ネットに形を変え、15年に全自治体で接続された。
この間、第2次安倍政権下の13年5月にマイナンバー法が成立。15年10月にマイナンバーの通知がスタートし、16年に交付が始まったが、普及率は伸び悩んだ。言うまでもなく、政府に対する国民の信頼がないからだ。そこで安倍政権が利用したのがコロナ禍だった。
20年7月に閣議決定した「世界最先端デジタル国家創造宣言」で〈危機に迅速に対応できる強靱な社会経済構造の一環として、マイナンバーカード・マイナンバーを基盤としたデジタル社会の構築を進める〉とし、22年度末までに〈ほとんどの住民がマイナンバーカードを保有している〉ことを目標に掲げた。
関連した有識者懇談会の中間論点整理では、デジタル社会への移行4原則のひとつに〈漸進主義ではなくショックセラピー型で抜本的に移行する〉との文言があり、国民の不安と混乱に乗じて一気にカード普及を推し進めようとしたのだ。
そうして20年9月に始めたのが、カード取得で5000円分を付与するポイント事業の第1弾。21年10月から保険証としての利用を本格開始し、22年3月には公金受取口座の登録をスタートしたものの、交付は人口の半数にも届かず。岸田政権下の22年6月に第2弾を始め、10月に保険証廃止方針を打ち出したことで、申請が急増した。旗振り役になったのが、他ならぬ河野だ。
「21世紀型赤紙」か「首輪」か
欠陥をひた隠しにし、ポイントをバラまき、取得強制に動いた背景にどんな企みがあるのか。政治評論家の本澤二郎氏はこう言った。
「マイナカードは『21世紀型の赤紙』と言っても過言ではありません。岸田政権は安保関連3文書を改定し、敵基地攻撃能力の保有や防衛費倍増を決め、米国と一緒に戦争のできる体制の完成に向かっている。仕組みはほぼ整えた。あとは、5年間で43兆円という途方もない防衛費の財源を工面するための国民の金融資産の掌握と徴税強化、そして人員を調達・統制するために国民のあらゆる情報を完全におさえる必要がある。
マイナカードはその手段で、危険極まりない。岸田首相はバイデン大統領のポチと言われますが、首相からすれば国民は政府のポチ。全国民にマイナカードという首輪をつけようとしているのです。『異次元の少子化対策』は、戦時中の『産めよ増やせよ』の発想ですし、防衛産業基盤強化法は軍需産業の国有化によって軍部復活を進めるようなもの。この10年で特定秘密保護法、安保法制、共謀罪法の戦争3法がまとまり、民主主義を根底から覆す国家主義が加速している。首輪を外さないと、また後戻りできなくなります」
防衛費倍増が実現すれば、米国、中国に次ぐ世界3位の軍事大国に躍り出る。この国は準戦時体制入りしていると言っても決して大げさではない。
狂った流れを止めるには、岸田を首相の座から引きずり降ろすことが先決だ。
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