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岸田政権が目論む退職金増税…「骨太の方針」に盛り込み“取れるところから取る”がミエミエ
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/324271
2023/06/09 日刊ゲンダイ
16日に閣議決定される予定とは冗談じゃない(C)日刊ゲンダイ
あと数年で定年退職──というビジネスパーソンは、愕然としているのではないか。岸田内閣が「退職金増税」を打ち出したからだ。
岸田内閣が7日に発表した「骨太の方針」の原案に、「成長分野への労働移動の円滑化」のためという名目で、退職所得課税制度の見直しが盛り込まれているのだ。
退職金は、所得税の課税対象となっているが、現行制度では「退職所得控除」によって税負担が軽減されている。「退職所得控除額」は、勤続年数によって決まっていて、勤続年数が長いほど優遇されるルールとなっている。とくに20年以上勤めると、控除額が一気に大きくなり、受け取れる退職金も増える。
ところが「骨太の方針」原案は、同じ会社に長く勤める人ほど優遇される現行制度は「成長分野への労働移動の円滑化」を妨げていると指摘し、見直すべきだとしているのだ。見直しされたら、勤続年数の長い勤め人は、実質「増税」となるのは明らかだ。「骨太の方針」は、自民党と調整し、16日に閣議決定される予定だ。
しかし、突然、ルールを変更するなど許されるのか。「退職金増税」によって、手元に残る金額が想定より減ったら、退職後の人生設計が狂う人も出てくるに違いない。それに「退職所得控除」が、本当に「転職の阻害要因」になっているのか、因果関係もハッキリしない。
それでなくても、この20年間で退職金は大きく減っている。1997年は平均2871万円だったが、2018年には1788万円と1000万円も減っている(厚労省調査、大卒)。
経済評論家の斎藤満氏はこう言う。
「多くのサラリーマンにとって退職金は、老後の生活資金でしょう。30年、40年と働いて、やっと最後にもらう退職金が制度変更によって目減りするのは理不尽ですよ。労働移動の円滑化を理由にしていますが、本当の狙いは増税でしょう。取りやすいところから取ろうというホンネがミエミエです。しかし、退職金増税をしたら、サラリーマンは生活防衛に走り、消費が冷え込むだけです。税収増を考えるなら、法人税増税や富裕層増税をすればいい。これでは中間層は、さらに細っていくだけです」
どこが「新しい資本主義」なのか。
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