http://www.asyura2.com/23/senkyo290/msg/650.html
Tweet |
実体のない「中道」という名の幽霊を追いかけて迷走する永田町政治 永田町の裏を読む
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/324156
2023/06/07 日刊ゲンダイ ※後段文字起こし
「中道」色を強調すると、立憲民主党が慌ててその後を追いかける…(日本維新の会の馬場伸幸代表と国民民主党の玉木雄一郎代表=右)/(C)共同通信社
近ごろ永田町に盛んに出没して各党にまとわりついているのは、「中道」という名の幽霊である。
日本維新の会は政策面で国民民主党と足並みをそろえる場面が増えていて、5月末にはLGBT理解増進法案を衆院に共同で提出した。自民・公明の与党案が「性同一性」、立憲の対案が「性自認」としているのに対し、その両方に共通する英訳である「ジェンダーアイデンティティー」と表現したのが苦心の「折衷案」なのだそうで、それを「我々は中道政党だ。現実的な落としどころを探る」(大塚耕平=国民政調会長)と説明している。
その狙いとして「両党は中道勢力としての活動や実績をアピールし、立民を『左派』と印象づけ」(5月27日付読売)て共産党側に押しやり票を減らす戦略なのだという。
同様のことは、安保・防衛政策でもすでに起きている。維新・国民両党は昨年12月7日と9日、「反撃能力」という名の実は「敵基地先制攻撃能力」の保有を容認する安保提言をそれぞれまとめ、岸田文雄首相に提出した。
すると焦った立憲は同20日に、敵基地攻撃能力が「専守防衛を逸脱する可能性がある場合は賛同できない」──裏返せば、それが専守防衛を逸脱しない場合は賛同する?──という謎めいた文言の「外交安保戦略」文書を発表。その取りまとめに当たった玄葉光一郎=元外相は「安保政策はもう少し中道に寄る必要がある」と述べた(3月23日付朝日)。
こうして、維新が国民を惹きつけて「中道」色を強調すると、野党第1党の立憲が慌ててその後を追いかけるという(私に言わせれば異様な)光景が繰り広げられつつある。
何が「異様」かと言うと、「中道」というのは、かつて55年体制下で右か左か、資本主義か社会主義か、親米か反米かなど百八十度正反対の価値観が政治的対立軸を形成していた時代に、その双方のイデオロギー過剰を批判して、より現実的で穏健な落としどころを探るという意味で一定の存在意義がないではなかった位置取りである。
ところが、宇野重規「日本の保守とリベラル」が指摘するように、左右対決が終わって保守対リベラルの競い合いが政治の主な磁場を成す時代となると「中道」はもはや死語と化してしまい、そんな道があると思って足を踏み込むとそこには何もなく、「あれれっ?」とか言っているうちに泥沼に沈むことになるのである。
高野孟 ジャーナリスト
1944年生まれ。「インサイダー」編集長、「ザ・ジャーナル」主幹。02年より早稲田大学客員教授。主な著書に「ジャーナリスティックな地図」(池上彰らと共著)、「沖縄に海兵隊は要らない!」、「いま、なぜ東アジア共同体なのか」(孫崎享らと共著」など。メルマガ「高野孟のザ・ジャーナル」を配信中。
▲上へ ★阿修羅♪ > 政治・選挙・NHK290掲示板 次へ 前へ
最新投稿・コメント全文リスト コメント投稿はメルマガで即時配信 スレ建て依頼スレ
▲上へ ★阿修羅♪ > 政治・選挙・NHK290掲示板 次へ 前へ
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。