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※紙面抜粋
※文字起こし
やっている感さえ醸し出せれば…(岸田首相)/(代表撮影)
やはり、少子化問題は「待ったナシ」だ。厚労省は2日、2022年の人口動態統計(概数)を発表。女性1人が生涯に産む子どもの推定人数「合計特殊出生率」は1.26(前年は1.30)で、05年と並び過去最低となった。より深刻なのは昨年1年間に産まれた子どもの数だ。前年から4万875人減り、77万747人。統計を始めた1899(明治32)年以来、初めて80万人を割り込んだ。
出生率、出生数ともに7年連続のマイナスという危機的状況なのに、岸田首相は自らの解散・総選挙戦略を最優先。1日に「次元の異なる少子化対策」の素案を公表したものの、「3兆円半ば」という支援拡充策の規模ありき。裏付けとなる財源は「年末までに結論を出す」と先送り。適当にお茶を濁して議論を回避したのである。
そのクセ、岸田は会合の直前に「若年人口が急激に減少する2030年代に入るまでが、少子化トレンドを反転できるラストチャンスだ」と記者団に意気込み、「持てる力を総動員してスピード感を持って取り組む」と格好をつけた。財源の具体化を持ち越しながら、「スピード感」とはどの口が言うのか。まずは言葉の意味を勉強してから発言した方がいい。
会合前日、岸田は唐突に来年度から3年間で集中的に取り組む「加速化プラン」の予算規模を3兆円から5000億円積み増すよう指示。今後の検討課題としていた「高等教育費の拡充」などを前倒しして盛り込んだ。追加プランはいずれも公明党が提言していたもの。衆院東京28区を巡る自公の候補者調整が決裂し、選挙の協力関係にもヒビが入った公明党への懐柔策にほかならず、全ては選挙のため。
所得制限撤廃、支給期間を高校卒業まで延長、第3子以降は支給加算──。1兆2000億円規模と見積もる目玉策の児童手当拡充をはじめ、有権者にバラマキ策だけを見せつけて、肝心の財源議論から逃げる。その狙いもミエミエだ。6月21日の通常国会の会期末や、今年秋の衆院解散の臆測がうずまく中、負担増に焦点が当たってしまえば選挙に不利となる。先送りこそ、選挙に勝つための最適解だったのだ。
とにかく岸田は来年秋の自民党総裁選の再選をにらみ、次の衆院選に勝つことしか考えていない。
先の広島G7サミットの大々的な政治利用も、そのため。少子化対策だって決して思い入れが強い政策とは言えず、選挙向けのパフォーマンスに過ぎない。反撃能力保有や原発回帰と同様、歴代政権が実現できなかったことを成し遂げ、総裁再選戦略に弾みをつけたいだけである。
少子化の要因を理解できない「おぼっちゃま」
権力維持の下心は、まさに「異次元」レベル。その証拠に、今年1月の念頭会見で唐突に少子化対策に取り組むと表明した際、岸田は何と言ったか。正解は「異次元の少子化対策に挑戦する」。「実現」ではなく、あくまで「挑戦」という表現にとどめた。意味するところは「できるか、どうかは分からない」。
岸田にとって少子化対策はしょせん、その程度のシロモノで、覚悟も信念もない。本気であれば、こんな「おためごかし」の少子化対策など打ち出せっこない。大体、子育て世帯に対する現金給付の拡充は、少子化対策に有効なのか。「見当違いも甚だしい」と言うのは、経済評論家の斎藤満氏だ。こう続ける。
「多くの専門家の指摘通り、少子化の最大の理由は未婚化です。要因の9割は未婚化・晩婚化とする研究結果もあるほどで、『結婚したい気持ちはあっても、経済的理由でできない』という若者が増えていることに尽きます。特に非正規雇用の若者の所得環境を改善し、将来不安を取り除くのが急務。国税庁の民間給与実態調査によると、正社員以外の平均給与は年間198万円ですよ。少なくとも『同一労働同一賃金』を徹底するなど若年層の所得改善を最優先に掲げるべきです。児童手当を拡充すれば子育て中の世帯が3人目、4人目を産むかといえば、そう単純な話ではない。岸田政権には『選挙に勝てるかどうか』というヨコシマな発想が根源にあるから、こんなばかげたバラマキ策しか出てこないのです」
祖父の代から続く、恵まれた政治一家に育った岸田“おぼっちゃま”に、「所得が低いから結婚できない」と悲観する若者の気持ちなど、決して分かるまい。ましてや、昨年暮れには首相公邸で親族一同を集めて「大忘年会」を開催した公私混同、特権意識ムキ出しの人柄なら、なおさらだ。
その際、いとことドンチャン騒ぎをしていた長男の翔太郎氏らと一緒にパジャマ姿でニンマリ、記念撮影に応じた写真が流出。2日発売の「フライデー」に報じられた。岸田は「私的なスペースで親族と同席したもの。不適切な行為はない」と言い訳したが、すぐそばでバカ息子たちが「組閣ごっこ」に興じる悪ふざけを黙認し、見過ごした疑いは晴れない。
嘘とゴマカシの政治はもう懲り懲り
岸田はすでに3人の子を持つ自分が、どれだけ人並み以上に恵まれた境遇を生きてきたかを理解しているのか。「異次元の親バカ総理」にすれば、「異次元」と位置づけた少子化対策は結局、選挙向けの方便ということ。「やってる感」さえ、醸し出せればOK。「異次元の金融緩和」など「異次元」好きだった安倍元首相のパクリとクサされた途端、「次元の異なる」と言い換えたように、「異次元」は単なる言葉遊びに過ぎないのだ。
結論を先送りした財源の一部を賄う手段として、健康保険料の上乗せを念頭に「支援金制度」の創設を検討しているのも、お門違いだ。健康保険制度とは病気になった際の出費に備え、加入者全体で保険料をプールし、支え合う仕組み。受益者が万が一に備えて負担し合う健康保険料を、別の財源にすることは許されない。なぜ、誰も異を唱えないのか。
法大名誉教授の五十嵐仁氏(政治学)はこう言った。
「防衛予算倍増の財源捻出に復興特別所得税や、新型コロナ対策の予備費を転用するのと同じ。純然たる『流用』で完全にタガが外れています。国民も慣れっこになってはダメ。75歳以上の人が加入する後期高齢者医療の保険料からも上乗せ徴収し、児童手当の財源に充てることに、正当性はない。『支援金』なる名称で『孫のために小遣いをあげる』ような良い印象を植え付けようとしているのも、後ろめたさの表れです」
保険料上乗せの「禁じ手」を繰り出しても捻出できる財源は1兆円程度。「加速化プラン」に必要な3.5兆円にはほど遠い。足りない分は当面、借金で賄うというが、少子化対策のツケを次世代に回すというのは大いなる矛盾だ。加えて素案には、岸田が目標に掲げた「子ども予算倍増」について、こども家庭庁の今年度予算(約4兆7000億円)をベースとし、30年代前半での達成を目指すことも盛り込まれた。
どう考えても、安定財源の確保には将来の増税が不可避だ。それでも岸田は「国民に実質的な追加負担を求めることなく、少子化対策を進めていく」と言ってのける。当然、選挙に不利になるような材料を与えたくないだけ。逆に選挙に勝ちさえすれば、平気な顔して「大増税路線」に方針転換しかねない。
「増税を避けて通れないのなら、選挙で民意を問うのが筋です。それを隠し通して勝とうとするのは、本来の選挙の在り方に反します。嘘と詭弁のゴマカシ政治には、もうこりごりです」(五十嵐仁氏=前出)
岸田は少子化対策を「国の基本に関わる最重要政策課題」に位置づけた。政治生命を賭けたも同然で、選挙をしたくてムズムズしているのなら、堂々と「増税」で信を問うべきだ。
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