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※2023年5月22日 日刊スポーツ21面 紙面クリック拡大
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ゼレンスキー大統領「バフムトでも将来必ず、広島のような復興がある」/会見要旨
https://www.nikkansports.com/general/news/202305210002246.html
2023年5月21日22時52分 日刊スポーツ
記者会見するウクライナのゼレンスキー大統領(共同
ウクライナのゼレンスキー大統領が21日に行った記者会見の要旨は次の通り。
【冒頭発言】
親愛なる日本国民の皆さん。平和を大切にする世界の皆さん。私は(原爆の強烈な熱線で残った)「人影の石」となる危機に陥った国から来た。
人類は長い歴史で多くの命を戦争で失った。人が人を死なせてきた。人類の歴史から戦争をなくさなければならない。
今、ウクライナは破滅的な戦争の中心にある。侵略者はウクライナ人を支配下に置くだけでなく、ウクライナ人そのものが存在しないと世界にうそをついている。ウクライナ人が勇敢でなければ、ウクライナがあった所に人影の石だけが残っていたかもしれない。
敵がウクライナに使っている武器は核兵器ではないが、全焼したウクライナの町は広島の町、原爆資料館を訪れた時に見た写真に似ている。数万人がいた所に残るのは灰とがれきだ。
今の広島は再建された。私たちはウクライナの再生を夢見ている。領土奪還が夢だ。「(ウクライナの)北方領土」を奪還したのと同様、東と南の領土も奪還したい。
ロシアで捕虜となった軍人、民間人、強制移住させられた大人と拉致された子どもを帰還させたい。勝利と、その後の平和が夢だ。
ロシアは文明的なものを全て破壊した。1年前からわが国にある欧州最大の原発が占拠されている。ロシアはテロ国家だ。原発を盾にしてウクライナの町を攻撃するのもロシアだ。こうした恐ろしい犯罪を無視することはできない。ロシアの悪と愚かさに対処しない限り、世界が廃虚になる。
ロシアが世界最後の侵略国になるように。この戦争が終わり、世界平和が続くために。自分たちのため、子どものため、孫のために平和がほしい。人影の石が資料館でしか見ることができなくなるように。国境が認められるように。
広島では今、街角にウクライナ国旗の色が見えるが、ウクライナに対する信頼の表れだ。日本の皆さん、岸田文雄総理、ありがとう。戦争の犠牲になった全ての人が安らかに眠れるように。平和になるように。
【質疑応答】
Q バフムトでの戦闘は続いているのか。
A バフムトについて作戦的なことはここで共有できないが、もうすぐウクライナが勝利する。
Q F16戦闘機の引き渡しは可能になったのか。
A いつ供与されるか言えないが、その加速のために努力したい。
Q 原爆資料館で印象に残ったものは。
A 広島の写真はバフムトに似ている。どこに建物があったか想像できない。完全な破壊。人も誰もいない。(広島は)今は平和な街になっている。バフムトでも将来必ず、広島のような復興がある。広島の街に似ているのが今のドンバスの光景。
Q 帰国して伝えたいことは。
A 大変恐ろしい内容の写真がたくさんあった。小さい子どもたちを見ると涙が出る。ウクライナでも毎日このような写真を見る。どうして人間が、特に子どもたちにこんな恐ろしいことができるのか理解できない。
Q G7からは兵器の供与を取り付けたか。
A 具体的には言えない。
Q オーストラリアなどとは何を話したか。
A オーストラリアとは作業を始めている。ロシアのプロパガンダに対抗し、ウクライナの立場が理解されるよう努力する。
Q 電撃訪問で、核軍縮から注意がそがれたとの指摘がある。
A 招待されての訪問だ。オンライン参加の可能性も高かった。セキュリティー上の制約があり発表できなかった。
Q 日本に最も求めたいことは。
A 一番期待しているのはやはり技術。長期的なインフラ発展のプロジェクトも必要。エネルギー、鉄道、開発、医療分野などについても岸田首相とも話した。将来、効果が期待できると思う。(共同)
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電撃訪日実らせゼレンスキー大統領流「直談判外交」滞在わずか1日で成果 世界に強烈な印象
https://www.nikkansports.com/general/nikkan/news/202305210001940.html
2023年5月21日19時57分 日刊スポーツ
G7広島サミットの記念撮影で、ウクライナのゼレンスキー大統領(右)と言葉を交わす岸田首相(共同)
ウクライナのゼレンスキー大統領は21日、広島市の平和記念公園を訪れ、原爆資料館を視察した。
視察後の会見で「ウクライナの街は、資料館で見た写真の広島の街の風景にとても似ていると思った」と述べ、ロシアの攻撃を受けている自国の惨状を訴えた。
陥落情報もある激戦地バフムトを例に挙げ「家があった場所には、がれきだけ。生きている者も建物もない完全な破壊だ」と述べ「広島は(原爆の被害から)再建された。がれきだらけの私たちの街の再建が夢だ」と、広島の今の姿に自国の復興を重ねる場面もあった。戦後復興での日本の技術支援にも期待を示した。
会見では和平への努力の必要性も問われたが、ゼレンスキー氏は「人類の歴史から戦争をなくさないといけない」としながらも「勝利が夢だ。ロシアがウクライナ領土にいる限り協議の対象になり得ないと、理解してほしい」と訴えた。
原爆資料館訪問や岸田首相との会談、記者会見などはG7サミット閉幕後、ゼレンスキー氏のために設定された日程。当初はオンライン参加予定が、サミット2日目に電撃訪日。それ以降、広島サミットは「ゼレンスキーのためのサミット」に色合いが変わった。
広島にはロシアに厳しいG7各国だけでなく、中立的立場のインドのモディ首相などもいた。幅広い国からの支援を取り付けたかったゼレンスキー氏は「多くの協議のテーマがウクライナだった。私も出席しないといけないと思った」と訪日の背景を語った。
広島到着後、短時間のうちに、欧米諸国やインドなどと精力的に協議。バイデン米大統領はこれまで慎重だった、欧州同盟国による米国製F16戦闘機の供与を容認する方針や追加の軍事支援を表明。英国はウクライナ軍パイロットへのF16関連訓練開始を今夏に開始することを決めるなど、ゼレンスキー氏は一定の支援への約束を取り付けた。
21日の会合の写真撮影では、中央の岸田首相の真横に立った。広島での成果を得て今後、ロシアへの反転攻勢へ準備を加速させるが、反発は避けられず戦況は予断を許さない。それでも、たった1日の「直談判外交」で世界に強烈な印象を残したゼレンスキー氏。この日夜、来た時と同じフランスの政府専用機に乗り込み、広島を後にした。【中山知子】
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