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※紙面抜粋
※2023年5月17日 日刊ゲンダイ2面
※文字起こし
藤島ジュリー景子社長(提供・ジャニーズ事務所)
謝罪しているように見せながら、実際はポーズだけで微妙に論点をずらす。安倍政権以降、不祥事が発覚した際に閣僚や自民党国会議員がメディアの前で当たり前のように見せてきた姿と変わらない。そう感じた国民は少なくないだろう。
ジャニーズ事務所の元所属タレントの男性が、ジャニー喜多川前社長(2019年死去)から性被害を受けたとして告発した問題を巡り、公式サイトに公開した動画で頭を下げていた藤島ジュリー景子社長のことだ。
「事務所の存続さえ問われる、極めて深刻な問題だと受け止めた」
「被害を訴えられている方々に深く、深くおわび申し上げます」
こう謝罪した藤島社長だったが、書面での一問一答では、喜多川氏が故人のために確認できないとして性加害の事実認定を避け、自らの辞任についても、「今すべきはこの問題から逃げることなく、被害を訴えてこられた方々に向き合うこと」として否定。要するに謝罪の言葉を口にしたものの、今後、第三者委員会などを設置して改めて被害の実態を調査する気はなく、辞任する気もないらしい。
会見も開かず、自身は性加害の事実については「知らなかった」と主張していたが、この動画で、一体どこの誰が「はい分かりました」と納得するというのか。
「なんちゃって謝罪」を報じている大メディア
再発防止策として、社外取締役を迎え入れて経営体制の見直しを進め、被害の相談を受ける外部窓口を月内に設けることを明らかにしたものの、騒動のほとぼりが冷めるまで、時間稼ぎしたい──。国会や永田町で自民議員が繰り返し見せてきた、そんな思惑、本音が透けて見えるかのような会見だった。
そして、その「なんちゃって謝罪」とも言える動画を大きく報じている大メディアも大メディアだろう。
<ジャニーズ事務所が公式謝罪><藤島ジュリー景子社長が公式サイトの動画で説明>
動画公開を機に大新聞、テレビは一斉に大騒ぎしているのだが、ちょっと待て。そもそも、ジャニー喜多川氏による性加害の問題は芸能界では長い間、指摘されていたことだ。「週刊文春」は2000年前後にこの問題について連載記事を掲載。ジャニーズ側が名誉毀損で文春を訴えたものの、04年に最高裁で性加害はあったと認定されている。それなのに、NHKや民放、大新聞はほとんどスルーしてきたわけでとっくに知っていたジャニーズの性被害を今ごろ、バカ騒ぎしているのだから鼻白んでしまう。
それでいて、その報道姿勢もどこか腰が引けているからワケが分からない。
4月に日本外国特派員協会で自らの被害について会見した元ジャニーズJrのカウアン・オカモトさんの告発が事実であれば、実態は「連続児童性虐待事件」と言っていい重大問題だ。ところが、ジャニーズ事務所を連日、取り囲んでカメラを向けることもなく、記者会見を強く要求するわけでもない。「とりあえず報じた」というアリバイ程度の報道ばかりだ。
立教大の服部孝章名誉教授(メディア法)がこう言う。
「この問題はずいぶん前から指摘されていたわけで、メディアもきちんと取り上げてこなかった。つまり、メディア自身の問題でもあるのです。その反省や自戒がメディアからは感じられないし、改めて調査報道しようとする構えもない。今のメディアは発表モノばかり報じることに慣れてしまっていて批判的視点がない。取り返しのつかない状況になりつつあります」
政治が腐敗する前段階には言論の腐敗がある
この国の大メディアのイカれ方がよく分かるのは、今ごろジャニーズの性被害問題を取り上げているアホらしさだけではない。ジャニーズがニュースを席巻する中で、肝心の政治批判がからっきしだということだ。
立憲民主党は16日、防衛費増額のための財源確保法案について「問題がある欠陥法案だ」として、鈴木俊一財務相の不信任決議案を衆院に提出。衆院財務金融委員会は流会となった。立憲の安住国対委員長は記者団に「廃案とすべき法案だと思っており、あらゆる手段を講じて採決を延ばしていく」と強調。徹底抗戦する姿勢を鮮明にした。
大メディアはこの不信任決議案について、キワモノ扱いのごとく淡々と報じ、一部は「与党は不信任案を18日の衆院本会議で否決する見通しで、法案の衆院通過はずれ込む」と踏み込んでいたが、なぜ、財源確保法案のデタラメをきちんと報じないのか。
政府は、2023年度からの5年間で総額43兆円の防衛費を確保する方針で、同法案は、24年度以降の財源の一部を賄うため、税外収入を積み立てる「防衛力強化資金」の新設を盛り込んでいる。さらに政府は27年度に1兆円強の増税を行う考えだから、マトモな感覚を持ったメディアであれば、法案の詳しい解説はもちろん、「安易な防衛増税はやめろ」「国民に負担を押し付けるな」と声を上げるべきだろう。にもかかわらず、ジャニーズ問題同様、野党の不信任決議案をアリバイ的に伝えているだけだから唖然呆然だ。
メディアは権力の監視という矜持を捨てた
19〜21日に広島市で開かれる主要7カ国首脳会議(G7サミット)についての報道も、一大イベントのような取り上げ方ばかりが目立つが、果たしてそうなのか。
会議の議題はウクライナ問題も含まれており、G7はこれまで以上に対ロ制裁を強める方針が確認される。また覇権主義的な行動を強める中国に対しても対峙する姿勢を打ち出すとみられているから、これまでのG7声明より踏み込んだ内容になるのは容易に想像がつく。米タイム誌が報じた通り、岸田首相が何十年も続いた平和主義を捨て去り、本物の軍事大国へ邁進する中で、ロシアや中国といった隣国をさらに刺激するような動きを見せることが今後、どんな意味を持つのか。
今こそ、メディアには冷静な分析が求められているのに、そういったサミットの危うさはてんで報じられていない。
物価高と低賃金で苦しむ国民そっちのけで防衛費を倍増。軍備を増強し、専守防衛を放棄。北朝鮮や中国などの軍事的脅威をあおり、国民の判断力を麻痺させ、自衛隊を米軍従属部隊にするかのような違法、脱法の既成事実を積み重ねている岸田政権。その問題を何ら追及せず、傍観している報道は、ジャニーズ問題をスルーしてきた姿勢と変わらないだろう。
「権力の監視」というメディアとしての矜持を捨てたのか、失ったのかは分からないが、後になってから大騒ぎしても手遅れだということがなぜ、分からないのか。
元東京タイムズ編集局次長で政治評論家の本澤二郎氏がこう言う。
「歴史が示す通り、政治が腐敗する前段階には言論の腐敗がある。国民生活のための言論が失われれば、権力はやりたい放題。今のメディアは総じて政治権力の言いなり。これでは民主主義は成り立たない。本当に深刻な状況です」
大本営発表の時代に逆戻りなんて冗談ではない。
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