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岸田首相の“お笑い”AI戦略 マイナカード運用グダグダなのに「サミットで活用議論を主導」
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/323021
2023/05/16 日刊ゲンダイ
いっそ「チャットGPT」に任せたら?(岸田首相)/(C)日刊ゲンダイ
「サミットで合意し、『広島AIプロセス』を早急に始動させたい」──。今週末に広島G7サミットが控える中、岸田首相は15日、報道各社のインタビューに応じ、「チャットGPT」などの生成AIのルール作りについて意気込みを語った。足元ではデジタル後進国ぶりを発揮しているのに、大丈夫か?
AI活用をめぐる岸田首相の気合はハンパじゃない。従来「G7議長国として(AIの)共通理解やルール作りにリーダーシップを発揮することが求められる」と表明し、15日のインタビューでも「日本が議長として責任ある形で活用の議論を主導し、今後の道筋を示したい」と気張っていた。
しかし、いくら鼻息が荒くても、とてもじゃないが日本がデジタル分野やAI活用の議論を主導できる立場ではない。マイナンバーカードの普及をゴリ押ししている割に、まともに運用すらできていないからだ。
マイナカードをめぐっては、15日も新たなトラブルが判明。新潟市によれば、コンビニでマイナカードを使って印鑑登録証明書を発行した際、廃印処理したはずの印鑑証明書が交付されるトラブルが12日までに3件確認されたという。
マイナ保険証、リモート対応もグダグダなのに…
トラブル続出、足元ではデジタル後進国ぶりを発揮しているのに…(C)共同通信社
マイナカードと健康保険証を一体化させた「マイナ保険証」も問題続きだ。
厚労省によれば、マイナ保険証を医療機関で使った際に別人の情報がヒモ付けられていたトラブルは、本格運用が始まった2021年10月から22年11月の間に7312件。21年3月以降のプレ運用でトラブルが相次いだことを受け、誤入力を防ぐチェックシステムを導入済みだが、それでも7000件余りの誤りが続出するという体たらくだ。
ITジャーナリストの井上トシユキ氏がこう言う。
「IT業界は建設業と同じように、あるシステムの構築を受注した業者から仕事が2次請け、3次請けと回されていきます。受注者への業務丸投げが構造的に常態化しているのです。かつて社会保険庁の年金記録問題では、人手の運用があまりにずさんだったことが年金記録の入力ミスにつながりました。マイナ保険証をめぐっても、同じ失敗の轍を踏んでいるのではないか。発注した政府側に、マイナンバーの誤入力をチェックするだけの知識や経験を持った人材がいるのかどうかも疑問です」
個人情報さえ安全に扱えない日本政府が、AI活用のルール作りを主導するなんて、とんだ“お笑い”だ。
リモート対応をあきらめた文化庁
問題は、マイナンバーに限らない。京都に移転した文化庁も、デジタル後進国の典型例だ。
15日から移転先での本格稼働を開始した文化庁は昨年2月の国会会期中、京都へ行く部署の職員を対象に、貸しオフィスで勤務してもらいながらリモート対応の課題を2週間にわたって検証。17回あった国会議員へのレクや政党の会議への参加は、ただの1回もリモート対応できなかったという。ちなみに、政府は国民に「リモート」「オンライン」の推進を呼びかけている。
検証をもとに文化庁が出した答えは、まさかの「対面対応の継続」。リモート対応が難しく東京に出張するケースが年間1400回に上ると見込み、今年度の予算に約4300万円を盛り込んだ。「ホワイ ジャパニーズ ピーポー!?」のツッコミが聞こえてきそうだ。
「システム運用もリモート対応も満足にできないのに、AI活用のルール作りの何を主導できるのでしょうか。サミット議長国とはいえ、できもしないことでイニシアチブを取ろうとしていませんか? と思います」(井上トシユキ氏)
AIシロートの岸田首相よりも、それこそチャットGPTが「ルール作り」を主導した方が有意義な議論になるんじゃないか。
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