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※紙面抜粋
※2023年5月11日 日刊ゲンダイ2面
※文字起こし
安倍元首相よりヒドイ…(岸田首相)/(C)日刊ゲンダイ
6月21日の会期末まで土日を除くと実質30日余りとなった国会で、政府・与党が「天下の悪法」と呼ばれる法案の成立に向けた動きを加速させている。9日の衆院本会議では、立憲民主、共産両党の席から「改悪反対」との怒声が飛び交う中、外国人の収容・送還ルールを見直す「入管難民法改正案」が与党や日本維新の会、国民民主などの賛成多数で可決、参院に送付された。
改正案では、難民認定手続き中は送還を停止する規定に例外を設け、申請が3回目以降なら送還を可能とするほか、送還対象者を入管施設に原則収容する仕組みを転換。親族や支援者ら監理人の監督の下、収容せずに送還手続きを進める監理措置制度を導入し、施設に収容する場合も、3カ月ごとに必要性を判断し、監理措置への移行を検討するという。
松野官房長官は会見で、「保護すべき者を確実に保護しつつ、ルールに違反した者には厳正に対処できる制度」と説明していたが、今回の改正案は2021年に「保護すべき外国人まで送還されかねない」と反対意見が出て提出が見送られた時の法案と骨格が変わらない。このため、立憲民主の米山隆一議員は4月下旬の衆院法務委で、「難民認定を2回認められなかった人が直ちに送還される危険性がある。母国で迫害を受ける恐れがある人には死刑執行に等しい」と問題点を指摘し、廃案を求めていたが、政府側が押し切った。
岸田政権は国民を困らせる政策には一生懸命
政府が昨年12月に策定した国家安全保障戦略で「防衛力そのもの」と位置づけ、強化することを掲げた防衛産業の生産基盤強化法案も9日に衆院を通過。生産基盤強化との言葉でごまかしているが、要するに政府が武器を開発、生産する国内の軍需産業を財政的に支援しようという「軍需産業支援法案」と言っていい。
参院本会議で10日、趣旨説明と質疑が行われ、審議入りしたのが、既存原発の「60年超」運転を事実上可能にする「GX(グリーントランスフォーメーション)脱炭素電源法案」。
既存原発の運転期間を「原則40年、最長60年」と定めた現行ルールを基本としつつも、安全審査などに伴う停止期間を算入しないことで事実上「60年超」運転を可能にする原発推進、原発回帰の悪法だ。岸田政権が掲げる「2023年度から5年間で防衛費を43兆円確保する」──との方針を受け、24年度以降の防衛費増額に必要な財源として税外収入を積み立てる「防衛力強化資金」の新設を定めた「防衛財源確保法案」もこの日、衆院財務金融委で採決が行われる予定だったが、立憲民主、共産両党が塚田委員長(自民)の解任決議案を衆院に提出。財金委は流会となり、法案の委員会採決は来週に先送りとなった。
政府が今国会成立を目指す法案は60本で、このうち8日までに26本が成立。政府・与党は延長なしで残りの法案を成立させようとイケイケドンドン。ロクな審議もしないまま突っ走るつもりだから冗談ではない。
政治評論家の本澤二郎氏がこう言う。
「安倍政権も酷かったが、岸田政権はそれ以上に悪質と指摘せざるを得ません。国民に寄り添うような政策は何もやらず、人権無視と増税という国民を困らせる政策には一生懸命取り組んでいる。もはや主権在民という言葉すら忘れているのではないかと思うほどむちゃくちゃです」
「新しい戦前」がいよいよ現実味を帯びてきた
後半国会で審議する悪法はまだある。年収153万円超の75歳以上の高齢者を対象に医療保険料を引き上げる「健康保険法等改正案」、健康保険証を廃止してマイナンバーカードに置き換える「マイナンバー法改定案」……などで、許せないのは、こうした法案について、入管法改正案と同じく、政府、与党に野党の反対意見に真摯に耳を傾ける姿勢が見られないことだ。
例えば、「防衛財源確保法案」をめぐり、衆院財金委で委員長の解任決議案が提出された理由は、塚田が採決前の地方公聴会の開催にすら応じず、採決を強行しようとしたためだった。
政府は防衛財源を巡り、27年度に1兆円強の増税を行う方針も示している。これに対し、メディア各社の世論調査では、防衛増税に反対する意見が続出しているわけで、野党側が要求するように国民の関心が高い防衛財源については公聴会を開いて国民の声を聞くのは当たり前ではないか。
ところが塚田は「既に35時間以上の質疑を終え、審議を尽くしてきた」などと平然と言い放っているから唖然呆然。国会審議で重要なのは質疑の時間ではない。中身なのだ。その審議を主導、差配する立場の委員長が「時間が経ったから強行採決」との考えで民主主義が成り立つはずがないだろう。
安倍政権以降の政府が打ち出す政策は、違憲や合理的に説明できないことばかり。当然、マトモな質疑は成り立たず、時間が過ぎたら一丁上がり。
安倍政権以来、完全に壊されたこの国の民主主義だが、岸田政権になって、それが当たり前のように定着しつつあるから恐ろしい。
政府に舐められっぱなしのメディア
もっとも野党も野党で足並みはバラバラ。衆院財金委の委員長を巡る解任決議案でも維新と国民は採決に応じる考えを示し、解任案についても反対を表明。防衛増税でも、立憲民主や日本維新の会など野党4党は反対方針で一致したものの、立憲と、防衛力強化には賛成の維新では温度差がある。これでは与党のやりたい放題になるわけで、ほぼ大政翼賛会となった今の国会は完全に機能停止状態。民主主義はもはや風前のともしびだ。
機能不全に陥った政治を立て直すのは本来、メディアの役割なのだが、そのメディアも政府に舐められっぱなし。新型コロナの感染症法上の分類を5類に移行した後も、官房長官会見への出席人数の制限継続を突きつけられ、首相会見で質問できなかった社への書面回答の中止を通告されても抗議すらしない。挙げ句、「民放の雄」とされる日本テレビが、13日放送の同局のバラエティー番組に岸田首相が出演すると発表したから驚いた。
しかも、「現役の総理が出演するのは、今回が初めて。普段ニュース番組で見かける総理がバラエティー番組に登場するのは異例のこと」と強調し、「岸田総理が“先生”として教えます!」などと呼びかけていたからクラクラしてしまう。忖度なのか、媚びへつらっているのか分からないが、さながら北朝鮮やロシアのような専制主義国家でみられる異様な風景と言わざるを得ないだろう。
ジャーナリストの横田一氏がこう言う。
「今のメディアはまさに大本営状態。私が現地で取材した日韓首脳会談の報道も岸田ヨイショばかりです。韓国では、福島原発汚染水の海洋投棄や歴史問題について岸田首相の認識を厳しく問う論調が少なくありませんでしたが、日本メディアではそういった記事はほとんど見られない。今の国会についても、ほぼオール与党化している状態が果たして正常なのか。そういう視点でメディアが問題提起するべきなのに何もしない。情けない限りです」
新しい戦前が確実に近づいているようだ。
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