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憲法論議がいまひとつ盛り上がりに欠ける3つの理由 永田町の裏を読む
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/322729
2023/05/10 日刊ゲンダイ ※後段文字起こし
改憲派(左)と護憲派、盛り上がらない…(C)共同通信社
今年の5月3日(憲法記念日)前後の憲法論議は、いまひとつ盛り上がりに欠けたという印象がある。第1の理由は、改憲の旗振り役だった安倍晋三元首相の不在だろう。
2013年の「96条お試し改憲」論、14年の9条解釈変更による集団的自衛権容認の閣議決定と15年の安保法制強行、16年の参院選大勝を背景にした17年の安倍流「改憲4項目」提案……とまぁ手を替え品を替え、どこからでもいいからとにかく憲法に一太刀浴びせたい一心でドタバタし続けた安倍がいなくなって、櫻井よしこはじめ改憲派の面々もどうも声に力が入らない様子である。
第2の理由は、岸田文雄首相の不熱心である。彼は3日の改憲派の集会にビデオメッセージを寄せ、「憲法改正に向けた機運をこれまで以上に高めていくことが重要」と口では言うけれども、そこから先は安倍流「4項目」を並べただけのおざなりの内容に終わった。彼が本当にやる気ならば、「敵国攻撃」用のトマホーク・ミサイルを400発も保有することが「専守防衛」の範囲内であるとの政府見解に自民党のベテラン議員からも批判が出ている状況にきちんと向き合って、憲法上認められる専守防衛とはいかなるものなのかを堂々と論じて、党内のみならず国会も国民も説得するよう努めるべきだったが、そこから逃げてしまった。
第3の理由は、野党のだらしなさ。立憲民主党は「敵基地攻撃能力」の保有を認めないとしつつも「長射程ミサイル」の保有は認めるというよく分からない方針を決めている。その理由を同党幹部に尋ねると、「いや、一定の抑止力は必要だから」と言う。「一定とはどのくらい?」と聞き返しても答えはない。さらに私が「抑止力と簡単に言うが、それはつまり『武力による威嚇』で、9条で禁じられているはずでしょう」と畳み掛けても、答えはない。これでは岸田の曖昧戦術を追い詰めることなどできるはずがない。
朝日新聞が連載した「憲法を考える」の5月4日付第6回で、蟻川恒正・日本大学教授は「9条の『陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない』という規範は、日本が武力行使以外の選択肢を考え抜く知性を鍛えてきた。……軍事化への道を封じたからには、政治や外交で局面を打開する方途を決死の覚悟で探し出さなくてはならない」と語っている。野党第1党がこういう覚悟を持たないのでは先行きは暗い。
高野孟 ジャーナリスト
1944年生まれ。「インサイダー」編集長、「ザ・ジャーナル」主幹。02年より早稲田大学客員教授。主な著書に「ジャーナリスティックな地図」(池上彰らと共著)、「沖縄に海兵隊は要らない!」、「いま、なぜ東アジア共同体なのか」(孫崎享らと共著」など。メルマガ「高野孟のザ・ジャーナル」を配信中。
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