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肝いり少子化対策が大迷走…財源めぐり自民・茂木幹事長と加藤厚労相がサヤ当ての醜悪
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/322658
2023/05/09 日刊ゲンダイ
結局、どうする?(左から自民党の茂木敏充幹事長、加藤勝信厚労相)/(C)日刊ゲンダイ
岸田首相が「最重要課題」に掲げる少子化対策をめぐり、肝心要の「財源論」が迷走している。政府は「将来的に子ども予算倍増」をうたっているだけで、具体的に何をいつまでに倍増するのか、いまだ不明なまま。政権幹部が財源をめぐって好き勝手に自説を開陳している醜悪ぶりだ。
◇ ◇ ◇
「具体的な検討を深めているところであり、今の段階で個別の財源で何か申し上げられる段階ではない」
岸田氏は8日、少子化対策の財源について詳細な回答を控え、「徹底した歳出の見直しが大前提だと考えている」と説明。従来通りの立場を繰り返した。
政府は財源について、来月まとめる「骨太の方針」で大枠を示すとしている。年金や医療などの社会保険料に上乗せする案が有力視されており、消費増税や国債発行なども俎上に載る。
財源次第では負担増を強いられる国民のヤキモキをよそに、政権幹部は醜いサヤ当てを演じている。自民党の茂木幹事長と加藤厚労相だ。
財源として社会保険料の拠出に言及している茂木氏は「既存の保険料収入の活用でできる限り確保したい」として、新たな基金の創設を検討中。8日の会見でも「財源をどう管理し、運用するかという観点から、基金はひとつの考え方だ」と強調した。
この「茂木論」を加藤氏は“牽制”。7日に出演したフジテレビ系「日曜報道 THE PRIME」で、「年金や医療に使う金を子ども(政策の財源)に持っていくというのは、正直余地はない」などと主張した。
「茂木さんは『ポスト岸田』に色気を見せており、政策的な中身よりもパフォーマンス先行。加藤さんは社会保険を管轄する厚労省のトップとして、省の立場を説明したのでしょう。岸田さんが根回しもせずに『異次元の少子化対策』『子ども予算倍増』をブチあげ、最重要の財源論を先送りにしたせいで、いよいよ収拾がつかなくなってきています。それぞれが勝手なことを言っていては、財源をめぐって政府内が大モメになるのは避けられないでしょう」(自民党関係者)
「2023年度から今後5年間で43兆円」という結論ありきで、防衛費増額の財源はすんなり決めたクセに、少子化対策の財源をめぐってはグダグダ。岸田氏は少子化を「待ったなしの課題」と位置づけているが、いかにやる気のないことか。
消費増税と資産課税の強化が現実的
根回しもせずぶち上げるから…(岸田首相)/(C)日刊ゲンダイ
実際のところ、財源はどうしたらいいのか。
人口問題に詳しい、日本総研上席主任研究員の藤波匠氏がこう指摘する。
「1〜2年の短期は、歳出削減と税収の自然増で賄えると考えられますが、安定的な恒久財源となると、消費増税と資産課税の強化が現実的ではないか。社会保険料を活用すると、企業と労働者の負担増、賃金抑制へとつながりかねません。足元では結婚や子どもを持つという選択肢を選べない若者が増え、子どもを持つ家庭が中高所得世帯に偏っている状況です。したがって、若者の雇用や賃金の改善が重要です。消費税を上げるにしても、若者に還元される仕組みづくりと、時間をかけた丁寧な議論が欠かせません。それこそ選挙で信を問うべきでしょう。消費増税は政治マターになるため、政府・与党としては負担を求めやすい社会保険料を軸に検討しているのでしょうが、国民に負担をお願いするのなら、政府・与党にとって手間のかかる消費増税について国民に信を問い、説明を尽くすことが政治の責任ではないか」
少子化が「最重要課題」「待ったなしの課題」であればこそ、政争の具にしてはならない。
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