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財源確保法案とはハイパーインフレを招いた“戦前の特会”さながらのマネロン手法なのだ 金子勝の「天下の逆襲」
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/322661
2023/05/09 日刊ゲンダイ ※後段文字起こし
日本は世界第3位の軍事大国になる必要があるのか(右は、購入予定の巡航ミサイル「トマホーク」)/(C)共同通信社
先月21日に開かれた衆院財務金融委員会に参考人として出席した。岸田政権が閣議決定した防衛費倍増を裏付ける財源確保法案を審議する場だったので、問題点を指摘させてもらった。
岸田政権は2023年度から5年間の防衛費を43兆円に引き上げることを決めた。実現すれば世界3位の軍事大国に躍り出る。専守防衛を国是とするこの国が、なぜそれほど巨額の防衛費を積み上げなければならないのか。
高額兵器の購入費などを複数年度に分割して支払う軍事ローン「後年度負担」を第2次安倍政権が膨張させたことが背景にある。2013年には3.2兆円だったのが、22年には5.9兆円に倍増。安倍元首相はなし崩しの防衛費倍増を狙い、台湾有事は後付けだったことがうかがわれる。
財源もデタラメだ。43兆円のうち、新たに必要な財源は17兆円。歳出改革で3兆円、決算剰余金の活用で3.5兆円、防衛力強化資金で4.6兆〜5兆円をまかない、増税で4.4兆円を調達するとしている。表向きは赤字国債を財源とはしないものの、閣議決定だけで支出できる予備費を過剰に膨らませ、剰余金を基金に回して防衛費を確保しようとしているからだ。
3.11直後でさえ2兆円だったのに、補正予算で積み増した分を含めると、20年度以降の予備費は単純合計で30兆円を超える。そして、新型コロナウイルスの感染症法上の分類を「5類」に引き下げながら、23年度予算に5兆円計上している。
会計検査院の21年度決算の検査報告によると、コロナ対策事業として21年度までの3年間に計上された94兆4920億円のうち、およそ19%にあたる17兆9998億円が未執行。使われずに国庫に残したままの「不用額」が4兆6744億円もあった。日経新聞によれば、予備費12兆円の使途は不明で、国会でマトモにチェックを受けていなかった。これでは防衛費流用にも歯止めが利かなくなる。
岸田政権のやり方は戦前を彷彿とさせる。1936年に2.26事件が発生し、37年に臨時軍事費特別会計ができ、日中戦争に突入した。敗戦までの8年間、財源の大半を公債で捻出した特会は一度も決算がなされなかった。その結果、戦後のハイパーインフレを引き起こし、日本経済は塗炭の苦しみを味わうことになった。
ボロボロの財政を無視し、マネーロンダリングさながらの手法で防衛費が増大されようとしている。目を凝らしてそれを止めないと、日本は戦争ナショナリズムにのみ込まれてしまうだろう。
金子勝 淑徳大客員教授
1952年6月、東京都生まれ。東京大学経済学部卒業、東京大学大学院経済学研究科博士課程修了。法政大学経済学部教授、慶應義塾大学経済学部教授などを経て現職。慶応義塾大学名誉教授。文化放送「大竹まことゴールデンラジオ」などにレギュラー出演中。近著「平成経済 衰退の本質」など著書多数。新聞、雑誌、ネットメディアにも多数寄稿している。
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