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※2023年5月2日 日刊ゲンダイ2面・3面 紙面クリック拡大
この国はどこに向かうのか 広島サミット、狂騒が始まる暗澹(下)
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/322369
2023/05/02 日刊ゲンダイ
なぜ、岸田はプーチンに会わないのか、会えないのか
会話の糸口を探れ(ロシアのプーチン大統領) (C)ロイター/ Sputnik/Kremlin
キーウ訪問時に岸田は、ゼレンスキー大統領との共同声明でロシアの侵攻は「違法で不当でいわれのない侵略」と指摘。「可能な限り最も強い言葉で非難した」と明記した。岸田はウクライナ支援に血道を上げる一方で、ロシア叩き一辺倒。停戦に向けた知恵は出さず、汗もかこうとしない。平和外交を掲げる国として、その姿勢は正しいのか。少なくともプーチン大統領とも向き合う機会を探るべきだろう。
岸田はプーチンとは知らない仲じゃない。安倍政権の外相時代は何度かロシア入り。2016年のプーチン訪日時には直前にクレムリンに出向き、プーチンを表敬し、お膳立てを任された。27回も首脳会談を重ねた安倍元首相ほどではないが、プーチンと面と向かって話し合った経験は貴重だ。
日本はロシアに経済制裁を科すものの、政府や企業が出資するロシア極東の石油・天然ガス開発事業「サハリン2」は継続中だ。対話の糸口は見いだそうと思えば見つかるはず。ロシアから「非友好国」に指定されているとはいえ、恍惚の表情を浮かべて非難するだけの岸田の外交姿勢は危うい。
「西側諸国の制裁によるロシア経済の痛手は深刻です。どんな形で戦争が終わるにせよ、ロシア国内の不安定化は避けられません。その混乱の余波が隣国である日本に飛び火するのは目に見えています。ましてや、日本はロシアとの間で北方4島の帰属問題を抱えている。経済的に疲弊したロシア側が日本に救いの手を求めてくれば、返還交渉を動かすチャンスにもなるのです。今の岸田首相の外交姿勢のままでは、プーチン大統領と会えるわけがない。ロシア叩きのエスカレートが、はたして正しい選択なのか。今から『戦後』に先鞭をつけ、広い視野に立って外交を進めるべきです」(春名幹男氏=前出)
岸田がプーチン非難に陶酔しきったままでは、巧みな外交手腕は期待できない。
参考にすべきブラジル、インド、フランスの独自外交
広島サミットに向け、動向が注目されているのがフランスのマクロン大統領だ。
財界人を引き連れた訪中で習近平国家主席と会談した後、仏紙などのインタビューで貿易や台湾問題について「米中どちらにも追従すべきではない」と発言。「自分たちと無関係の危機」に巻き込まれることなく、独自性を高めるべきだと主張したのだ。これに米国や欧州の対中強硬派から批判が出ると、「同盟国とは、属国であることを意味しない」と反論した。
まるで日米の同盟関係をズバリ指摘されたかのように思ってしまうが、フランスだけでなく、世界には独自の立ち位置を重視するシタタカな外交がある。
インドはクアッド(日米豪印による経済・安全保障の協力体制)に参加しながら、一方で、対ロシアの経済制裁に同調せず、安価なロシア産原油を買い続けている。
欧米VS中ロのどちらにもくみしない「グローバルサウス」と呼ばれる新興国の発言力が高まり、その代表格でもあるブラジルは、ルラ大統領が訪中しただけでなく、ウクライナ戦争を巡り和平仲介役にも乗り出している。
ブラジルの外交姿勢については、日経新聞に興味深い記事があった。ブラジルの元財務相のインタビューなのだが、刮目に値する。
<ブラジルは西側や中ロのいずれも選ばない。選ぶことが国益にならないからだ>
<外交では原則を重んじる。ロシアのウクライナ侵攻を非難する国連決議では賛成した>
<我々は大国ではないが、決して悪いことではない。欧米の大国のように軍備に資源を割く必要がない>
これらは日本にも大いに参考になるのではないか。
「例えば米CSIS(戦略国際問題研究所)の報告書では、『台湾有事において日本の協力がなければ米国は負ける』とされています。日本は米国と中ロの間で、両方から譲歩を引き出せるいいポジションにいる。『両属外交』をすればいいんです」(高千穂大教授・五野井郁夫氏=国際政治学)
日本にとっての国益とは何か。あらためて問い直す時だ。
習近平を敵視してもロクなことにならない
岸田は広島サミットの場で米国と一緒に「中国包囲網」をブチあげるつもりだ。
しかし中国を敵視することが、はたして国益につながるのかどうか。逆に国益を損ねるだけなのではないか。
なにしろ、日本経済は中国に大きく依存している。日本の貿易総額全体に占める割合は、対中国が23.9%と断トツ、対米国の14.7%を大きく上回っている。中国への進出企業も1万2706社を数える。中国との関係が決定的に悪化したら、日本経済が壊滅的な打撃を受けるのは明らかだ。
まして、軍事的に対立するのは最悪である。岸田政権は安保関連3文書で、わざわざ中国の動きを国際秩序への「最大の挑戦」と批判し、日本の軍事費を倍増させようとしているが、中国と軍事力で張り合うなど狂気の沙汰である。
中国は日本に対し、2000発以上のミサイルで攻撃しうる態勢をとっている。日本が10発撃つうちに、中国から100発撃ち込まれるだけだ。
そもそも、いくら日本がムキになって、広島サミットで「中国包囲網」を唱えても効果は限定的である。元外務省国際情報局長の孫崎享氏が言う。
「もはや、G7だけで国際社会を動かせる状況ではありません。GDPを購買力平価ベースで見ると、G7合計は38.8兆ドルと、非G7(中、印、露、インドネシア、ブラジル、トルコ、メキシコ)の合計45.5兆ドルよりも少ない。しかも、フランスの大統領は、アメリカの“対中国政策”に異論を唱えている状況です。ASEANの人々が考える『重要なパートナー』も、中国が1位です。どの国も中国との決定的な対立を避け、国益を最優先しているのが実態です」
最悪なのは、習近平を敵視している日本は梯子を外される恐れがあることだ。すでにフランスは経済的にも中国に接近している。米国だって、中国への輸出規制を強化しながら、その裏で米国の半導体企業は、ちゃっかり対中輸出を増やしている。
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