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※紙面抜粋
※2023年4月26日 日刊ゲンダイ2面
※文字起こし
岸田政権延命のA級戦犯(左=右から、立憲民主の泉代表と岡田幹事長)。勢い加速(右=日本維新の会の馬場代表)/(C)日刊ゲンダイ
投票所に足を運ぶのがアホらしくなる気持ちは分かる。先日の統一地方選の後半戦、同時実施された衆参5補選の投票率は低かった。市議選、町村長選、町村議選で過去最低を記録。岸田政権に対する「中間評価」と位置付けられた補選もヒドかった。2021年の衆院選と比べ、千葉5区は15.82ポイント減の38.25%。和歌山1区は11.05ポイント減の44.11%、山口2区は9.2ポイント減の42.41%、山口4区は13.93ポイント減の34.71%だった。参院大分選挙区は22年の参院選から10.50ポイント減の42.48%に沈んだ。
サメの脳みそと揶揄された森喜朗元首相が「関心がないといって寝てしまってくれれば」と言っていた通りで、投票率が低ければ低いほど、強固な組織力のある自公与党に有利だ。だからこそ、岸田首相が勝敗ラインとした「3勝2敗」を上回る「4勝1敗」を自民党がモノにした。逆から見れば、野党第1党を張る立憲民主党は「3戦全敗」。情けないの一言では決して片づけてはいけない体たらくだ。
立憲民主が公認候補を擁立したのは、「政治とカネ」で自民前職が辞職した千葉5区、安倍元首相の横死で欠員が出た山口4区、野党系議員の知事転出に伴う参院大分。野党乱立が懸念された千葉5区は、保守票が日本維新の会と国民民主党に流れる想定外の展開となり、いい風が吹いていたのに最終盤で競り負け。泉代表が「最重点区で必勝区」と言い切った参院大分は比例区選出の現職を担ぎ出し、事実上の野党共闘が成立したのに、自民新人の銀座ママに341票差で負けた。権力のうまみを知り尽くした与党の1票に対する執念は凄まじいものがあるが、立憲民主の甘ちゃんぶりが勝敗を分けたと言ったほうがいい。補選の完敗は日本維新の会や国民民主党との共闘に失敗したからではなく、予算案に賛成するような“ゆ党”にスリ寄る「覚悟のなさ」が原因ではないのか。あるいは、与党の補完勢力になり果てたと見たほうがいいのか。
マトモな野党は消滅寸前
21年の衆院選で公示前勢力を下回った責任を取り、創業者の枝野代表が辞任して以降の立憲民主はゆるいし、ヌルい。第2次安倍政権が強行した15年の安保法制反対運動をきっかけに、16年の参院選以降は立憲民主を中心にした野党共闘が実現。成果を上げてきたが、泉体制となってからはなし崩しだ。勝つためには手段を選ばず、印象操作もいとわない自民や維新らから「立憲共産党」と揶揄されて神経をとがらせ、22年の参院選は共闘が後退。野党間の選挙協力が限定的となった結果、衆院選に続く岸田自民の圧勝を許した。それで泉が秋波を送ったのが、野党第1党を目指すと公言する維新だ。立憲民主と維新は憲法観も安全保障政策も異なるのに、昨年の臨時国会から国会対応で共闘を始めた。
政治評論家の本澤二郎氏はこう言う。
「参院大分の敗北は話にならないし、千葉5区にしても野党候補を一本化すれば勝てた選挙です。あの泉代表というのは、最低限の戦い方すら分かってない。本来は自公維の3本柱に対抗すべく、共産と社民を束ね、れいわ新選組もまとめて野党勢力が体当たりで臨むところ。わざわざ失敗する方向で駒を進めるのですから、与党に太刀打ちできるわけがありません。自民の別動隊の維新にブラ下がってどうするのか。放送法の解釈変更をめぐる問題を追及した小西参院議員の『サル発言』をめぐり、維新がぎゃあぎゃあ騒ぎ立て、国会共闘を凍結したら大慌てのしみったれ。共産党も除名問題でミソをつけ、野党らしい野党は消滅寸前です」
連合の下部組織と化した立憲の体たらく
大阪の地域政党から始まった維新の結成メンバーは、大半が元自民党議員だ。自公政権に対して「是々非々」とか言っているが、産声を上げた瞬間からゴリゴリの保守。全国政党化を目指し、12年に国政に進出。第2次安倍政権下では菅官房長官の手引きによって、安倍、菅、松井前代表、橋下元代表の会食が年末の恒例行事と化していた。「われこそは改革政党だ」と叫びながら、安倍・菅政権と握ってきたのが維新だ。野党勢力と見るのがおかしい。
そうして、立憲民主は補選で全敗。岡田幹事長は「特に足らなかったところは思い当たらない。非常にいい戦いができていた」と言っていたが、選挙は結果がすべてだ。度し難いトンチンカンの上、執行部は引責辞任を否定する無責任。
「自民に高揚感ナシ」などと報じられているが、マトモな野党に期待する有権者にしてみれば何の慰めにもなりゃしない。惜敗がお家芸のようになってきた野党への苛立ちと絶望は天井知らずである。
政治ジャーナリストの角谷浩一氏はこう言った。
「立憲民主はなぜ補選の全選挙区で候補を立てられなかったのか。告示まで十分に時間はあったのですから、この時点で本気度が相当に疑われる。山口2区に無所属で出馬した元職をなぜ公認しなかったのか。反原発を争点に掲げたため、支援団体の連合や傘下の電力総連が猛反発したためです。2区で公認を出せば、4区と連携して票の上積みを狙う戦い方があった。いつの間にやら連合は立憲民主の上部団体になったようです。『連合が』『電力が』と言っている限り、立憲民主に浮上の目はない」
維新をめぐって張り合い
泉が「兄弟政党」と呼びかける国民民主の玉木代表は「法案対応などを見ても最も近い政党だ」と維新にラブコールを送り、「むしろ立憲民主より近い」と連携強化を露骨に求め始めた。連立政権入りを画策する国民民主は22年度予算案と補正予算案に賛成。23年度予算案に反対したのは、間近に迫っていた選挙対策でしかない。
朝日新聞(25日付朝刊)で、中大教授の中北浩爾氏(政治学)はこう言っていた。
〈自民の党内グループに野党が系列化される兆しもみられます。菅義偉前首相が維新や公明と強固なパイプを持つのに対して、岸田文雄首相を支える麻生太郎副総裁や茂木敏充幹事長は国民民主党との連携を模索しているといわれます。野党は疑似政権交代メカニズムに組み込まれ、自民の補完物になっていくかもしれません〉
現実を見ない立憲民主が野党第1党の座から引きずり降ろされる日は、そう遠くない。
「いまや維新をめぐり、立憲民主と国民民主が〈オレの方が仲がいい〉と張り合っている状態。基本政策が異なる野党第2党に媚びる第1党が必要なのか。維新が勝てたのも、岸田政権が安定化しているのも、立憲民主が最大のサポート政党として機能しているからです。泉代表-岡田幹事長-安住国対委員長の体制では野党政治は動かせないのがハッキリした」(角谷浩一氏=前出)
岸田政権は昨年末、安保政策と原発政策を大転換した。国会で審議することも、国民の審判を仰ぐことも、国民的な合意形成を図ることもなく、数の力を頼みにやりたい放題だ。
軍拡、原発回帰に敢然とノーを突きつけられない野党の存在意義が問われている。
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