http://www.asyura2.com/23/senkyo290/msg/225.html
Tweet |
被選挙権の年齢制限と供託金は「差別」か? 問題はなくはないが… ここがおかしい 小林節が斬る!
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/321997
2023/04/23 日刊ゲンダイ
岸田文雄首相にパイプ爆弾を投げた木村隆二容疑者(C)共同通信社
和歌山県内で街宣中の岸田文雄首相にパイプ爆弾を投げて失敗した青年が、現行の立候補制限(年齢と供託金)が「差別」であるとして、国家賠償請求訴訟を提起して1審で敗訴していた。
24歳の「大人」でも、参院議員選挙には立候補できない。また、300万円の供託金は普通人が立候補を断念せざるを得ない高額である。だから、それらを「差別」だと感じる者がいることは事実であろう。
しかし、憲法は、この問題について次のことしか定めていない。国民には参政権がある(15条)、国民は差別を受けない(14条)、国会は二院制である(42条)、選挙制度は国会自身が定める(47条)、選挙に参加する資格について差別してはならない(44条)。
だから、選挙制度については国会に広い裁量権が与えられている。その上で、二院制の趣旨に照らして、「再考の府」の役割が期待される参院には、衆院以上に熟議ができると推定される年長者が好ましいと考えるのも自然である。従って、参院議員の立候補資格年齢は衆院議員より5歳高く設定されている。
また、立候補の際の供託金を低く設定すると、「表現の自由」だけが目的の者が立候補しやすくなり、かえって公正な選挙の妨げになることが、経験上、推定される。
だから、現行の制度は立法裁量として「著しく不合理」とは言えないであろう。
だとすると、国会ではない裁判所としては原告の訴えを棄却せざるを得なかったはずである。
ただし、国会として検討すべき課題はある。既に成人年齢が世界標準の18歳に下げられ、若者が有権者として責任を負っているのだから、立候補年齢の引き下げも検討すべきであろう。
また、政党制・予備選挙制により立候補者の事前選抜が行われる英米と同様に低額の供託金にする必要はない。しかし、300万円が適正な額であるかは、政治への「参入障壁」になっていないか? を、国会の責任で常に検討を続けるべきであろう。
いずれにせよ、憲法上、これは裁判官の仕事ではない。
小林節 慶応大名誉教授
1949年生まれ。都立新宿高を経て慶大法学部卒。法学博士、弁護士。米ハーバード大法科大学院の客員研究員などを経て慶大教授。現在は名誉教授。「朝まで生テレビ!」などに出演。憲法、英米法の論客として知られる。14年の安保関連法制の国会審議の際、衆院憲法調査査会で「集団的自衛権の行使は違憲」と発言し、その後の国民的な反対運動の象徴的存在となる。「白熱講義! 日本国憲法改正」など著書多数。新著は竹田恒泰氏との共著「憲法の真髄」(ベスト新著) 5月27日新刊発売「『人権』がわからない政治家たち」(日刊現代・講談社 1430円)
▲上へ ★阿修羅♪ > 政治・選挙・NHK290掲示板 次へ 前へ
最新投稿・コメント全文リスト コメント投稿はメルマガで即時配信 スレ建て依頼スレ
▲上へ ★阿修羅♪ > 政治・選挙・NHK290掲示板 次へ 前へ
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。