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※紙面抜粋
※2023年4月20日 日刊ゲンダイ
※文字起こし
“お墨付き”を与えていいのか。パフォーマンスに惑わされてはならない(衆院千葉5区補選の応援入りした岸田首相=右)/(C)日刊ゲンダイ
4月23日に投開票される、衆参5つの補欠選挙は、予想を超える大接戦となっている。
自民党は勝敗ラインを「3勝2敗」としているが、「全勝」しても、逆に「全敗」してもおかしくない状況だ。自民党が優勢に選挙戦を進めているのは、せいぜい安倍元首相の“弔い合戦”となっている衆院山口4区くらいのもの。その山口4区も“波乱”の目が残されている状況である。
「すべての選挙区が接戦というのは、これまで経験がない。情勢調査を見ても、調査によってどちらの候補が強いのかバラバラです」(自民党関係者)
補欠選挙が行われているのは、衆院では千葉5区、和歌山1区、山口2区、4区、そして参院大分の5つだ。いずれも接戦だが、自民党に“追い風”が吹きつつある。ここにきて岸田内閣の支持率が上昇しているのだ。岸田首相が襲撃されたことが、選挙にはプラスに働く可能性がある。
読売新聞の調査では、支持47%、不支持37%と、7カ月ぶりに支持が不支持を上回った。支持は前回から5ポイントアップ、不支持は6ポイント下がった。調査は14〜16日にかけて行われた。注目は、襲撃事件があった15日を境に“支持”が増えていることだ。事件前の支持は4割台の前半だったのに、事件後は5割に上がったという。
5補選について、政治ジャーナリストの角谷浩一氏はこう言う。
「山口2区と山口4区が接戦というのは、従来では考えられないことです。有権者の意識が変わりはじめている可能性がある。山口2区から出馬した自民候補の岸信千世は、名門・岸家の3代目です。地盤・看板・カバンが揃い、圧勝して当然のはず。でも、有権者は、これまで当たり前だった“世襲”に疑問を持ちはじめているのでしょう。弔い合戦である山口4区が競っているというのも驚きです。有権者は『この国はいままで通りでいいのだろうか』と考えはじめているのだと思う。ただ、自民党の権力に対する執念はハンパじゃない。これまでも接戦の選挙を何度となく制している。残り3日間、あらゆる手段を使ってくるはずです」
山口2区で大金星も
具体的に選挙戦はどうなっているのか──。野党陣営が絶対に落とせないのが、参院大分と、千葉5区だ。とくに千葉5区は野党の真価が問われる。自民党の現職議員が「政治とカネ」で辞職したために実施される補選だからだ。
千葉5区は野党候補が乱立したため、当初“自民圧勝”が予想されたが、立憲候補が自民候補と並んでいる。
「やはり“政治とカネ”に対する有権者のアレルギーは強いのでしょう。立憲候補の矢崎堅太郎が、『自民が勝てば“政治とカネ”の問題はなかったことになってしまう』と街頭で訴えると、聴衆がうなずき、拍手が沸き起こる。もともと地元県議だから知名度もあります。一方、自民の英利アルフィヤは、元国連職員でタマとしては悪くないが落下傘で知名度がない。前回の参院選の時も、全国比例で出馬したが落選しています」(地元政界関係者)
もし、野党が勝てば大金星になるのが、山口2区だ。旧民主党政権時代に法相を務めた無所属の平岡秀夫が、自民の岸信千世を猛追している。
信千世が幼稚舎から慶応に通い、地元のことを知らないのに対し、平岡は山口2区で当選5回を重ねている。さすがに、心ある有権者は、信千世が出馬表明した直後、いきなり公式HPに曽祖父の岸信介や、伯父の安倍晋三らの名前を書いた家系図を掲載し、“世襲アピール”したことに強い拒否反応を持っているようだ。
はたして、権力への執着が強い自民党が勝つのか、それとも有権者が「この国はこのままではダメだ」と立ち上がるのか。
“お墨付き”を与えたら終わりだ
この5つの補選が国民にとって極めて重要な選挙になるのは間違いない。自民を勝たせるか、それとも自民を敗北させるかで、この国の未来は大きく変わってくるからだ。
もし、自民党を勝たせたら、岸田は“お墨付きを得た”とばかりに「軍拡」「増税」「原発稼働」を一気に進めてくるに違いない。しかも、今回のチャンスを逃したら、民意を示す機会はしばらく来ない可能性がある。
広島サミット後の「会期末解散」説が浮上しているが、その一方、岸田周辺で囁かれているのが、このまま解散せず来秋の自民党総裁選で“無投票再選”されるというシナリオだ。
「岸田首相の“解散戦略”は、当然、来年9月に行われる自民党総裁選とリンクしています。いつ解散すれば、総裁再選に有利かを計算している。でも、首相周辺からは“いまの状況なら無理に解散しなくても、総裁選で無投票再選されるのではないか”という見方が出ています。総裁選で岸田首相に挑戦できそうな『ポスト岸田』が不在だからです」(政界関係者)
確かに「ポスト岸田」は見当たらない。前回総裁選に出た候補者は軒並み沈んでいる。高市経済安保担当相は「捏造発言」と奈良県知事選の保守分裂で、「次の首相」の目はほぼ消えた。河野デジタル担当相は相変わらず永田町で孤立。野田聖子前少子化相は、推薦人確保にさえ苦しんでいるレベルである。
もともと、岸田は、昨年の参院選で勝利したら、衆院議員の任期満了の25年まで、政権選択選挙の衆院選も参院選も実施されない「黄金の3年間」を手に入れるとされてきた。この先、丸2年間、国政選挙は行われない可能性があるということだ。政治評論家の本澤二郎氏はこう言う。
「今回の選挙は重大な分岐点と言えるでしょう。ここで自民党が勝てば、岸田首相は軍拡増税や、原発回帰を加速させるに違いありません。逆に、大負けすることになれば、岸田首相は一気に窮地に追い込まれる。暴走にストップをかけることになります」
投票率が上がれば野党に勝機
選挙前にアメをバラまき、選挙に勝ったら「信を得た」と悪政を加速させるのは、自民党政権の常套手段だ。
安倍元首相は14年に「アベノミクス解散」と意味不明な理由で解散総選挙し、衆院選で過半数を維持すると、安保法制を強行採決し、九州電力の川内原発の再稼働を進めた。当時は集団的自衛権の行使容認の閣議決定などで批判を浴びていたが、ほとんど“リセット”されてしまった。
17年は、大炎上していたモリカケ疑惑を吹き飛ばすため、北朝鮮の脅威をあおって「国難突破解散」に踏み切って勝利し、その後、一部専門職を労働時間規制の対象から外す「高度プロフェッショナル制度」創設を盛り込んだ悪評ふんぷんの「働き方改革関連法」の成立を強行させている。岸田も衆参5補選で勝てば、確実に悪政を推進するはずだ。
国民はよく考えて投票すべきだろう。
「衆参5補選で勝敗を分けるポイントは、投票率でしょう。30%程度に落ち込めば、組織票がある自民の勝利は堅い。50%に近づく投票率になると、野党勝利の可能性が高まる。内閣支持率が上がっているとはいえ、個々の政策への『反対』の声は大きい。野党は死に物狂いで国民に訴えかけ、投票率アップを図るべき。存在意義がかかっている状況と言えます」(本澤二郎氏)
国民は、今回の選挙の重要性を肝に銘じるべきだろう。
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