この問題になると、プーチン信者が決まって持ち出すのが、1999年のNATOによるコソボ空爆である。 結論から言うと。 1999年のNATO空爆は、NATOが悪い。 2022年のウクライナ侵攻は、ロシアが悪い。 これ以外の結論は無い。 1999年コソボでは、NATO行為が行き過ぎだが、以下の国連決議を受け入れてNATO軍は撤収した。 安保理、コソボ和平プランを承認 1999年06月10日 安保理は1999年6月10日、決議1244を賛成14、反対0、棄権1(中国)で採択し、コソボ和平プランを承認。コソボ危機に対する政治的解決に関する原則をユーゴ連邦共和国が受諾したことを歓迎し、国連の下、コソボにおいて国際的な文民・治安部隊を展開することを決定した。(これに先立って、アナン事務総長は、ソラナNATO事務総長から、ユーゴ軍のコソボ撤退が開始し、NATO空爆が停止したことについて通知を受けた) 以下、同決議全文(非公式訳)である。 決議1244(1999) 第4011回安全保障理事会採択 1999年6月10日 安全保障理事会は、 国連憲章の目的と原則、ならびに国際的な平和と安全を維持するという安全保障理事会の主たる責任を念頭におき、 1998年3月31日の決議1160(1998)、1998年9月23日の決議1199(1998)、1998年10月24日の決議1203(1998)、および1999年5月14日の決議1239(1999)を想起し、 これら決議の要件が十分に守られていないことを遺憾とし、 ユーゴスラビア連邦共和国コソボ自治州の危機的な人道情勢を解決し、すべての難民・避難民の安全かつ自由な帰還を実現することを決意し、 コソボ住民に対するあらゆる暴力行為、ならびにすべての当事者によるすべてのテロ行為を非難し、 コソボにおける人道上の惨状に対して憂慮を表明した1999年4月9日の事務総長の声明を想起し、 すべての難民・避難民の安全な帰還の権利を再確認し、 旧ユーゴスラビア国際犯罪法廷の管轄権と任務を想起し、 1999年5月6日に採択されたコソボ危機に関する政治的解決の一般原則(S/1999/516,本決議の付属書1)を歓迎し、また1999年6月2日にベオグラードで提示された文書(S/1999/649,本決議の付属書2)の第1点から第9点に記された原則のユーゴスラビア連邦共和国による受諾、およびその文書に対するユーゴスラビア連邦共和国の同意を歓迎し、 ヘルシンキ最終文書および付属書2に記された通り、ユーゴスラビア連邦共和国ならびにこの地域における他の諸国の主権と領土保全に対するすべての加盟国のコミットメントを再確認し、 これまでの決議に示された、コソボの実質的な自治権と意味のある自治行政の要求を再確認し、 この地域の状況が引き続き国際の平和と安全にとっての脅威であると判断し、 国際的な要員の安全を確保し、本決議に基づく責任をすべての関係者に実行させることを決意し、国連憲章第7章の下、これらの目的のために行動し、 コソボ危機の政治的解決は付属書1の一般原則、および付属書2に詳述された原則とその他の要件を基礎とすることを決定する。 上記第1項に言及された原則およびその他の要件をユーゴスラビア連邦共和国が受諾したことを歓迎し、その迅速な実行におけるユーゴスラビア連邦共和国の全面的な協力を要求する。 特に、ユーゴスラビア連邦共和国に対し、コソボにおける暴力と抑圧を検証可能な形で即時停止すること、ならびにコソボへの国際治安プレゼンスの配置と時期を合わせた迅速なタイムテーブルに従い、すべての軍、警察および準軍事組織のコソボからの段階的撤退を検証可能な形で開始および完了することを要求する。 撤退後、付属書2に従った機能を果たすため、合意された数のユーゴスラビアとセルビアの軍・警察要員のコソボへの再配置が認められることを確認する。 国連の後援の下に、必要とされる適切な機器と人員を備えた国際文民・治安プレゼンスをコソボで展開することを決定し、そのようなプレゼンスにユーゴスラビア連邦共和国が同意したことを歓迎する。 事務総長に対し、安全保障理事会との協議の上、国際文民プレゼンスの実施を統制する特別代表を任命するよう要請し、さらに、事務総長に対し、国際文民・治安プレゼンスの双方が同一の目標に向かって相互に支え合う形で活動することを確保するため、国際治安プレゼンスと密接に調整を行うように特別代表に指示することを要請する。 本決議第9項の下の責任を遂行するために必要なすべての手段を備えた、付属書2の第4点に記された通りの国際治安プレゼンスをコソボに設立する権限を加盟国および関連する国際組織に付与する。 実効性ある国際文民・治安プレゼンスを迅速かつ早急にコソボに展開する必要性を確認し、その展開に全面的に協力するよう関係者に要求する。 コソボに展開され、活動する国際治安プレゼンスの責任には以下のものが含まれると決定する。 新たな敵対行為を抑止し、停戦を維持および必要な場合には強制し、付属書2の第6点に規定されたものを除き、連邦および共和国の軍・警察・準軍事組織を確実に撤退させ、それらの要員のコソボへの再配置を防止する。 下記第15項の要求に従い、コソボ解放軍(KLA)およびその他のコソボ・アルバニア武装集団を非軍事化する。 難民・避難民が安全に帰還し、国際文民プレゼンスが活動を行うことができ、暫定行政の確立が可能となり、人道的援助を提供できる安全な環境を確立する。 国際文民プレゼンスが公共の安全と秩序を保つという責務を遂行できるようになるまで、そうした安全と秩序を確保する。 国際文民プレゼンスが適宜、地雷除去の監督の責務を引き継ぐことができるようになるまで、地雷除去を監督する。 適宜、国際文民プレゼンスの活動を適宜、支援し、その活動との密接な調整を図る。 必要に応じ、国境監視任務を実行する。 国際治安プレゼンス自体、国際文民プレゼンス、その他の国際組織の保護と移動の自由を確保する。 コソボの人々がユーゴスラビア連邦共和国内での実質的な自治権を享受することを可能にし、また臨時の行政活動を提供すると同時にコソボの全住民に平和で正常な生活の条件を確保する民主的な暫定自治機構の発展を確立・監督する、コソボのための暫定行政を提供することを目的として、関連する国際組織の支援を得ながらコソボに国際文民プレゼンスを設立する権限を事務総長に付与する。 国際文民プレゼンスの主な責任には以下のものが含まれると決定する。 付属書2およびランブイエ合意(S/1999/648)を十分に考慮しながら、最終的な解決までの間、コソボでの実質的な自治権と自治政府の樹立を促進する。 必要な場所で、また必要な期間、基本的な文民行政機能を果たす。 政治的な解決がなされるまでの間、選挙の実施を含め、民主的な自治政府のための暫定機構を組織し、その発展を監督する。 こうした機構が確立されるのを受けて、コソボの現地暫定機構と他の平和建設活動の統合を監督および支援しながら、行政責任を移譲する。 ランブイエ合意(S/1999/648)を考慮しながら、将来のコソボの地位を決定する政治プロセスを促進する。 最終段階で、コソボの暫定機構から政治解決に基づいて設立された機構への権限の移行を監督する。 主要なインフラストラクチャーの再建およびその他の経済復興を支援する。 国際的な人道組織と調整しながら、人道的援助および災害救援活動を支援する。 地方の警察組織の確立、および当面はコソボへの国際警察要員の配置などにより、市民の法と秩序を維持する。 人権を保護し、促進する。 すべての難民・避難民が妨害されることなく安全にコソボに帰還できるようにする。 国際的な救援物資を迅速かつ効果的に提供できるようにするため、調整された人道救援活動の必要性、ならびに人道支援組織が妨害を受けることなくコソボにアクセスすることをユーゴスラビア連邦共和国が認め、同共和国がそれらの組織と協力する必要性を強調する。 すべての加盟国および国際組織に対し、経済・社会の復興ならびに難民・避難民の安全な帰還に貢献するよう奨励し、これに関連して、特に上記第11項(g)において規定した目的を達成するため、可能な限り早期に、国際的な支援国会合を招集する重要性を強調する。 国際治安プレゼンスを含むすべての関連当事者に対し、旧ユーゴスラビア国際犯罪法廷に全面的に協力するよう要求する。 KLAおよびその他のコソボ・アルバニア武装集団に対し、ただちにすべての攻撃行為をやめ、事務総長特別代表との協議に従って国際治安プレゼンスの長によって定められた非軍事化の要件に従うことを要求する。 決議1160(1998)第8項に規定された禁止事項は、国際文民・治安プレゼンスが使用する武器および関連物資については適用されないと決定する。 民主主義、経済的繁栄、安定、地域の協力をいっそう促進するため、幅広く各国が参加する南東欧州安定協定の実施を含め、コソボ危機に影響を受ける地域の経済開発と安定への包括的なアプローチをEUおよび他の国際組織の統制下で発展させる活動を歓迎する。 この地域のすべての国に対し、本決議の完全な履行に全面的に協力するよう要求する。 国際文民・治安プレゼンスは、当初12ヵ月間にわたって設立し、その後は、安全保障理事会が異なる決定をしない限り活動を継続すると決定する。 事務総長に対し、国際文民・治安プレゼンスの指導部からの報告書を含め、本決議の履行状況に関して定期的に安全保障理事会に報告するよう要請する。なお第1回目の報告書は、本決議の採択から30日以内に提出されるものとする。 引き続きこの問題に積極的に対応していくことを決定する。 付属書1 1999年5月6日にペテルスブルク・センターで開かれた G8外相会議の結論に関する議長声明 G8諸国の外相は、コソボ危機の政治的解決に関して、次の一般原則を採択した。 −コソボにおける暴力と抑圧の検証可能な形での即時終了 −軍、警察および準軍事組織のコソボからの撤退 −国連によって承認および採択され、共通目的の達成を保証することができる、実効性ある国際文民・治安プレゼンスのコソボでの展開 −コソボの全住民に平和で正常な生活の条件を確保することを目指した、国連安全保障理事会によって決定されるコソボのための暫定行政の確立 −すべての難民・避難民の安全かつ自由な帰還、および妨害を受けることのない人道援助組織によるコソボへのアクセス −ランブイエ合意、ユーゴスラビア連邦共和国および地域内諸国の主権と領土保全の原則、ならびにKLAの非軍事化を十分に考慮しながら、コソボの実質的な自治政府を規定する暫定的な政治的枠組み合意の達成に向けた政治プロセス −危機地域の経済開発と安定を目指す包括的なアプローチ 付属書2 コソボ危機の解決に向けて進展するため、次の原則が合意されなければならない。 コソボにおける暴力と抑圧の検証可能な形での即時終了 迅速なスケジュールに従い、検証可能な形による、軍、警察および準軍事組織のコソボからの撤退 国連の後援の下、国連憲章第7章に基づいて決定される通りの活動を行い、共通目的の達成を保証することができる、実効性ある国際文民・治安プレゼンスのコソボでの展開 北大西洋条約機構(NATO)が実質的に参加する国際治安プレゼンスは、統一的な指揮と統制の下に配置されなければならず、またコソボのすべての人々にとって安全な環境を確立し、すべての避難民・難民の安全な帰還を促進する権限を付与されなければならない。 国際文民プレゼンスの一部として、国連安全保障理事会によって決定されるコソボのための暫定行政を確立し、その下で、コソボの人々がユーゴスラビア連邦共和国内での実質的な自治を享受できるようにする。この暫定行政は、臨時の行政を提供すると同時に、コソボの全住民に平和で正常な生活の条件を確保する民主的な暫定自治機構の発展を確立・監督する。 ユーゴスラビアとセルビアの要員は、撤退後、合意された人数に限り、以下の機能を遂行するためにコソボへ再配置されることが認められる。 −国際文民ミッションおよび国際治安プレゼンスとの連絡 −地雷原の特定と地雷の除去 −セルビア人の歴史的遺産箇所でのプレゼンスの継続 −主要な国境地帯でのプレゼンスの継続 国連難民高等弁務官事務所の監督によるすべての難民・避難民の安全かつ自由な帰還、および妨害を受けることのない人道援助組織のコソボへのアクセス ランブイエ合意、ユーゴスラビア連邦共和国および地域内諸国の主権と領土保全の原則、ならびにUCKの非軍事化を十分に考慮しながら、コソボの実質的な自治政府を規定する暫定的な政治的枠組み合意の成立に向けた政治プロセス。解決を目指す当事者間の交渉は、民主的な自治機構の樹立を遅延または中断させてはならない。 危機地域の経済開発と安定を目指す包括的なアプローチ。これには、民主主義、経済的繁栄、安定、地域の協力をいっそう促進するために幅広く各国が参加する南東欧州安定協定の実施が含まれる。 軍事活動の停止は、以前に特定され下記の脚注(注1)に具体的に示されたその他の要件への合意に加え、上記の原則の受諾を必要とする。その上で、ユーゴスラビア/セルビアの要員のコソボでの役割と機能を含め、付加的な行動形態を明確にする軍事=技術合意が迅速に締結される。 撤退 −段階的な詳しいスケジュール、およびセルビア内に設ける緩衝地帯の線引きを含む撤退の手順。兵力はこの緩衝地帯より後方に撤退しなければならない。 コソボに再配置される要員 −コソボに再配置される要員に伴う装備 −機能的責任の権限 −コソボへの再配置のタイムテーブル −地理的な活動範囲の線引き −国際治安プレゼンスおよび国際文民ミッションとの関係に適用される規則 注 その他の要件 −迅速かつ正確な撤退のタイムテーブル。例えば、7日間で撤退を完了し、48時間以内に25キロの相互安全地帯の外に防空武器を撤退するなど。 −上述した4つの機能を果たす要員の再配置は、国際治安プレゼンスの監督下で行い、合意されたわずかな人数に限定する(数千人の単位ではなく数百人の単位とする)。 −軍事活動の停止は、検証可能な撤退の開始後に行われる。 −軍事=技術合意の討議と成立は、すでに決定された撤退完了の期限を延長しない。
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