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一過性の“成長戦略”しかない維新の躍進を許したメディアの大罪 金子勝の「天下の逆襲」
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/321733
2023/04/18 日刊ゲンダイ ※後段文字起こし
大きな顔をしていられるのは、日本のメディアが原因(日本維新の会)/(C)日刊ゲンダイ
統一地方選は前半戦が終わり、投票率が低下する中、自民党が過半数を獲得。その補完勢力である「日本維新の会」が議席を倍増させた。岸田政権に批判的な層や、今の日本社会を変えなければいけないと考える勢力は、投票を棄権するか維新に騙されている──、という結果になっている。
その原因は、メディアが日本経済の危機的状況を正しく伝えていないことにある。状況は深刻なのに、メディアは、ひたすら「インバウンドが増えた」などと表層的な報道ばかり垂れ流している。危機感がないのがまさに危機なのだ。「安倍・高市」による放送事業者への“脅し”が強烈に効いた結果だろう。それが、今回の選挙結果になったのではないか。
実際、日本経済の状況は相当深刻だ。情報通信産業では4.7兆円、RNA医薬品では4.5兆円の貿易赤字になっている。エネルギー関連では、再生可能エネルギーが進まず、化石燃料のほぼ全量を輸入に依存している状態だ。インバウンド需要が伸びたといっても、貿易収支が最大約4兆円改善する程度で、貿易赤字の膨張は極めて危機的である。
結局、メディアが日本の産業衰退の原因に深く切り込み、政策転換を促すような報道をしないから、安倍・菅政権で蜜月関係を築いてきた維新が大きな顔をしていられる。いまや政府・日銀は金融政策の柔軟性を失い、アベノミクスの行き詰まりは明白。維新は、破綻した政策を追認しているだけである。
さらに、維新が掲げる「身を切る改革」は、既に失敗済みの新自由主義そのものだ。維新が牛耳る大阪府市の役所では非正規労働者があふれ、公立病院や保健所も統廃合。結果、人口当たりのコロナ死亡者数が日本一になっている。
結局、維新の成長戦略はカジノIRと大阪万博というイベント頼り。インバウンド頼みで一過性の“成長戦略”しか持ち合わせていないのだ。
本来、産業戦略を高め、イノベーションをもたらすような社会を構築するには「人への投資」が不可欠だ。そのためには、教育研究の基盤育成や科学者の独自性と自立性の尊重が肝要で、日本学術会議の解体をもくろむような自民党政治と決別する必要がある。また、モリカケ桜に象徴されるような「縁故主義」を排し、公正なルールを再建しなければならない。
ところが、維新は自民党の政策を転換できるような勢力とは言えない。メディアが壊れており、野党がよほどしっかりしたオルタナティブ(代案)を出さなければ、日本は衰退を免れないだろう。急がなければ、手遅れになりかねない。
金子勝 淑徳大客員教授
1952年6月、東京都生まれ。東京大学経済学部卒業、東京大学大学院経済学研究科博士課程修了。法政大学経済学部教授、慶應義塾大学経済学部教授などを経て現職。慶応義塾大学名誉教授。文化放送「大竹まことゴールデンラジオ」などにレギュラー出演中。近著「平成経済 衰退の本質」など著書多数。新聞、雑誌、ネットメディアにも多数寄稿している。
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